第二十七話 京からの使者
本間有泰は居城を包囲する上杉軍の陣容を見下ろし、深いため息を吐いた。
有泰の視界に映る上杉軍は厳正な軍紀を示すように規律正しく動き回り、こちらを侮る声一つあげない。
一族の貞兼がほとんどの兵を連れて城を出てから数日。残った兵たちも次々と城から逃亡離散しており、今や雑太城の兵力は百程度しかなかった。
城から逃げ出し、その足で上杉軍の陣地に駆け込んだ者も少なくないであろうから、城内に兵がほとんどいないことはすでに上杉軍も承知していよう。
目前に勝ち戦を控え、にもかかわらず粛然とした陣容を崩さない上杉軍の精強さを、有泰はため息なしに見つめることはできなかった。
「……まさしく精鋭。本間家では勝ちを得られるはずもなかったか」
一族の貞兼は最悪の場合、有泰に罪を着せて佐渡における本間氏の命脈を保とうと画策していたようであるが、有泰はすでに本間の家の命運が絶たれたことを承知していた。
今回、先手先手と踏み込んできた上杉の動きから、佐渡の内情はかなり深い部分まで上杉方に漏れていたことは明らかである。その一事こそが、佐渡支配を目論む上杉の内心を如実に示している。
有泰はそう考えていた。
もともと佐渡の金鉱脈、銀鉱脈はどの勢力にとっても垂涎の的である。
上杉に狙われるのはある意味当然のこと。それゆえに本間家は慎重に動かねばならなかったのだが……
「今さら言ってもせんなきことか」
有泰はそう呟き、そして眼下の敵陣から馬を歩ませてくる者の姿に気がついた。
その人物に目を向けた有泰は目を瞠る。
そして、すぐに近づいてくる者が何者であるかを知った。
戦場にあって寸鉄帯びぬその姿は、今や佐渡の軍勢にとっても畏敬の対象となりつつある人物――加倉相馬のものであった。
◆◆
「和睦、と申したか?」
こちらの申し出を聞いた雑太城主本間有泰は、いぶかしげに目を細めて問い返してきた。
白髪、こじわの目立つ有泰であったが、段蔵によればまだ五十歳に達していない年齢だという。
一族の河原田貞兼、羽茂左馬助という有力者の傀儡とされていたという話はすでに聞き知っていたが、よほどに心労の積もる生活だったのだろう。
「はい。こちらが長尾政景様からの書状となります」
言って政景様直筆の書を渡す。
受け取った有泰は紙面に目を走らせ、意外そうに目を瞠っている。俺のことを降伏ないし切腹を求める使者であると考えていたのかもしれない。
もちろん、和睦といっても戦はほぼこちらの勝利に終わりつつあるのだから、頂くものは頂く。
これが景虎様であれば、おそらく有泰を復権させ、以後上杉家に忠誠を尽くすよう言い諭して佐渡から兵を退いただろう。
だが、俺も、この方面の責任者である政景様も景虎様よりは欲深いのだ。
上杉軍の要求として突きつけたのは、言うまでもなく佐渡の鉱脈。発掘中の鉱山はもちろん、鉱脈があると思われる場所は余さず上杉の直轄領とする。
金銀を運ぶための河川の利用権と港の割譲も求めた。
代わりに雑太城はもちろん、すでに上杉軍が占領している赤泊、羽茂の南部一帯は本間氏に返還する。
その条件を聞いた有泰は思わずという感じで疑問を口にした。
「我らにとってはありがたい条件であるが、何ゆえにこのような和睦を持ちかける? このまま雑太、河原田の両城を落とせば、佐渡全域が上杉の旗の下になびくは火を見るより明らかであろう」
「そして、佐渡奪還を目論む本間家の残党によって、毎年のように謀反が起きることになるわけです」
俺はあっさりという。
。鎌倉以来数百年、佐渡を統治してきた本間家の影響力は、おそらくこちらが考える以上のものがあるだろう。
今回、こちらに協力してくれた久知正泰にしても本間の一族だ。貞兼や左馬助に対しては刃を向けたが、本間家の支配そのものを否定しているわけではない。
なので基本は元のままである。
表面的に見れば、上杉家が今回の戦で得るのは鉱脈と港だけで、農地も城も物にできていない。だが、佐渡鉱山の利益は今後の上杉家にとって必要不可欠なものとなるはずだ。今回の戦で上杉家が支払った人と物の犠牲が報われることは疑いない。
ついでに言えば、惣領である有泰殿を傀儡に仕立て上げていた二人を討ったといえば、国内にも国外にも聞こえがいい。景虎様の掲げる天道にも沿う行いとなるだろう。
ただし、そのためにはもう一工夫必要となる――
「ただし、この案を通すには条件があります」
「……ふむ、察するに鉱脈と港の件は、こちらから上杉家に献上するという形をとれ、というあたりか」
「話が早くて助かります。金蔵を引き渡す形となった有泰様は、佐渡各地から非難されることになりましょうが……」
「ここまでの大敗、一族郎党皆殺しにされることさえ有り得た。本間の名跡を残すどころか、所領のほとんどを安堵してくださる政景殿の恩情を思えば、その程度の非難、甘んじて受けようぞ」
あっさり頷く有泰に、俺は少しだけ拍子抜けした。
正直、もっと強硬に反対されるかと思っていたのだ。そう来られたら、現在の戦の優勢を盾に説き伏せるつもりだったのだが。
今後の佐渡各地の鉱山開発や金銀採掘に際し、本間家の協力は不可欠である。その当主が物の分かった人物であるのは上杉家にとってもありがたい。
だが、さすがは佐渡一国を統べる本間家の惣領というべきか。
有泰はただこちらの言い分をのむだけの人物ではなかった。
「代わりに、というわけではないが、こちらからも一つ要望を述べたい」
「は、いかなることでしょうか?」
「河原田城の貞兼の命を救ってやっていただきたい。そして、かなうならばあやつをそのまま城主の地位につけてやってほしい」
「……なんと仰る?」
俺は思わず相手の顔を穴のあくほど見つめてしまった。
命を救う程度ならば同じ一族の者をあわれんでとも考えられるが、貞兼を城主にしたままではこれまでと何ら変わらない。
言葉にするよりも雄弁にそう語る俺の眼差しを受け、有泰は穏やかに笑ってみせた。
「これまで自身の智勇を誇ってきたあやつも、此度の戦で井の中の蛙であることを思い知ったことであろう。助命を確約してやれば、河原田城で無駄な血が流れることもなくなる。これ以上、佐渡の土を血でぬらすこともあるまい」
そう言って笑う有泰の顔に、俺はそれまでとは異なる奥深いものを感じ取った。
そして、その感覚は正しかった。続けて有泰はこう言ったのである。
「貞兼の処遇を知れば、羽茂の左馬助も命大事に大人しくしていよう。上杉軍が佐渡に居残り、あれらの残党の動きを警戒する必要もなくなる。定実様はそなたらの帰りを首を長くして待っておられるのだろう?」
「……確かに、仰るとおりです」
俺は笑って頷いた。
信越国境のことを考えれば、この地の争いは一刻も早く終わらせたい。当初、佐渡の地に残すはずだった斎藤勢を対武田にまわせれば、思わぬ戦力増強となる。
そのあたりの機微を察し、早期に戦の決着をつけるべく条件を出した有泰に、俺は一家の惣領としての凄みを感じ取った。
上杉に対しては早期の決着を持ちかけ、戦後の後始末一切を引き受けることで好意を得られる。
貞兼、左馬助に対しては助命の恩を着せることで優位に立てる。
なかなかに食えない人物だ。
そんな俺の内心を見抜いたのか、有泰は皺深い顔に笑みを浮かべた。
「河原田城の貞兼にはわしから書状を送ろう。今申した条件を上杉が飲んでくれたと言うてな」
「かたじけない御言葉です」
この日より十数日後。
本間家惣領、本間有泰並びに貞兼、左馬助らは雑太城にて越後守護代長尾政景に対し、正式に降伏する。
降伏の条件は向後上杉家に忠勤を尽くし、臣下として定められた軍役、労役を果たすこと。
寸土も要求しない上杉家の条件は、佐渡の国人衆に大きな安堵をもって迎えられた。
本間有泰はこの席で上杉軍に対し、本間家が所有していた鉱脈と国府川下流の港を割譲し、今回の戦における不始末の詫びとしたいと申し出る。
これに不満を抱く者は少なくなかったが、上杉軍が稀有な恩情をもって佐渡に対した以上、これに異議を唱えれば、上杉の恩情そのものが覆される可能性がある。
そのため、表立って反対を唱える者はいなかった。
かくして、上杉家の佐渡征討戦は終結する。
寸土も得られぬ勝利。この遠征をそう嘲笑う者たちは、この後、春日山上杉家が目を瞠る勢いで勢力を拡大させていくことを知らない。
人よりも、土地よりも、金を愛するか。そう上杉軍を蔑む者は、この後、上杉家の政治と軍事が急速に充実するその基に、その金が大きく寄与する事実に思い至っていない。
――後に多くの史家は断言する。
佐渡鉱山を得たこの遠征をもって、上杉家は戦国大名への第一歩を踏み出したのだ、と。
◆◆◆
今日もまた押し寄せる武田勢を押し返した。
もし、村上義清が日記をつけているとしたら、その一行が三十日以上の長きに渡って帳面を埋めたことであろう。
飯山城に押し寄せた武田勢五千は蟻のはいでる隙間もないほどの重厚な陣容をもって城を取り囲み、昼夜を問わず激しい攻撃を加え続けた。
この方面の武田軍の武将は内藤昌豊と春日虎綱である。
安定した判断力と堅実な指揮能力を有する二将の攻撃は、立てこもった義清の軍勢を確実に追い詰めていった。
昌豊は部隊を大きく三つに分け、攻撃を加える部隊、それを援護する部隊、そして休息をとる部隊を交互に入れ替え、村上勢に息つく暇を与えない。
視界が悪く、道も狭い山間の城攻めである。味方部隊の前陣、後陣の入れ替えさえ容易ではなかったが、昌豊の指揮により武田軍の混乱は最小限に防がれ、村上勢を驚嘆させた。
一方の虎綱は金堀衆を用いて敵の水源を絶ち、周辺の木々を切り取って内藤隊の展開を助けた。
さらに城内に矢文を送って降伏を促すなど、打てる手を手抜かりなく打ち続ける。
これは時に内藤勢の猛攻にまさる効果を発揮し、村上勢を苦しめることになった。
だが、義清と、義清の率いる五百の信濃勢は、この武田軍の攻勢に耐え続け、未だ城門は破られていない。
その奮戦は武田の二将さえ称賛せずにはいられないもので、昌豊などはかつて義清を越後に逃がしたことを本気で後悔していた。
とはいえ見方をかえれば、武田軍には敵を称賛できるだけの余裕があった、ということでもある。
なるほど、確かに義清らの奮戦は目を瞠るものがある。水を絶って十日以上経つにも関わらず、未だ城兵の戦意が衰えないところをみると、そちらの備えもしてあるのだろう。
だが、どれだけ敵が抗おうと、彼我の兵力差は圧倒的である。昼夜を分かたず攻め続けているため、城兵の体力、気力もそろそろ限界に達するに違いない。
何より、篭城策の前提条件である外からの援軍がいつまでも到着しないことで、城内の士気は大きく揺れ動いていた。そのことを慧敏な二将は察していたのである。
「……遅い! 景虎殿はいつになったら旭山城に攻めかかるのだ!」
義清配下の将の一人、楽巌寺雅方が苛立たしげに床を叩く。
猛将として村上家のみならず他国にも名を知られた男であったが、さすがに一ヶ月以上もの間、敵軍の攻撃に晒され続け、苛立ちを押さえることができない様子だった。
軍議の席についた者の多くが雅方に同調し、動きの遅い上杉勢に非難の矛先を向ける。
作戦通りならば、武田勢はとうに背後を突かれて退却しているはず。しかるに、飯山城を攻囲する武田軍は退く気配さえ見せていないのだから、諸将がいらだつのも無理のないことであった。
「義清様、もしや我らは上杉にたばか――」
「……それ以上言うてはならぬぞ、雅方」
謀られた、と口にしようとした雅方だったが、地の底から響くような義清の声に遮られて慌てて口を閉ざす。
一ヶ月に渡る防戦で義清とて疲弊しているだろう。否、大将である義清こそが、もっとも心身に疲労を抱えているはずである。
だが、義清は顔中に精気をみなぎらせて諸将を鼓舞した。
「確かに上杉の軍略に齟齬が生じたのは間違いなかろう。だが、それがどうした! この程度の危難に遭うた程度で上杉から受けた厚恩を忘れては、我らの方こそ恩知らずと罵られよう! 思い出せ、国も城も、土地も民も武田に奪われて越後へ逃げのびた道中のことを。あの時の苦悶に比べれば、たかだか一月二月の篭城がどれほどのものだというのだ!」
「……は! よし無いことを口にしました。お許しくだされ!」
雅方は義清の言葉に粛然と頭を下げた。
義清はそれに頷いてみせたが、すぐに言葉を紡ぎ、部下の心が自嘲に流れないように配慮を示した。
「此度の戦は我らの旧領奪回が目的であることを忘れるな! そも上杉の助力を得られただけでも僥倖なのだ。我らのみで武田を追い返す気概で策を講じよ!」
「御意にございます!」
雅方はより深く頭を垂れ、他の諸将はそれにならった。
義清は満足げにうなずいてみせたが、内心では苦い思いをかみ締めている。
はっきりいって、ここから態勢を挽回し、武田軍を追い払うことなぞ出来るはずがないのである。勇将として名高い義清ではあるが、ここまで追い詰められた戦をひっくり返す策など想像も出来ない。
それでも、総大将がそんな弱気を見せることは許されぬ。
何の実りもないままに軍議を終わらせた義清は、城壁の上に立って暮れなずむ夕焼け空を見つめていた。
間もなく夜襲組の武田軍が攻めかかってくる頃合である。敵が部隊を入れ替えるために要する、ほんのわずかな時間を利用して、義清は城の外に思いを馳せた。
後詰である景虎が義清ら信濃勢を見捨てる人物ではないことは疑いない。その上でいまだ援軍が到着していないということは、つまり。
「晴信めに先手を打たれたということであろうな」
伸びた鼻毛をこじりながら、自身の悪い予感が的中してしまったことを改めて確信する。
武将としては細心で、時に慎重居士とさえ称し得る晴信のこと、一度動いたのならば、はっきりと勝算を立てた上でのことに違いない。
いかに景虎とはいえ、武田の重厚な陣容を打ち破ることは容易ではあるまい。一度兵を発した武田の強さと粘りは、誰よりも義清が思い知らされている。
こちらに五千近い兵が攻め寄せているのであれば、景虎に向かったのは最低でも五千以上、おそらくは万に近い数であろう。景虎の三千では武田軍を打ち破るどころか、逆に越後に踏み込まれないようにするのが精一杯か。
そう考えれば、いまだに攻め寄せる武田軍が退く気配を見せないのも納得できる。後顧の憂いがないのならばそれが当然であろう。
このままでは景虎は敗れ、この城は落ちる。それは避けられない結末であった。
だが、と義清は周囲の山並みに視線を向けた。
秋が色濃く感じられる信濃の天険を見て、義清は最後に残った勝算に全てを賭ける。
義清がこの城に立てこもって一ヶ月以上。すでに上杉定実と宇佐美定満による第二陣の動員は完了しているはずだ。
景虎が戦線を保つことが出来ているのならば、その援軍を得た上で逆襲に転じることは可能であろう。
そうなれば、この城を取り囲む武田軍は必ず動く。
その時こそが唯一無二の勝機であろうと義清は確信していた。
と、そのとき、義清の耳に鳥の鳴き声が響いた。
何の鳥かはわからないが、おそらく番なのだろう。夕焼け色の空を背景に仲良く飛びまわった後、ゆっくりと武田の陣地近くの林に下りていく。
――その光景を見た義清の眼差しに、不意に鋭い光がよぎった。
その光を消さないままに、武田の旗指物が乱立する山麓に視線を据える。静かな――鳥が舞い降りるほどに静かな、その陣容。
「……しまったァッ!」
思わず、義清は叫んでいた。思えば、測ったように決まった刻限に攻めてきた内藤勢がいまだに寄せてきていないではないか。
常の義清であれば敵陣の兵気を見過ごすなどありえないが、やはり長きに渡る篭城で心身が疲弊していたのかもしれない。
「雅方ァ!」
「は、どうなさいましたか、義清様!?」
「武田が兵を退いたぞッ」
「な、なんですと!?」
義清の言葉に雅方は慌てて麓を見る。
確かに妙に静かな気はするが、と雅方は首を傾げた。義清ほどの戦術眼を持たない雅方には断言できかねた。
しかし、これまで義清がこの種の言葉を発して誤ったためしはない。
それを知る雅方は口を開き、追撃の可否を問う。
「追いまするか? 先刻まで戦っていたのです、さほど遠くへは行っておりますまい!」
その雅方の言葉に、義清は大きく頷いた。
「そうだな。だが、相手は内藤と春日だ。撤退と見せてこちらを誘き寄せるか、あるいは我らを城外に引き出して、その隙に城をのっとるつもりかもしれん。雅方は城に残って守りをかためよ。わしは馬廻り衆を率いて追撃をかける」
あっさりと言う義清に、雅方はとんでもないとばかりに、大仰に首を左右に振った。
「なりません! それでは役割があべこべでございましょう。危険を冒すは我ら臣下の役目でござる!」
「……む」
雅方の言葉に義清は言いよどんだ。
内藤、春日の退却は偽りではないと、義清の武将としての勘は告げている。
常であればそれに従ってみずから追撃を仕掛ける義清であるが、ついさきほどその勘が鈍ったことを自覚したばかりとあって、雅方の進言にも理を感じるのである。
そのときだった。
「も、申し上げますッ! 麓より騎馬が一騎、近づいております。掲げるのは――上杉の旗!?」
戸惑いを隠せない様子の兵が報告をおこなう。
見れば、たしかに城門に向かって疾駆する騎馬が義清の眼にも映っていた。背負うのは上杉の旗印、これも間違いない。
「何事だ?」
思わず呟く義清。
武田軍の急な退却と、ほとんど時を同じくして到着した上杉の使者。
その意味するものがわからなかった義清は、足早に城門に向かう。わからないのであれば、やってくる使者に訊ねればよい。
吉報か、それとも凶報か。
――あるいは、そのどちらもか。
そんなことを考えながら使者を迎えた義清は、使者の口から語られた事実に声を失うことになる。
村上義清ともあろう者が、一瞬とはいえ忘我の状態になるほどにその知らせは意外なものであった。
すなわち、使者はこう告げたのである。
武田、上杉両軍の和睦成立。
京洛よりの使者の名は細川藤孝様。
仲介された方の御名は、足利幕府第十三代将軍、足利義輝様――