鬼ごっこってこんなに楽しかったっけ?!
よーし、この調子で二人とも捕まえてやる!←(聞いてない)
「お前はなんで今までその力を使わなかったんだ?」
次に音が近いのは…右後ろ木の上!
「それだったら俺だってもっと本気でお前と遊べたのに…っておい!」
いよっしゃ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!
途中からクライマックスだぜ!!
今度は、右足に魔力を集めて…ゴー!
「あっ、おい待て!」
スゲェ!いま、俺は風になっている!
これなら、行ける!行けるぞ!
この匂いは…シアンだ!目標視認、木の上!
今度は、両足に力入れて、一気に跳ぶ!
これでどうだ!
「ウワッ!」
ッシャー!捕まえた
「なっ…!なんでお前が……」
最後の一人!ローゼ覚悟しろよ!
「キャァァァァァァァァァ!」
「「今の声!」」
ローゼだ!間違いない!
幸いにも強化された耳のおかげで、位置の特定はできた。
今度は、もっと力を込めて…跳ぶ!
ダン!、バキャア!
後ろの木が凹んだ気がするけど今はローゼだ!
「大丈夫か!?」
ローゼと何かの間に入った。
俺がそこにみたもの、緑色で醜悪な顔をしたそいつは、知っている人も多いであろうあれに酷似していた。
それはゴブリンだった。
「グギャギャギャギャ!」
なんでこんなとこにゴブリンが?!いや、そんなことよりも−−−
「ローゼ早く俺の後ろに隠れて!」
俺とゴブリンの差は、だいたい20メートル。何とかなるか……?
「おいっ!糞ゴブリンっ!こっちを見ろ!」
そう言いながら俺は、ゴブリンの横を大きく回りながら進む。
「グギャーーー!!」
どうやら、言葉通じたようだった。もっとも、理解しているとは思えないがね。
「さぁ、来い!
来い、来い、来い、……キタッ!」
「鈍間ゴブリン、こっちへ来いよ!」
「グギャギャグギャ!!」
このままローゼからこいつとの距離をははなさないと!
魔力を常に足に送って、木々を蹴りつけながら走っていく。
【ドクンッ】
何か、何か武器になる物を探さないと!
あった!かなり先の尖った木の枝!
【ドクンッ、ドクンッ】
ゴブリンとの距離は、5メートル!これぐらいなら!
急停止して、進行方向とは真逆に走る!
【ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ】
「グギャギャグギャ!」
ゴブリンの驚いた顔はとても面白かった。が、これで終いだ。
とんがった木の棒で、急所を外して……刺してやる!
《殺せよ…》
(えっ…!殺…せ)
《邪魔なものは壊してしまえ…》
(壊…して…しまえ…)
「…ッハ!」
目の前にゴブリンがいた。酷く心が落ち着いていた。俺は思った。………こいつは…殺れる。
ゴブリンが持っている何かを頭に振り下ろしてきた。俺は、左上から近づいてる何かをその瞬間斜め左前に出て避ける。
それと同時に、右手に持っている木の先端をゴブリンの首に突き立てる。首の裏から木の前端が見えた。
「グ、ギャ…!」
そして、木を引き抜く。
ブッシャァーー!
恐ろしいほどの血が吹き出す。
俺は、今、とてつもない高揚感にあふれていた。
ゴブリンの首を木で突き刺した時の感触。そして何よりも命を奪ったという事実。
前世にはできなかったことを初めてやった。本当に初めての感覚だった。
俺は、この時チーター思い出した。狩るものと狩られるもの、自然界では、毎日が命をかけた鬼ごっこをしている。
だが俺は、そんな鬼ごっこがとてつもなく楽しくて、興奮した。
「ユートー!大丈夫ー?」
ヤベッ、ローゼだ!どうやってこの死体ごまかそう……うん、無理。
こうなったら自分から会いに行って、見つからないように頑張ろう……ハァ…
「あ!ユート!大丈夫だった?!!」
さぁ、どうにかしようか。
実際に刺したら、どんな感触なんでしょうね?(悪い顔)