表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/71

「死鬼王」捜索

 その日は、それ以降遭遇もなく、陽が暮れた。

 焚き火を囲んで夕食を摂りながら、私たちは今後の方針について話し合っていた。

 議題は他でもない、休まず捜索を続けるかどうかについてだ。


 私たちは<妖詩勁>の力で、疲労も睡眠も、食事さえ必要とせず、従って休息を取る必要はない。

 だが適度な休息が頭や身体にとって有益なことに変わりはない。

 例えば、集中力などだ。


 いざという時にミスを犯す可能性を考慮すれば、休息を取ることに理があるだろう。

 しかし、私たちは急いでもいた。

 早く「死鬼王」を斃せれば、それだけ被害は減るのだから。


 これまでも、強行軍はしても休息自体は取っていた。

 まして、<妖詩勁>を会得したばかりの霓ちゃんもいる。

 まだ力が馴染みきっていないということもあるだろう。


 捜索優先派は、沙彩ちゃんとセラちゃん、そしてリィシィちゃんだ。

 休息入れよう派は、クレアちゃん、雫ちゃん、そして私だ。

 絢佳ちゃんは黙って見守っている。


 票が割れたところで肝になったのが、入ったばかりの霓ちゃんということになってしまった。

 しかし、決定権をいきなり霓ちゃんに託すのは荷が重いと思われた。


 なので私は必死に考えた。

 ここはリーダーたるもの、なんとかしなくてはいけないと思ったのだ。


「あのね、休息を取るということと矛盾するかもしれないんだけど、アーティファクト作成とか<武術>作成とか、そういうのをまず終わらせてしまうっていうのはどうかな? 戦力アップや安定にも繋がるし」


「捜索はどうするんですの?」


「捜索もするの。でも少し時間短めで。その後、今言ったような<姫詩勁>の作業に使って、それから休むの」


「なるほどなぁ。どうだ、沙彩?」


 クレアちゃんがそう言った。


「確かに、一理ありますね。武装を調えれば、勝率も上がるでしょうし」


「そういうことなら、あたしも賛成だ。早く<武術>を戦える形にしたい」


「わたしも賛成」


 霓ちゃんがそう言ったことで、それが結論となった。


 その後は、各自の研究・研鑽に入ったので、私は見張り番になった。

 絢佳ちゃんもおなじだ。


 しばらく周囲を見て、なにもないことを確認した後で、私は絢佳ちゃんに聞いた。


「そう言えば絢佳ちゃんは、<姫詩勁>をどう使うの?」


「んんー、わたくしはとりあえず使い道は考えてないです」


「え? だったらどうして取ったの?」


「わたくしも、「黒百合」の一員だからです」


 そう言った絢佳ちゃんは、どこか誇らしげだった。


「そっか」


 そういうのもありなのだろう。


「わたくしの力は、みなさんに軽々しく渡していいものではないものと、与えてもあまり意味のないものしかないです」


「意味がない?」


「そうです。「女帝」の力は、わたくしは恋愛方面に全振りしてるです」


「恋愛、方面?」


「わたくしは、愛の使徒ですから」


「そう言えば、そうだったね」


「「執行人」としての力は許可なく使えないですし」


「そっか。わかった」


「でも、いつか使い道が見つかるような気もしてるです」


 私は絢佳ちゃんにうなずいて返した。

 そういうのもいいかもしれないと思ったのだ。


「それじゃあ、みんなが集中できるように、私たちで見張りしてようか」


「そうするです」


 作業は、アーティファクト作成の沙彩ちゃんと霓ちゃん。そして、≪結界≫作成のクレアちゃんと雫ちゃん。

 この二組は一緒にやっている。共同研究することで、開発期間をさらに短縮できるからだ。


 「黒書」対策能力開発のリィシィちゃんと、新<武術>開発のセラちゃんはそれぞれひとりでの作業だ。

 とは言っても、同じく<姫詩勁>を使うので、みんなでの話し合いも多かった。


 見張りをしている私にも、時おり質問が飛んでくる。

 そんなときは絢佳ちゃんに見張りを任せて、私も相談に応じた。


 また、気分転換を兼ねて全体の連携訓練もした。

 霓ちゃんを遊兵としつつ、全員で動きを合わせる練習だ。




 そんな風に過ごして、3日目の逢魔が時のことだった。


 雫ちゃんが、アンデッドの気配を察知した。


「なんかー、アンデッドがわらわらと向かってきてるよー」


 間延びした雫ちゃんの口調と裏腹に、みんなの間に緊張が走る。


 即座に武装を整え、南東方向に向かって陣形を組んだ。

 そして、アンデッドの襲来に備える。


 ≪索敵≫に引っかかったのは、上位種(グレーター)吸血鬼(ヴァンパイア)とその配下だった。

 吸血鬼には、<死勁>の反応がある。


 強敵だ。


 私はすぐにそれを口にした。


「<死勁>持ちの上位種吸血鬼だよ。みんな、気をつけて!

配下のアンデッドも沢山いるよ。えっと、全部で14体!」


 そして、≪感知≫した情報を≪通信≫で送る。


 詳細な内訳は、他に下位種(レッサー)吸血鬼(ヴァンパイア)3体にバンシー1体、そして食屍鬼(グール)が9体だ。

 いずれも初見の相手なので、慎重にいこうと思う。


「陽が暮れたとはいっても、吸血鬼が出てくるには早すぎないか?」


「どういうことですの?」


「向こうもこちらを探しているということですね?」


 リィシィちゃんの疑問に、沙彩ちゃんが答えた。


「<死勁>持ちは「死鬼王」の直属の配下、「黒書の欠片」の手下だ。あり得るな」


 クレアちゃんの言葉に、私は身を震わせる。


 私は、みんなを守らないと。

 がんばらなきゃ。


 間もなく、アンデッドの姿が見えてきた。


 と――


「――、――――、――――――!!!」


 この世のものとは思えない、絶叫が聞こえた。

 魂を震わせる叫び声である。

 バンシーの≪叫び≫だ。


 恐ろしさに胸がばくばくするが、抵抗(レジスト)に成功したのだろう、影響はなかった。

 パーティのみんなも同様だ。


 とはいえ、いきなりの攻撃にみんなは緊張の色が隠せなかった。

 かくいう私とて、それは同じである。

 私は気を引き締めて、アンデッドの近づく先を見つめた。


 ほどなくして、上空にぼろぼろのローブを纏い、蓬髪(ほうはつ)を振り乱した女の霊、のようなものが見えてきた。

 バンシーだ。


 そして地上には、同じくぼろを纏ったものたちが駆けてくるのが見えた。


「じゃあ例の作戦で行くよ。まずは、バンシーをやっつけちゃおう」


 私の声に、みんながうなずく。


 バンシーが空を飛び、私たちの上空に近づいたとき、まず雫ちゃんが先制攻撃をかけた。

 光る魔弾が3発、バンシー目がけて飛んでいく。


 同時に、霓ちゃんが薙刀を投擲し、クレアちゃんが魔導銃を発射した。


 すべての弾矢が命中し、土手っ腹に薙刀を突き刺されたバンシーは、再び不快な叫び声を上げたが、雫ちゃんとクレアちゃんの第2射で沈黙した。

 バンシーは露と消え、薙刀が力なく落下してくる。


 薙刀を拾いに行った霓ちゃん以外は、地上の敵――食屍鬼を睨みすえた。

 食屍鬼の少し後ろには、吸血鬼らしき影も見える。

 しかし、彼らはまだ距離があった。


 とはいえ、吸血鬼の方からこちらへ向かってきたのだから、逃げ出すとも思えない。

 私は、号令をかけた。


「撃て!」


 私も言うと同時に苦無を投じる。

 クレアちゃんが≪火球≫を10発、発顕させて、前方へと射出させた。

 リィシィちゃんも≪炎≫を食屍鬼の目の前に7つ生じさせる。


 食屍鬼は炎に包まれ、身もだえた。


 そこへクレアちゃんの≪火球≫が命中し、爆発した。


 さらに私の投じた苦無が命中、≪火球≫がもう一度炸裂する。


 クレアちゃんの≪火球≫と私の苦無は、後方の下位種吸血鬼にも襲いかかっており、距離分だけの時間差を置いて、私の≪火球≫が爆発した。


 薄闇の中に燃え上がる炎が、アンデッドを容赦なく燃やしていく。


 留めは、霓ちゃんの≪颱鋭≫だ。

 苦しむ食屍鬼を二刀で切り裂き、下位種吸血鬼の首を飛ばす。

 そして、目にもとまらぬ速さで私たちの左横に駆け戻ると、残心した。


 このわずかな時間の攻撃で、アンデッドは上位種吸血鬼の男のみとなっていた。


 やはりアンデッドには「炎」が有効だった。

 もちろん、私たちの<妖詩勁>ブーストのかかった魔法のお陰でもあるのだが。


 彼は、身なりのいい服装に細剣を一本腰に下げていた。

 燃えさかるアンデッドの死骸の向こう側で、闇夜に紅眼が不気味に光っている。


 上位種吸血鬼はゆっくりと向かって左側に歩き始めた。

 視線だけはこちらに向けたままで。


 私たちも再び陣形を組み直し、相対した。


 じりじりと時間が過ぎてゆくのが、神経をすり減らす。


 彼は、おもむろに細剣を鞘から抜き放つと、片手で構えた。

 位置はすでに骸の燃えかすをほとんど回り込んでいる。


 来る――


 足下で土煙が上がったと思った瞬間、吸血鬼は一気に距離を縮めていた。

 強大な筋力によるダッシュだ。


 すかさず沙彩ちゃんが盾を構え、前に出た。

 リィシィちゃんは武器を槍に変えて、投擲する。


 槍は男の目前で細剣に弾かれた。

 そして、次の瞬間には、彼は沙彩ちゃんに細剣を振り下ろしていた。


 火花が散って、沙彩ちゃんの盾が細剣を受け止める。

 しかしパワーの違いから、沙彩ちゃんが押されて、一歩下がってしまった。


 そこへ、≪()≫を纏ったセラちゃんが踏み込み、細剣を握る右手を掴んだ。

 そしてそのまま関節を極めて投げようとするが、バキっという音とともに吸血鬼の関節の折れる音がした。


「――!?」


 驚くセラちゃんをよそに、彼は強引に折れた右腕を引き戻すと、瞬間的に治癒した。

 吸血鬼の能力を使った、無茶苦茶な戦闘方法だった。


 そして彼はすぐに沙彩ちゃんの盾を掴むと、膝で押さえつけつつ、盾を曲げてしまった。

 驚くべき膂力だ。


 あまりに非常識な光景の連続に、私たちは戦うことをせずに見入られていた。


 上半分が前方に曲げられた盾を沙彩ちゃんが捨てると、吸血鬼は口角を上げて嗤った。


 そのとき――


 どすっという音とともに、吸血鬼の心臓から槍の穂先が生えた。

 リィシィちゃんが後ろから槍を突き出したのだ。


 私たちはそれを見て我に返ることができた。


 沙彩ちゃんが剣を両手で握って振り下ろす。

 セラちゃんは男の脇に拳を突き込む。

 回り込んだクレアちゃんが彼の左腕を切り落とす。


 そして霓ちゃんが、刀と脇差しを吸血鬼の首の前後から挟み込むようにして切り込み、首を落とした。


 私はそこへ、≪炎≫を発顕させる。


 みんなが一歩ずつ下がったところで≪炎≫の出力を上げ、吸血鬼を燃やし尽くす。


 メラメラと燃え上がった吸血鬼の身体と頭は、すぐに塵と化して消えた。


「ふぅ……」


 私はひと息つくと、念のため≪索敵≫をしたが反応はなかった。


「終わったみたい。みんな、お疲れさま!」


 私の声に、みんなはうなずいた。


「炎での戦闘はうまくいったな」


 クレアちゃんが言うと、


「予想以上ですわ」


「そうですね」


 と、賛同の声が挙がる。


「でも吸血鬼のあの力には参りました」


 そう言って紗彩ちゃんが、歪んだ盾を見た。


 確かにあの膂力は驚きだった。


 手の形に盾の端が歪み、そこからぐにゃりと曲げられている。

 人間にできることではない。


 クレアちゃんが<龍姫理法>で縦の形を平らに伸ばした。


「こんなもんかな?」


「ありがとうございます」


 紗彩ちゃんが盾の具合を見ながら、お礼を言った。


「これで大丈夫そうです」


「アーティファクト作成が間に合ってたら、そんな風にならなかったのにね」


 と私が言うと、


「そうかもしれませんが、それは言っても詮ないことですから」


 沙彩ちゃんは、首を振りながらそう言った。


「うん、そうだね」


 私もうなずいて返した。


 すると、セラちゃんがうずうずしてる感じで話しかけてきた。


「<武術>の作成は間に合わなかったけど、≪気≫を纏って戦ってみたら、アンデッド(あいつら)にはすごい効いてたみたいだ」


「うん」


「やっぱり怪魔とか、そういう連中には有効みたいだ」


「うん」


「下手に<魔術>を覚えるより、こっちの方があたしの性に合ってていい」


「うん、そうだね。私もそう思う」


「だよな」


 私は、そう言って笑うセラちゃんを見つめていた。


「ん? どうした?」


「ううん。なんでもないよ。ただ、セラちゃんが嬉しそうだなって」


 そう言うと、セラちゃんは戸惑ったように目をぱちくりとさせた。

 それから頰を染めると、


「そ、そういうこと言うなよ」


 と言って、そっぽを向いてしまった。

 その様子がおかしくて、私は笑う。


「うふふ」


「なんだよ、笑うなよ」


「だって、セラちゃんかわいいんだもん」


 セラちゃんはますます頰を赤らめると、俯いてしまった。

 そんなさまもまた、いじらしい。


 そうして私が幸せな気分に浸っていると、


「なんか来るよー」


 雫ちゃんの声に、冷や水を浴びせられた。


 振り向くと、雫ちゃんが遠くの方を見つめていた。

 吸血鬼が来たのとはまた違う方角だ。


「なんかひとり――いや、一騎かなー。すごいスピードで近づいてくるよー」


 間もなく、なだらかな丘の上に早駆けする騎馬らしき影が見えてきた。

 薄蒼く陽炎のようなものを纏うその姿は、ふつうの騎兵ではあり得ない。


 射程距離に捉えたところで、私は≪索敵≫を使った。


「――デュラハン! しかも、<死勁>持ち」


 己の首を抱える首なし騎兵のアンデッド、それがデュラハンだ。


 すぐに馬の蹄の音が聞こえてきた。

 馬ごと漆黒の鎧を纏い、右手には斧を、左手は脇に首を抱えている。

 燃え上がるオーラのような蒼い光が不気味だった。


 私たちはすでに陣形を組んで、待ち構えていた。


 まず、クレアちゃんの≪火球≫とリィシィちゃんの≪炎≫がデュラハンを襲う。


 しかし、デュラハンは気にした風もなく、まっすぐにこちらへと駆け続けてくる。


「効いてない?」


「かもしれない。いつもどおりに行こう」


 私たちは即座に作戦を変更して、魂力を攻撃するいつものパターンに戻す。


 雫ちゃんが弓を引き絞り、魔矢を放った。

 光の矢はデュラハン目がけて真っ直ぐに飛んでいくが、斧の一振りで弾かれしまう。


「強い!」


 沙彩ちゃんを中心に、盾を構えたクレアちゃんとリィシィちゃんが前に出た。

 リィシィちゃんは、フレイルに盾という装備だ。


 その後に、セラちゃんと霓ちゃんが続く。


 私は軽く飛び上がって、苦無を放った。

 しかしこれも、素早い斧の振り回しによって、ことごとく弾かれてしまった。


 そして、駆けてきた勢いそのままに、デュラハンは沙彩ちゃんに斧を振り下ろした。


 激しい金属音と火花が衝撃の強さを物語っている。


 しかし、沙彩ちゃんは耐えきって、剣を揮い返した。

 クレアちゃんとリィシィちゃんも同時に攻める。


 デュラハンはクレアちゃんの剣を受けきれずに鎧に斬り込まれる。

 しかし、クレアちゃんの剣とリィシィちゃんのフレイルは巧みな斧捌きで防ぎきった。


 今までにない技巧派の敵だと感じた。


 私は≪影潜(かげひそ)み≫を使って足下に消えると、≪影渡(かげわた)り≫でデュラハンの足下から飛び出した。

 そしてそのまま忍者刀を振り切って、デュラハンが左腕で抱える首を切り裂いた。


 デュラハンの首は驚愕の表情のまま真っ二つになり、地面に落ちて転がった。

 私はすぐに再び≪影潜み≫と≪影渡り≫を使って、元の場所に戻った。


 そこへ、クレアちゃんの剣が胴鎧に突き立った。

 沙彩ちゃんは剣を斬り下ろしていき、少しずつ鎧が裂かれていく。


 リィシィちゃんのフレイルがデュラハンの斧を捉えて、粉砕した。

 うっすらと≪気≫によって光るセラちゃんは、馬に突きと蹴りと連続して叩き込んでいる。

 霓ちゃんも、薙刀を一閃させて馬の右側の足を切り落とした。


 デュラハンが右側に倒れこむ。


 リィシィちゃんがフレイルを土手っ腹に叩き込むと、地面に横になったデュラハンは動かなくなった。

 同時に馬も動きを止める。


 そして、デュラハンの鎧だけでできた身体が、ゆっくりと塵と化して崩れていった。


 私は再び周囲を≪索敵≫する。

 なにもいない。


 雫ちゃんを見ると、首を横に振っていた。


「終わった、のかな……」


 私がため息とともにそう言うと、


「そうだといいがな」


 厳しい表情で周囲を見回しながら、クレアちゃんが言った。


「念のため、魔導車両に戻って休もう」


「うん、わかった」


 私たちは、車内に入ると思い思いに壁にもたれかかり、身体を投げ出した。

 身体より精神にきた。

 もとより疲労は溜まらない身体なのだが、そう思えてしまう。


 それくらい、連戦はキツかったのだ。


 気を利かせたリィシィちゃんが野戦用のカップに水を注いでみんなに配ってくれた。


「ありがとう、リィシィちゃん」


「これくらいなんでもありませんわ」


 そう言って微笑んだリィシィちゃんの笑顔に、一番癒やされた気がした。


「みんな、どう思う? これで配下の<死勁>持ちはあらかた斃せたんじゃないかと思うんだが」


 クレアちゃんの言葉に、みんなはうなずいた。


「あたしもそう思います」


「わたくしもです。「黒書の欠片」が<黒勁>をそれほど高く所有していることは稀です」


「じゃあ、今度はいよいよ「死鬼王」ってことかな?」


「でも、わざわざ向こうから来てくれるでしょうか?」


 沙彩ちゃんの疑問には、沈黙が下りた。


「だけど、これで本当に<死勁>持ちの配下がいなくなっていたら、被害は確実に減るんだもん。前向きに考えようよ」


 私が言うと、


「そうだな。その通りだ」


 クレアちゃんがうなずいてくれた。


「今夜は順番に見張りを立てて、残りの人はゆっくり寝ることにしようよ」


 私の提案に反対するものはいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ