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第26駐屯キャンプ

 午後からの運転は篠岡さんだったので、私たちはパーティ回線でこっそりと話し合っていた。

 もちろん、この回線も私の<光魔勁>で「柱」を立てて作り直してある。

{どうしたらいいのかな?}

{絢佳、やっぱり無理だと思うか?}

{無理です。せめて<勁力>がないとどうにもならないです}

{だよね}


{それにわたくしの力で「第五写本」を破壊しようとしたときに、祝ちゃんの魂に甚大な損傷を与える気がしたです}

{言ってたね}

{彼女の見立ても鑑みれば、その可能性は高いと思うです}

{では、どうすればいいんですの? このままでもよくないというのですよね?}

{今まで大丈夫だったんだから、ってことはないのかな?}

 私の疑問に答えられるひとはいなかった。


{あとは、あの子にどこまで話をするか、だな}

{うん。問題はそこだよね}

{というよりもです、あの子もハーレムに入れるんです?}

 絢佳ちゃんの爆弾発言に、私は声を上げそうになった。

{えっ、そっち!?}

{あー、まあ、そうなるよな}

{なりますね}


{ええっ!?}

{また増えるんですの?}

{楽しみだねー}

 無言でジト眼をしてくるセラちゃんがちょっと恐かった。

{そ、それはだって、……霓宮さんの問題だし?}

{まあ、祝ちゃんだから仕方がないです}

 みんなはうんうんとうなずく。


 うう……。

 私にそんなつもりはないんだけどなぁ。

 確かに霓宮さんは美少女だけど、そういう問題じゃないよね?

 それとも、そういう問題なんだろうか?

 うーむ。

 解せぬ。


{このままでは凶だと言うのなら、それをなんとかできないか聞いてみてはどうでしょう?}

 暫くして、沙彩ちゃんが言った。

{どういうこと?}

{「陰陽師」というのは、吉凶の専門家ですよね? 凶の根源自体はどうしようもなくても、対策はなにか立てられるのではないですか?}

{≪物忌(ものい)み≫とかあるもんねー}

 雫ちゃんがそう言ったが、私にはわからなかった。

{なあにそれ?}


{んーとね-、部屋に籠もったりして、凶や禍を避けるっていう感じのこと、かなー?}

{そういうこともできるんだ?}

{うん。昔聞いたことがあるよー}

{東平原の方では<仙道術>が盛んだから、そういう文化があるんだったか?}

 とクレアちゃんが言った。

{そうそう}

 雫ちゃんがうなずく。

{あれ? 雫ちゃんは東平原の育ちなの?}


{そだよー。言ってなかったっけ?}

{でも、翠の森は山脈の反対側じゃない?}

 頭の中で地図を思い浮かべる。

{「聖処女」は特別な樹から樹へのテレポートができるんだよ-}

{そうなんだ}

{その話はあとだ。まず、≪物忌み≫だかで対処できるのかどうか確かめてみよう}

{あ、そうだね}


「えっとね、霓宮さん」

 私が話しかけると、霓宮さんはジトっと私を見て、

「霓」

 とだけ言った。

「えっと?」

「霓でいい」

「ああ。それじゃあ、えと、霓ちゃん。聞きたいことがあるんだけどいい?」

 霓ちゃんはうなずいた。


「元凶は断てないとしても、なにかの対処方法ってあるのかな? ≪物忌み≫? とか?」

「≪物忌み≫することはできる。でも、ずっと部屋の中に籠もっていないといけない」

「ずっと?」

「うん」

「それは、問題あるね」

「うん。しかもずっと潔斎(けっさい)状態を維持しないといけない」

「そっかぁ」

 それはだめだ。


「でも、一度だけ(わざわい)を防ぐのなら手段はある」

「どんな?」

「簡単に言うと、身代わりを持つ。≪祓い≫という呪術」

「それでうまくいくと思う?」

「わからない。禍の力が強ければ、もちろん対抗もできないし、継続的なものならほとんど意味はない」

「うーん。難しいね」

「世の中そんなに甘くない」

「そうだね」


 「妖書」の力がいくらすごくても、できないことはできないのだ。

 霓ちゃんが<妖詩勁>を会得したら、違うのだろうか?

 ついそう考えてしまうのも、よくないことなのかもしれない。

 禍根が「黒書」だとしたら、それでもうまくいくとは限らないだろうし。

「そもそも、凶の結果がなにを意味するかも、まだわかってない」

 不意に霓ちゃんが言った。

「どういうこと?」


「言葉通りの意味。どんな禍が降りかかるか、わからないってこと」

「うーん」

「あなたにとって、一番、」

 そこまで霓ちゃんが言ったところで、私は手を出して言葉を止めた。

「待って。私の名前は祝だよ」

 一瞬、目をぱちくりさせたあとで、

「祝にとって、一番厭なことってなに?」

 私は笑顔でうなずいた。


「厭なこと、かぁ。それはたぶん、みんなに――パーティのみんなに不幸が訪れること、かな?」

「真っ先に思い浮かぶことがそれなの?」

「うん。そうだよ」

 霓ちゃんは不思議そうにして、

「そうなんだ。祝はお人好し。いや、いいひと、なのかな」

「そう?」

「うん。普通は自分が第一」

「まあ、そうかもね」


「でも、だとしたら余計に厄介。パーティにどんな禍が降りかかるか、ということになる」

「私の一番厭なことが起こるの?」

「必ずではない。でも、優先度は高くなる」

 私は身を震わせた。

「それは、ほんとになんとかしないと、だね」

 私はみんなを見た。

 みんなの表情にあったのは、私を心配する眼差しだった。

 心があったかくなるのを感じる。

 と同時に、しっかりしなくては、と思った。


 みんなを守るためなら、私は手段を選ばない――


 不意に、そう決意の想いが湧き上がってきた。

 霓ちゃんを巻き込んででも、可能性を追求する。

 私はそう決断した。

「ねぇ、霓ちゃん。よかったら、私たちのパーティ「黒百合」に入らない?」

 自然と、そう言葉にしていた。

「え?」

 霓ちゃんは、流石に驚いたのか、目をぱちくりさせていた。

 急になにを言い出したのかわからない、と顔に書いてあった。


 私は霓ちゃんの耳元で、小声で囁いた。

「私たちの力も会得させてあげる」

 霓ちゃんは、バッと振り向いた。

 顔が近すぎて、思わず身を引いてしまう。

「ほんと?」

「うん」

「入る」

 即断即決だった。


 私はにんまりと笑う。

 そして再び耳元で、

「じゃあ、パーティだけになったら、ね」

「わかった」

 私はうなずいて、一度離れた。

{霓ちゃんをパーティに入れることにしたから、みんなもよろしくね}

 パーティ回線で報告すると、

{ずいぶんと思い切ったな}

 とクレアちゃんが言った。


{うん。手段は選んでいられないかなって思ったの}

{祝ちゃんの判断に従いますわ}

{ええ}

{あたしも}

{わたくしもです}

{私もだ}

{みんな、ありがとう}



 夕方になったところで魔導車両を止め、そこで野営の準備をした。

 遮るものがない状態で見る鬼霪は、上空に曇天を抱えて薄気味悪く見えた。

 季節的にはそろそろ初夏なのだが、霪のせいか肌寒い。

「なにを見てるんですか?」

 と声を掛けながら、沙彩ちゃんが近づいてきた。

「鬼霪」

「あまり見続けない方がいいですよ。悪いものを呼び寄せると言われています」

「わかった」

 私は視線を沙彩ちゃんに向けた。


 浅黒い肌と白銀の鎧のコントラストが美しくも凜々しい。

 沙彩ちゃんは、かっこいいのだ。

「なんですか?」

 私が見とれていると、沙彩ちゃんが聞いてきた。

「ううん。なんでもないよ。ふふっ」

 私が笑うと、沙彩ちゃんも笑った。

 ふたりで手を繋いで、焚き火のそばまで歩く。

「あー! 沙彩ちゃんいいなー!」

 私たちに気づいた雫ちゃんが、そう言いながら駆け寄ってきた。


 そして、私の反対側の手を繋いでくる。

「えへへー」

 嬉しそうにする雫ちゃんを横目に、私は決意を新たにしていた。


 ――私は、この幸せを守る。

 ――絶対に手放さないんだ、と。


 みんなで交代しながら夜の番をして、なにごともなく翌朝を迎えた。

 相変わらず死気は強いが、アンデッドがうろついているということはないみたいだった。

 翌日も魔導車両に揺られての移動が続く。

 私たちは雑談をしながら時間を過ごした。

 徐さんと篠岡さんは終始無口だったが、敢えて気にはしなかった。

 そして午後も半ばを過ぎた頃、前方に木製の砦が見えてきた。


 第26駐屯キャンプだ。

 小高い丘を囲むように張り巡らされた木製の塀と、その前に堀も作られている。

 物見櫓が4つ築かれており、中には兵舎らしき建物の屋根がいくつも見えていた。

 門扉は厳重に作られ、その上には「聖印」が掲げられていた。

 門衛のうちのひとりが、こちらに駆け寄ってくる。

 運転していたクレアちゃんが魔導車両を止め、窓から顔を出した。

「パーティ「黒百合」の「姫騎士」クレアだ」


 門衛の男は、敬礼をして答えた。

「お待ちしておりました。中へどうぞ」

 クレアちゃんはゆっくりと魔導車両を発進させ、門をくぐった。

 中には、思っていたよりも多くの人がいた。

 兵士に指示されて、魔導車両の並ぶ一画に車を止める。

 そして、私たちは外に出た。


 待機していた龍孫人の若者に見える魔導騎士が敬礼した。

「第26駐屯キャンプ責任者の魔導騎士柘植(つげ)(しゅん)です」

「パーティ「黒百合」のリーダー、「姫騎士」の不解塚祝です」

 私が返礼すると、柘植さんは驚いたようだった。

「失礼ですが、あなたが不解塚卿なのですか?」

「はい。そうです」

 こういうやり取りももう慣れてきた。

「よろしくお願いします」

「あ、こちらこそよろしくお願いします」


 私はその場で、柘植さんに徐さんと篠岡さんを紹介し、引き継ぎの話をした。

 そして、私たちの宿舎へと案内された。

 魔導騎士など身分のあるもののためにいくらか立派に作られた建物だ。

 その一室に通される。

 二段ベッドが並ぶ、実用一点張りの部屋だ。

 特になにも言われなかったので、霓ちゃんも一緒だ。

 私たちは着替えなどをベッドの上に置くと、ベッドに腰掛けたり床に座ったりして集まった。


「やっと着いたね」

「そうだな」

「ここからが正念場ですわね」

「がんばろー」

「そうですね」

「うん」

 みんなで思い思いに言葉を交わす。


「わたしは、どうしたらいい?」

 霓ちゃんが早速聞いてきた。

「ちょっと待ってね」

 私は部屋に≪結界≫を張る。

「これでよし、と。まず、話をするね。一応それを聞いてから、どうするか決めて欲しいの」

「わかった」

「ちょっと長い話になるよ」


 そして、私は今までのこと、「世界法則」のこと、そして「妖書」や「黒書」、「監視者」やリルハのことなどを話した。

 それから「妖書」を顕現させて、<妖詩勁>についても見てもらった。

 霓ちゃんは、じっと「妖書」の紙片を見てから、

「正直に言って、想像を絶する話だった。この力も」

「驚いた?」

「うん。でも、わたしの気持ちは変わらない」

 霓ちゃんの真剣な眼差しに、私はうなずいた。

「よかった」

「よかった?」

「うん。霓ちゃんには、パーティに入って欲しかったから」


 予想外の言葉だったのか、霓ちゃんは目をぱちくりさせて、頰を染めた。

 かわいらしい。

「みんなも、それでいいよね?」

 私が言うと、みんなもうなずいてくれる。

「それじゃあ、心の準備はいい?」

 霓ちゃんは、こくりとうなずいた。

 私は「妖書」から一頁切り取ると、霓ちゃんに渡した。

 霓ちゃんが受け取ると、頁はすーっと消えていった。


 霓ちゃんの中に、私から譲渡された<妖詩勁>が根付いたのがわかる。

「すごい」

 霓ちゃんは、「妖書」の力を体感して、身を震わせていた。

「「妖書」の力を使ったら、私の呪詛をどうにかできそう?」

 私が問うと、

「うん。でも、今はまだ無理かも。力が足りてない可能性がある」

「そっか、わかった。じゃあそれは、できるようになったらでいい」

 私はうなずく。

「でも、なにか気づいたり、できそうなことがあったら言ってね?」


「うん」

「それと、会得できる<勁力>は会得してもいいけど、私の<個人本性>も一緒に会得して欲しいんだ」

「わかった」

 それから私は霓ちゃんを組み入れて、パーティ回線を作り直した。

{秘密の話はこちらでね?}

{うん}

「戦闘中もこちらを使うことがあるから、気をつけてくれ」

 クレアちゃんが言うと、霓ちゃんはそれにもうなずいた。


「それにしても、すごい力」

 ぽつりと、霓ちゃんが言った。

「だよねー。びっくりしちゃうよねー」

 雫ちゃんがそれに応じた。

「うん。でも、嬉しい」

「嬉しい?」

 クレアちゃんが聞き返す。

「うん。わたしは、小さい頃から、英雄譚を聞いて憧れてた」

「なるほどな」


「これは、まさしく英雄の力」

「英雄、かぁ」

 私が言うと、

「祝ちゃんは、そうは思いませんの?」

 とリィシィちゃんが聞いてきた。

「なんか、英雄とか言われると面映ゆいというか、自分には分不相応な感じ」

 すると、みんながくすくすと笑った。

「えっ、なんで笑うの?」

「いえ、そういうところが、祝さんのかわいいところだっていうことですよ」

 なにかを見守るような視線で沙彩ちゃんが言った。


 私は恥ずかしくなって、顔を伏せた。

「そだねー。祝ちゃんは特別かわいいもんねー」

「もう、やめてよ!」

 雫ちゃんの追い打ちにそう言うも、みんなはさらに笑うのだった。

 見れば、霓ちゃんの顔にも、笑顔が咲いていた。

 とても、きれいな笑顔だと私は思った。



 翌朝――

 私たちは、キャンプのみんなの熱い声援を受けながら、出発した。

 最初の運転手とクレアちゃんだ。

 微かに道だと判別できる程度の悪路を、魔導馬力で走破していく。

 しかし、速度はそんなには出さない。

 ここはもう、探索範囲だからだ。

 <感気>や≪感知≫の範囲はそれほど広くないので、ここは野外での広大な索敵のできる雫ちゃんの出番である。

 「妖書」の力で疲労がないとは言っても、集中力の限界はあるので、休み休みの行軍だ。


 その間私は、霓ちゃんが≪祓い≫の≪霊符(れいふ)≫を作るのを見ていた。

 今まで<仙道術>の使い手は近くにいなかったので、物珍しかったのだ。

 霓ちゃんは、紙片に文字のような記号のような図案のようなものを筆ですらすらと書いていく。

 がたごとと揺れる車内でも、筆捌きには迷いがない。

「ん」

 霓ちゃんは、完成した≪祓い≫を私に差し出してきた。

「身につけてて」

「ありがとう」

 私は懐に大切にしまった。



 その後は、<姫詩勁>の力を決めるのに時間を使った。

 作成者である私がやるのが一番早いからだ。


 まずは、<妖詩勁>前提での、アーティファクト作成支援能力。

 アーティファクト作成の時間を1週間に短縮するものだ。


 それから、おなじく<妖詩勁>前提での、<技術>開発支援能力。

 <武術>や≪奥義≫、≪呪文≫の開発期間を短縮するもの。


 そして、<妖詩勁>の「領域」を基にした≪結界≫作成能力。


 それらに追加して、パーティの防御力増強と黒勁対策能力や「柱」作成能力、各種耐性などを作っておく。

 あとはみんなで相談しながら各自が開発できるようにした。

 <姫詩勁>自体も、みんなでシェアしながら成長させられるので、すくすくと育ってくれることと思う。

 ちなみに霓ちゃんは、式神と簡易祭壇のアーティファクトを作ると言っていた。



 出発して3時間ほどが過ぎた頃、雫ちゃんが顔を上げた。

「いたよー!」

 みんなの顔に緊張が走る。

 クレアちゃんは、すぐに魔導車両を停止させた。

 一斉に車外に出ると、陣形を組んで並ぶ。

 まだ連携訓練をしていない霓ちゃんは私の横だ。

 左前方の空に、黒い影が見える。

 レイスかなにかのようだ。


 少しして、≪索敵≫が影を捉えた。

「エルダーレイス1体、それに地上に幽鬼が2体いるよ。どれにも<死勁>はなし!」

 みんなが武器を構え、臨戦態勢を取った。

「まずボクからいくよー」

 そう言って雫ちゃんが魔矢を放った。

 光の輝線が前方に伸びていき、エルダーレイスに命中する。

 魂を震わせる絶叫が響くが、恐怖耐性がこれを抑え込んでくれる。


「私も加勢しよう」

 クレアちゃんが魔導銃を構えて、エルダーレイスを撃った。

 続けて雫ちゃんの第二矢が当たる。

 これでも倒せないのは、流石のエルダーというところだろうか。

 しかし、さらに続けたふたりの射撃の前に、遂にエルダーレイスは塵と消えた。

 残るは幽鬼2体。

 そこで、霓ちゃんが大小を両手に構えて、言った。

「行く」


 止める暇もあらばこそ。

「≪颱鋭(たいえい)≫」

 霓ちゃんは残像を残しながら瞬く間に間合を詰めると、両刀を幽鬼2体に同時に振り下ろす。

 その速度は、斬撃と動作が速すぎて、霓ちゃんが霞んで見えるほどだ。

 そして颶風のように通り過ぎると、反転して止まった。

 しかし、幽鬼はまだ倒されてはいない。

 ゆっくりと振り返り、霓ちゃんの方を向いた。


 その瞬間、再び霓ちゃんが動く。

 やはり幽鬼2体に同時に斬りつけつつ、私たちのところへと戻ってきた。

 そこへ、雫ちゃんとクレアちゃんの攻撃が飛び、幽鬼もまた塵に還った。

「霓ちゃん、すごい」

 私が言うと、刀を鞘に収めながら、霓ちゃんが振り向いた。

「ん」

 その顔は誇らしい。


 しかし、

「勝手な飛び出しは駄目だ」

 クレアちゃんが駄目出しをする。

「なんで」

「まだ霓とは連携訓練をしていないから仕方なかったかもしれないが、相手がどんな強敵かもわからないんだ。全体で動かないと駄目だ。私たちは命を預け合うパーティなんだから」


 霓ちゃんは、こくりとうなずいてから、

「わかった。もうしない。ごめんなさい」

 と深々と頭を下げた。

「うん。わかればいいんだ」

 クレアちゃんは、霓ちゃんの頭を撫でた。

 素直な霓ちゃんの反応に、私はほっこりとした。

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