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震える
本当に泣きそうだ。
紅夜様に私の名前を呼ばれる日がくるなんて。
泣きそう泣きそう。
紅夜様。
「は、はい、亜瑠です……」
唇が震える。答えるだけで、噛むなんて……。
私の頭の中は、紅夜様でいっぱい。
紅夜様
紅夜様紅夜様
紅夜様紅夜様紅夜様
紅夜様紅夜様紅夜様紅夜様
紅夜様紅夜様紅夜様紅夜様紅夜様。
唇が勝手に動く。紅夜様、と呼ぶために。
「こ」
「紅夜!亜瑠ちゃんに用事があったんじゃなかったの!?」
私が紅夜様、と呼ぶよりも早く、あの女がくいくいと紅夜様の袖をひっぱる。
よ
び
す
て
!?




