4 先輩とヤカンの中の熱湯
行き当たりバッタリで投稿してます。
過度な期待はしないで下さい。
誤字、脱字、オカシナ点があっても優しく見守って下はい。
先輩が鬼畜すぐる件について。
留まるところを知らないけど、そんな事は私は知らにゃい。
基本、放置の方向で生暖かく見守るのだ。
止める?何をバカな、私には無理。触らぬ先輩に祟りなしって事です。
「後輩、こいつ等縛るの手伝って」
ポイッと何か投げて寄越す。どんな危険物か分からないので慌ててキャッチ・・・成功。
落とした途端にドカンとか嫌ですよ、あ~ビックリした。心臓に悪い。
「で、なんすかコレ?」
初めて見るが危険物ではなさそうだ。
袋の中に何本も細長いプラスチック状のものが入っているので、徐に一本取り出す。
「結束バンドとかインシュロックって呼ばれる便利グッズだ。そこの穴に反対側を差しこんで、そうそうそんな感じだ。よし、次だ」
先輩が気絶した盗賊達(私の脳内では既に盗賊と決定済み)をうつ伏せにして、彼等の両手を後ろ手に交差させる。そして私が、なんとかバンドで両方の中指をギュッと縛ります。1本でも十分だと言われましたが、心配なのでオマケにもう一本追加です。
意外と簡単だったので、全員を拘束するのに時間は掛かりませんでした。
よし終わった終了、終了。いい仕事したぞ、私。
「た、助かりましたぞ、旅の方。私はファーレン公爵家にお仕えする執事ラルド・セバスと申します。貴殿等が加勢してくれたお陰でお嬢様を危険な目に遭わせずに済みました。心から感謝を」
この世界の貴族様ご一行の馬車だったらしい。リアル老執事は腰に帯剣してはいるが、どうみても荒事には向かない感じだ。よく生きていたものだと感心してみる。
貴族達の怪我は盗賊達によるもので、ロケット花火による被害はゼロだ。
先輩の放ったソレらは軌道を変えながらも見事に全弾盗賊達の身体を目指して爆ぜていた。
命中補正が半端ないけど、中等部から先輩を知る私は別段驚かない。
敢えて言おう、いつも通り(平常運転)であると!
「いえいえ、困った時はお互い様です。それよりも怪我をした護衛の方々は大丈夫でしょうか?」
「はい。万が一に備えて治癒師も同行しておりました故」
「爺さん。そんな事より、この先になんか町はあるのか?」
先輩、確かに白髪のお爺さんですけど正直過ぎると老執事さんが可哀想じゃないですか。貴族関係の人に対して不敬罪とかなんとか言われて牢屋は嫌ですよ。
臭い飯は先輩一人で食べて下さい。
そんな事よりフォロー、フォローしなきゃです。
「すみません。私達、貴族の方と話す事なんてなかったもので、無礼な言動はご容赦願います」
「ほっほっほ、構いませぬよ。それより、町でしたな。ここから馬車を一刻ほど走らせると迷宮の町タルタロに到着致します。我等の別邸もございます。助けて頂いたお礼も致したいので、宜しければぜひ御二人にも御同行をお願い致したいところです」
出来た爺さんで良かった。じゃなくって老執事、老執事。
「おお、爺さん良い奴だな」
「それよりも問題はこれですよ、コレ。賊の人達、どうしましょう?」
町まではそんなに遠くない。連れていくにしても気絶状態じゃあ不味い。馬車に無力化したとはいえ、盗賊と相乗りは御免だ。ならどうする、殺っちゃうか?
「問題ない。馬車の後ろに繋いで走らせればいい」
「でも、この人達起きないですよ」
二度目の「問題ない」発言をした先輩の手にはヤカンがあった。
ヤカンの側面にラグビー部と書かれているそれの中身は水ではなかった。
お湯なんて表現が生温いぐらいには、湯気を出してる熱湯を盗賊達一人一人に掛けて周る。
「ギャー」とか「やめてくれ」とか悲鳴を上げ、転げ回る様は某お笑い芸人のようだ。
ちなみに先輩は「やめて」という台詞を吐く人には再度、熱湯をおかわりしている。
そのお約束は異世界じゃ理解されないですよ。
服を着ているので、熱湯の効果は覿面であります。
見ているこっちまで熱い。
呻いてはいるが、なんとか全員目を覚ましたようなので出発するようだ。
首に縄を巻いて馬車の後部に括り付ける。
「でっぱつ進行ーッ!」
ヒヒーン パカラッパカラ
その後、《お湯をかける少女》と盗賊に恐れられた事を彼女は知らない。
熱湯、危険! 特殊訓練をした芸人以外はマネしないでね☆
因みにヤカンの中身は麦茶でした。全くヤムチャしやがって。