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異世改モノ・クローム  作者: 武器子
12/13

10 真白衛門と呼んで良いですか?

あの不思議なポケットが欲しいのです。

青狸は猫とは認めんよ、猫とは。

きっとアイツが来たせいでダメ人間が出来たんだよ。

 なんか厨房から美味しそうな匂いがしてきた。

 よくよく考えてみると私、この世界に来てから一度たりともお役に立ってないような気がする。

 手伝いにいった方が良いのだろうか?

 でも、邪魔しちゃ悪いよねって事で待ちに徹する。


 私、今まで料理に関しては作るどころか手伝いさえさせてもらえなかった。 

 

 家庭科の授業では、お皿を運ぶ係だった。

 そのお皿でさえ、転んで盛大に割ってしまった。

 鈍臭いお陰で、その役目さえ与えられなくなってしまった。


 家なら幾らでも手伝う機会ぐらいはあっただろうと人は言うかもしれない。

 その貴重な機会は、鍋の火を見るだけだった。

 玄関のインターフォンが鳴って、母が出る為に私に火の番を任せた。

 なかなか戻ってこない母。

 鍋を見てるだけで、暇な私。

 当時10歳の私はちょっと手伝って褒めてもらいたかっただけだった。

 何を入れたかは覚えていない。

 ちょっとした出来心でした。

 戻ってきた母は、出来上がりを見るために味見をした。

 結果、白目を剥いて口から泡を出して倒れた。

 「お、おかあさーん!」


 ピーポーピーポー



 ✖✖✖✖✖✖✖✖✖✖



「コーハイの嬢ちゃん、邪魔するぜ」


 先輩より先に店主の親父さんが先に戻ってきた。


「これってナポリタンじゃないですか」


 ナポリ発祥じゃないのにナポリタン。

 イタリアに行ってもナポリタンを頼んではいけない。

 横浜で生まれた説が有力っぽいみたいです。



 《真白特製ナポリたん》

 真白シェフが大雑把かつ適当に調理した料理。

 本人の与り知らぬ処で、食材達が手を取り合い120%の実力を発揮した為、食材の愛情たっぷり。

 【効果:疲労回復(大)、肩凝りと眼精疲労にも効果アリ】



 料理を見ただけで、勝手に解説してくれる鑑定さん。

 自動鑑定には何か条件でもあるのだろうか? 

 でも、ナポリタンじゃなくナポリたんって文字の響きはぷりちー感パネっす。


「ほぉ、これは《なぽりたん》って言うのか」


 ナポリたんです!!


「はい。それで先輩は?」


「まだ何かしてるが温かい内にさっさと食べろとよ。俺もコッチで頂くぜ」


 オヤジさんの持ってきたナポリタン2つ。

 1つは私の前に、もう一つは対面の自分の所。

 オヤジさんも食べるん改ッ!


「・・・・・・・・」


 無言で食べ始める中年オヤジ。

 店内ガラガラなんだから他で食べて欲しい。

 知らない人と一緒とか・・・なんか気まずい。

 そして食べ方が汚い。


 気を取り直して私も食べる。


「・・・・・・・」    美味うまッ♡


 二人とも無言で食べ進める。

 懐かしい感じの優しい味に胃袋をガシッと掴まれた。


 フォークでグサッとしてクルクルでパクッを繰り返す。

 気付けば、あっという間に平らげていた。


「ほい、お茶」


 食べ終わったのを見計らったかのように先輩登場。

 もしかしたら、この人は未来から来た猫型ロボットの親戚ではないだろうか?

 あまりに万能過ぎて、頼りすぎたら駄目になる。


「プリンも食べるか?」


 縦に首を振る。

 そして悟った。ダメでもいいんだと。






 ~宿屋のオヤジ編~


「オヤジ、どうだった?意外と美味かっただろう」


「ふん、まぁまぁ小娘にしては合格点ってとこだな」


「ふむ、やっぱり私達と少し味覚が違うのかもな」


 自信満々の顔で、料理の感想を求めてくる少女に儂は虚勢を張るしかなかった。

 自分の娘と変わらぬ年の娘に敗北を認めるしかなかった。

 

 あのなぽりたんに比べたら儂の料理はゴミだ。

 色々と見た事のない食材が使われていた。

 この世には、まだ儂の見た事も聞いた事もない料理が沢山あるのだろう。

 もっと若い頃に、この味に出会えていたら儂はきっと周囲の反対も押し切ってでも旅に出ただろう。

 その位の衝撃のある味だった。

 だが、儂には守るべき妻も娘もいる。


 どうにかレシピを教えてくれないものだろうか?

 レシピは料理人の命。

 儂だって親から教わった先祖伝来の料理は娘以外に伝授するつもりはない。


 ん?待てよ。もし奴が、この料理を武器に店を構えたら・・・コノ町ノ料理屋ツブレルゾ。

 なぽりたんだけでも大変なのにぷりんだ。

 止めの一撃に、儂は陥落寸前。

 あの卵を使ったというぷりんとやらは、女子供が好きそうな感じの如何にもぷりんとした触感。

 ハッ、だからぷりんなのか?安易な名前の付け方だが、悪くない。


「お前さんは、この町で店でもやるつもりなのか?」


 思い切って儂は聞いてみた。

 

「まさか、自分達で食べる分だけだよ。だから、此処に泊まってる間は厨房貸してくれ」


「忙しくない時間帯だけだぞ!」


 どうやら彼女らは冒険者になってダンジョンに入る為に、この町に来たらしい。

 町の料理屋は救われたようだ。


 勿体ないような、助かったような相反する感情と共に肩が軽くなるのを感じた。

 心做しか身体の調子が若い頃に戻ったような気さえした。


 若い者に負けてばかりはおれん。

 儂も自分の料理を更に磨く努力をせねば、なぽりたんを超える一品をいつの日か。

 


先輩チートが留まる所を知らない。

Q:色々謎が増えてゆくけど後始末どーするよ?

A:3ッ93ッ9ニシテヤンヨ!

もはや意味が分からん



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