プリンセス ミイロ・アレグランド
ここからは、ミイロが主人公となります。
まず私の名前は、ミイロ・アレグランド といいます。
アレグランド、と聞けばあなた達は「ん?」と思うでしょう。
そうです。私はこの国の元プリンセスです。
私の母、つまりこの国の元クイーンであるカナリア・アレグランドには、
キングである私の父以外に、もう一人「愛人」と呼べる人がいました。
その人とクイーンの間には、私より一つ年上であるハルクという男の子がいます。
そのハルクという人が「人間VS魔法使い」を生み出した元凶です。
私が15歳(現在は18歳)の時、その日は良く晴れていて私は庭でお花達と会話していたのを覚えています。…私は友だちが居なくていつも一人でした、でも花だけは私の相手をいつもしていて下さったのです。
突如、庭の花が全て枯れました。触っていた花びらの感触が一瞬で変わり、私の手の中ですべて散りました。見上げた空は暗くなっていて今にも雨が降りそうでした。それは何かの終わりを意味しました。
全身に悪寒が走り、私は慌てて城に戻りました。なんとなく急にお母様の顔が見たくなって、私はお母様の部屋へと駆けつけました。駆けつけた時にはもう遅くて血を流しながら倒れているお母様の横にはお母様を見下しながら笑っている人がいました。
それが、私とハルクが初めて出会った瞬間でした。
「初めまして、ミイロ。貴方が心の底から愛するお母様、僕が心の底から憎んでいるお母様であるカナリアは今僕の手でやっつけました!キャハハ☆」
「ミイロ…逃げ…なさい…」
「おやおやぁ?まだ息をしていたのですか、お母様!あれだけボコボコにしてあげたのに…しぶといやつですねぇ。とどめを刺してあげましょう」
ニヤァと笑うハルク。それはまるでピエロのような愛嬌のない笑顔。
「やめなさい」
私は、怒り狂い、己を見失っていました。お母様の部屋に駆けつける前に見た、廊下に山積みにされたたくさんの使用人の遺体。お世話になったコックさんや庭の掃除をしてくれた庭師さん。目の前でピエロの様に笑っているこいつが皆をあんな風に…!!
「人の命を何だと思っているの…。貴方が私と血が繋がっている兄であるだなんてて、私は絶対に信じない…!!!」
「ミイロ…ダメ…その子を出しちゃ…」
最後に聞こえたお母様の声など到底響かない。
ハルクを殺す…!!!!
「キルリア、力を貸してください!!」
≪ ミイロ、わかった。力をくれてやる ≫