閃光のラウン
「これはこれは…3つ星『閃光のラウン』さんではないですか…ククク…」
男はよろよろと立ちあがり、茶髪の人を見るとにやりと笑った。
「これはお前がやったのか」
転がる死体の山を見て、茶髪の人は唇をかみしめた。顔をゆがませている。
「仲間と一緒にな。感付いていると思うが、俺たちは魔法使いではなく人間だ。…俺たちの目的は、魔法使いの殲滅だ!」
ピエロ男はラウンさんに襲いかかった。だがラウンさんは背後にスルリと回り込み、ピエロ男を捕えた。
「人間が魔法使いに勝てるとでも…?この魔力が入った杖も、俺の魔力には到底適わない」
ギギギ、と杖を掴むラウンさんの力が強くなる。
「魔法使いは…俺たち人間から様々なものを奪った。そして俺たち人間を奴隷のように扱う奴も増えて来て…ククク、人間の技術進歩をなめてはいけないぞ。魔法使いの魔力を吸い取り、強大な武器がぞくぞくと出ている。人間が魔法使いを支配するのも時間の問題だぞ、ククク…」
そういうと、男は杖を変形させ、自らの心臓に突き刺した。
背後にいたラウンさんは瞬時に飛びのき、回避した。
「くそ!自害されてしまった…。すべて洗いざらい吐かせようと思ったのに…」
男を見下ろしながら、またも唇を噛みしめるラウンさん。
男が死んだことにより、俺に絡まっていたツタは魔法陣の中に消え、その魔方陣も見る見るうちに消えて行った。
人間が…魔法使いの殲滅を企んでいる…??魔法使いが人間に魔力を吸われ武器にされている?なぜだ、どうやって魔法使いを捕えたのだ…??
俺がウーンと考えていると、突然、パタパタと廊下の方から複数の足音が聞こえてきた。
「ラウンー!!あの男の子2人は助けれた!?」
ひょっこりとドアから顔を出したのは、長く白い髪に透き通るような青い目をした女の人。俺はあまりの美しさに息をゴクッと飲んだ。
が、その人の手を繋いでいるのは…。
「げっ、レッドとルーかよ!!」
青く短い髪に垂れた目をしたルーは良い奴だが。
赤い長い髪にはっきりとした顔立ちのレッドは、性格が物凄くキツイ。
何といっても意地っ張りですぐ毒づくようなやつだ。