全ての始まり
ここでの主人公は、ラックになります。
その日は天気が良くて、雲一つない青空。…のはずだった。
突然、空が分厚い雲に覆われ、あたりは一瞬にして暗くなった。砂場で一緒に遊んでいた双子の弟ワイトが、ビクッとなって俺のそばに駆け寄ろうとしていたその時だった。
施設のロビーの方から先生や友達の悲鳴が聞こえた。同時に、身震いがするほどの強大な魔力を感じた。
嫌な予感しかしなかった。俺とワイトは悲鳴が聞こえたロビーへ急いで駆け付けた。
そこには、あまりにも無惨な光景が広がっていた。もう息をしていないであろう、大好きな先生やよく遊んだ友達が倒れていた。ワイトは恐怖で怯えた顔をし、今にも泣きそうだった。
「…まだクソどもが残って居たか」
先ほどまでは人の気配など感じなかった。振り向くと、黒のコートにピエロのような仮面をした男が立っていた。
俺は瞬時に察した。犯人はこいつだ。仮面から覗く目が、ピエロの仮面に似合わない、全く笑っていない冷たい目をしていた。
「双子か…。どちらを先に殺して、憎悪に塗れた目を見た後、もう片方も殺そう…。ククク、それが良い。ならば、弱弱しい、こちらから行くか」
ピエロ男はそう言うと、ワイトを蹴飛ばした。そして杖を取り出し、魔法陣を作り出した。
「おま…!!ワイトになにをするんだ!!」
俺もすぐさま魔法を唱えようとしたが、魔法陣から出てきたツタにより身動きが抑えられた。
「見ておくがよい。大切な人を殺される瞬間を。ククク、まぁお前もすぐに一緒のとこ…」
閃光が走った。瞬きをすると男が向こうの壁まで吹っ飛ばされていた。状況を理解するのには時間がかかりそうだが、多分男を飛ばしたのは、今俺の目の前に突如現れたこの茶髪の男の人だ。