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○ コンピューター将棋選手権会場・全景・朝
会場を前に仁王立ちする四人。
彰 「遂にここまで来たな」
敏行「ああ」
一与「何ビビってんのよ」
成香「そうですよ、私達はここに優勝しに来たんですから」
彰 「全く、うちの女共ときたら頼りになること」
敏行「全くだな」
彰と敏行は、顔を見合わせ苦笑い。
○同・対局場・朝
受付と抽選を済まし、対局場に入る。
四人は、周囲を見渡す。
既に会場には、多くの参加者がセッティングしている。
部屋の中は、くっ付けられたテーブルと椅子と簡易なもの。
目を閉じ、胸に手を当て、深呼吸する。
成香「さあ、始めましょう」
成香の言葉に頷く三人。
そして、LANCEのセッティングに入る。
× × ×
セッティングが終わり、一息ついていると開会式が始まる。
コンピューター将棋連盟会長の話に始まる。
次いで、日本将棋連盟のプロ棋士。
そして、十回参加の研究室の表彰で開会式が終わる。
× × ×
成香「信じましょう。LANCEを」
ただ、祈るようにその様子を見守る。
その間も、コンピューター将棋は、どんどんと手を進める。
手が進むほど、言葉数は減っていく。
× × ×
対局終了。
終わってみれば、快勝。
皆で顔を見合わせ、迷惑にならないよう小さく喜びを分かち合う。
× × ×
昼食を挟んだ後行われた、残りの六局を全て勝利。
結果発表で、一次予選一位通過にLANCEの文字。
四人で笑みを溢し、ハイタッチで一日目終了。
○ コンピューター将棋選手権会場・全景・朝
小雨が降っている。
水面に波紋が広がる。
○同・対局場・朝
二次予選第一局。
会場内は、既に対局が始まり、熱くなっている。
初日とは変わり、外国人や、アニメのカスタマイズの施されたコンピューターなど、個性の強い人が集っている。
彰 「なんか、凄いな」
敏行「ああ、外国の人もいるしな」
成香「何を言ってるんですか。一部の外国人には、チェスよりも複雑で面白いって言われてるんですから」
一与「まあ、どっちにしろ、アニメのキャラクターは関係ないけどね」
× × ×
昨日に引き続き、次々と勝利し、連勝記録を伸ばす。
ホワイトボードには、第八局終了時点で八連勝と記されている。
× × ×
二次予選第九局。
LANCE対SYG将棋。
最終局は、全勝対決。
気付けば、優勝候補の一角と噂され始め、成香の後ろにはギャラリーが集まり始める。
彰 「なんか、凄いことになって来たな」
敏行「それだけ、注目されてるってことだろ
一与「当たり前じゃない、私達が作ったのよ」
成香「私達は、いつも通りしていれば良いんですよ」
四人には、連勝で心のどこかに余裕が見え始める。
× × ×
対局が進み、持久戦となる。




