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005

○ コンピューター将棋選手権会場・全景・朝


  会場を前に仁王立ちする四人。


彰 「遂にここまで来たな」

敏行「ああ」

一与「何ビビってんのよ」

成香「そうですよ、私達はここに優勝しに来たんですから」

彰 「全く、うちの女共ときたら頼りになること」

敏行「全くだな」


  彰と敏行は、顔を見合わせ苦笑い。


○同・対局場・朝


  受付と抽選を済まし、対局場に入る。

  四人は、周囲を見渡す。

  既に会場には、多くの参加者がセッティングしている。

  部屋の中は、くっ付けられたテーブルと椅子と簡易なもの。

  目を閉じ、胸に手を当て、深呼吸する。


成香「さあ、始めましょう」


  成香の言葉に頷く三人。

  そして、LANCEのセッティングに入る。


                     × × ×


  セッティングが終わり、一息ついていると開会式が始まる。

  コンピューター将棋連盟会長の話に始まる。

  次いで、日本将棋連盟のプロ棋士。

  そして、十回参加の研究室の表彰で開会式が終わる。


                     × × ×


成香「信じましょう。LANCEを」


  ただ、祈るようにその様子を見守る。

  その間も、コンピューター将棋は、どんどんと手を進める。

  手が進むほど、言葉数は減っていく。


                     × × ×


  対局終了。

  終わってみれば、快勝。

  皆で顔を見合わせ、迷惑にならないよう小さく喜びを分かち合う。


                     × × ×


  昼食を挟んだ後行われた、残りの六局を全て勝利。

  結果発表で、一次予選一位通過にLANCEの文字。

  四人で笑みを溢し、ハイタッチで一日目終了。


○ コンピューター将棋選手権会場・全景・朝


  小雨が降っている。

  水面に波紋が広がる。


○同・対局場・朝


  二次予選第一局。

  会場内は、既に対局が始まり、熱くなっている。

  初日とは変わり、外国人や、アニメのカスタマイズの施されたコンピューターなど、個性の強い人が集っている。


彰 「なんか、凄いな」

敏行「ああ、外国の人もいるしな」

成香「何を言ってるんですか。一部の外国人には、チェスよりも複雑で面白いって言われてるんですから」

一与「まあ、どっちにしろ、アニメのキャラクターは関係ないけどね」


                     × × ×


  昨日に引き続き、次々と勝利し、連勝記録を伸ばす。

  ホワイトボードには、第八局終了時点で八連勝と記されている。


                     × × ×


  二次予選第九局。

  LANCE対SYG将棋。

  最終局は、全勝対決。

  気付けば、優勝候補の一角と噂され始め、成香の後ろにはギャラリーが集まり始める。


彰 「なんか、凄いことになって来たな」

敏行「それだけ、注目されてるってことだろ

一与「当たり前じゃない、私達が作ったのよ」

成香「私達は、いつも通りしていれば良いんですよ」


  四人には、連勝で心のどこかに余裕が見え始める。


                     × × ×


  対局が進み、持久戦となる。


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