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011

○同・大盤解説場・昼


  保光が大盤の飛車を動かす。


理恵子「飛車を振って来ましたね」

保光「恐らくですが、美濃囲いか穴熊で王を固めにくるんではないでしょうか」


○同・二階道場・昼


  指し手は、次々と進む。


敏行「評価自体は、悪くない」

彰 「ああ、そうだな。こちらの方がやや優勢みたいだな」


  一与は、神妙な面持ち。


一与「そうかしら?」

彰「だって、LANCEがそう評価してるだろ」

一与「確かにそうだけど、私にはこの局面で自陣を評価できる点が見当たらないのよ。何と言うか、LANCEに自分が恰も良い陣形だと評価させられているような」

敏行「思わさせられてると?」

彰「天野棋聖に、LANCEが踊らされているって言うのか?」


  彰は、棋聖を見遣る。


                     × × ×

紅 「先手9六飛車」


  成香、指す。


邦夫「では、ここで一旦昼休みを挟みたいと思います。再開は、一時間後です」


  成香と棋聖は視線を合わせ、軽くお辞儀をし、昼休憩へと入る。


○同・控室・昼


  額の汗を拭う成香。

  疲労の色が見て伺える。

彰「大丈夫か、加藤?」

成香「大丈夫です。私が指し手を考えているわけでは無いので」

敏行「慣れない緊張の性だろうな」

一与「無理はしないでね」


  一与は、水を手渡す。

  それを受け取り、一口飲む成香。


成香「ありがとうございます。でも、私、今とても楽しいです。やや不利な状況ではありますが、棋聖と平手で指せて、本当に楽しいんです」


  成香は、満面の笑みを見せる。


彰「やや不利な状況だってこと気付いてたんだな」

成香「はい。私が棋聖をずっと意識していたように、棋聖も私のことを意識してたんだと思います。コンピューター将棋における研究に、余念がありません。敵ながら大した奴です」


  笑ってそう言う成香。


○同・大盤解説場・昼


 プロジェクターには、宣伝が流され、その画面上にコメントが続々と寄せられている。


保光「もうすぐ、昼休憩が明けますね」

理恵子「今後どういったところを見ていけば良いのでしょうか?」

保光「そうですね、LANCEの美濃囲いを天野棋聖がどう攻略していくのか、というところが見所になると思います」

理恵子「はい、ありがとうございます。では、引き続き対局を見ていきましょう」



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