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○同・大盤解説場・昼
保光が大盤の飛車を動かす。
理恵子「飛車を振って来ましたね」
保光「恐らくですが、美濃囲いか穴熊で王を固めにくるんではないでしょうか」
○同・二階道場・昼
指し手は、次々と進む。
敏行「評価自体は、悪くない」
彰 「ああ、そうだな。こちらの方がやや優勢みたいだな」
一与は、神妙な面持ち。
一与「そうかしら?」
彰「だって、LANCEがそう評価してるだろ」
一与「確かにそうだけど、私にはこの局面で自陣を評価できる点が見当たらないのよ。何と言うか、LANCEに自分が恰も良い陣形だと評価させられているような」
敏行「思わさせられてると?」
彰「天野棋聖に、LANCEが踊らされているって言うのか?」
彰は、棋聖を見遣る。
× × ×
紅 「先手9六飛車」
成香、指す。
邦夫「では、ここで一旦昼休みを挟みたいと思います。再開は、一時間後です」
成香と棋聖は視線を合わせ、軽くお辞儀をし、昼休憩へと入る。
○同・控室・昼
額の汗を拭う成香。
疲労の色が見て伺える。
彰「大丈夫か、加藤?」
成香「大丈夫です。私が指し手を考えているわけでは無いので」
敏行「慣れない緊張の性だろうな」
一与「無理はしないでね」
一与は、水を手渡す。
それを受け取り、一口飲む成香。
成香「ありがとうございます。でも、私、今とても楽しいです。やや不利な状況ではありますが、棋聖と平手で指せて、本当に楽しいんです」
成香は、満面の笑みを見せる。
彰「やや不利な状況だってこと気付いてたんだな」
成香「はい。私が棋聖をずっと意識していたように、棋聖も私のことを意識してたんだと思います。コンピューター将棋における研究に、余念がありません。敵ながら大した奴です」
笑ってそう言う成香。
○同・大盤解説場・昼
プロジェクターには、宣伝が流され、その画面上にコメントが続々と寄せられている。
保光「もうすぐ、昼休憩が明けますね」
理恵子「今後どういったところを見ていけば良いのでしょうか?」
保光「そうですね、LANCEの美濃囲いを天野棋聖がどう攻略していくのか、というところが見所になると思います」
理恵子「はい、ありがとうございます。では、引き続き対局を見ていきましょう」




