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はじめに
人間とコンピューターが将棋を指したらたらどちらが強いのか――この問いに対して、永遠に来ることは無い、今後一〇〇年は負けることは無い。そんな、否定的な意見を述べる棋士が多い中、羽生善治氏は二〇一五年と的確な年数を答えた。
当時の棋士たちは、コンピュータに負けることなど有り得ないと鼻で笑う者が多かった中、千手先まで読む男は十数年先のこの未来まで見えていた。近年の技術進歩は目覚ましく、コンピュータによる新手や新定跡が誕生し、完全解明される日もそう遠くないのかもしれない。
それは同時に、プロ棋士の存在意義をも問うものだ。
それなら――アンドロイドが名人になる夢を見ても良いのではないだろうか。