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おまじない

 

 

 聞こえるはずがないのに聞こえた気がして目を開けた。

 すぐに意識が向かうのは隣の彼の寝息。背中を向けてるから表情は確かめられないけど、規則的な息づかいはおだやかそうで良く眠ってるよう。

 彼は夜を嫌う。

 それに気づいたのはごく最近のこと。どうしてそう思ったのか。苦しげな寝顔をなんどか見たときだったろうか。

 背中に額を寄せる。温もりと匂い。それだけで重たい不安はどこかへ消え失せて代わりに胸がいっぱいに満たされてく。

 ――雨。雨が降ってるような気がして目が覚めたんだった。アパートの真ん中の階はなかなか雨音に気づきにくいのに。夕方の天気予報で言ってたよりすこし早いかな。

 確かめたくなって彼の背中からそっと離れた。ベッドから抜け出そうと身体を起こしたら、後ろから伸びてきた腕に阻まれた。両腕にすっぽりと囲われるように抱きしめられて身動きがとれなくなる。

「あんこ食いたい」

 ……は?

 はっきり聞こえた言葉に起きたのかと思えばそんなカンジでもなく。

 寝言? だだの?

 許されるなら声をあげて笑いたいところだけど。なんであんこ。 ……そうだね。起きて雨がやんでたらあなたの好きな大福でも買いに行こうか。

 胸の前で組まれた手に自分の手を添えて。これ以上ない布団にくるまれながら目を閉じた。

 今日も、いいことあるといいね。





 

 

 


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