第三十四話
「………つーいーたー」
何処に、って? もちろん王宮図書館ですよ。
ここまで来るのに、というか、ここまでたどり着くのに一時間かかったよ。
いつも、エルと来る時はこの半分も時間かからないのに…。 散々迷ったからだね、うん。
「(さて、気を取り直して地理書探索いってみよー!)」
二十四時間と少しぶりの図書館内部は、特に変化なかった。
本当に皆、あまり使ってないんだね。せっかく整理整頓したというのだから、やっぱ使ってもらいたいんだけどなぁ。
「(ここは王宮勤めじゃなくても入れるんだよね…? それなら民衆の方々にも利用してもらうにはどうすればいいかも考えようかな。って、そーいえば民衆ってどこに住んでるんだろ?)」
王宮と王宮図書館を行き来しているけど、城下町の気配はないし、あまり人気がない。
王宮と村が離れているのか、この王宮の敷地面積がやたらと広いのかは分からないけど。多分後者だろうなー。
「……あった」
人間の世界について分類したところから、地理についての本を一冊とる。
「(まずはこれから読んでみよう)」
ぱらっと読んで、そういう記述があったら後でじっくり読むことにしよう。
「──」
……。
「…ふむ」
この本は農業に適した土地とかその土地の特性をまとめたものだった。陸の殆どが平地だとか。…今はこれを知りたいわけじゃない。
「……うーん…」
次の地理書は、国がある陸を囲んでいる海について。これによると、どうやら人間の世界では、海産物が豊富に採れるらしい。あー、無性に海藻サラダ食べたくなってきた。
で、その次は鉱物資源について。綺麗な石が採れるらしい。採れるとはいっても、特産品ってほどではないけれど。そこそこ高級品。日本で言えば宝石くらいの価値かな。
──ようやく五冊目で、お目当ての本を捜し当てることができた。
「あ、地図載ってる」
これ、借りても構わないのかな? 持ち出し禁止だったりして。
「(ありえない設定は……そうだね。魔族以外の者がここから持ち出したら、爆発する仕掛けになっているとか…)」
自分で言っといて有り得ないだろうと思うけど、考えるのは楽しい。
「(あ、持ち出し禁止って定めるのも私の役割かな?)」
今気が付いたけど、そうかもしれない。
まぁ、持ち出し禁止の本を定める予定はない……いや、国の重要機密(仮)の書たちは持ち出し禁止にしておいた方が良いかも。
もしどうしてもって時があるかもしれないから、その時は私に許可を取るという形で。…いや、でもこれめんどくさいか?
「うーん…」
今気付いたけど、この図書館の運営は一人ではとてもじゃないけどできない。
図書館員を応募するかなー。
「……まあそれは置いといて、とりあえずこれを持って帰ろうっと」
そう決め、そんなに分厚くはないがハードカバーより二回りほど大きい地理書を携えて外に出る。
空はまだ青かった。
まだ夕方にはなっていないようだけど、一体何時頃なのだろうか。
「…あ。そういえば時計があったような……」
実物は見たことがないけど、音なら何度か聞いた、あの時計だ。
王宮にいるときは聞こえなかったから、王宮図書館内部かここ周辺にあるはず。
ちなみに、
「おおーきなのっぽの古時計…おじいーさんのーとけいー」
──のイメージだ。
「百年、いつも動いーていた、ごじまーんのとーけいさー」
百年間一回も止まらなかったなんて凄いと思うよ、本当に。そりゃあ自慢の時計だわ。…狂いもしなかったのかな?
「……今度、ノートでも作って、そこに日本の童謡書いていこうかな…」
かごめかごめとか、七つの子とか。
ノートは、三日後に人間界行くらしいから、そのときにあったら買おうっと。
「あとは何があったかなぁ…って、そうじゃなくて、時計を探すんだった」
でも、一回図書館探索したときに無かったんだよねぇ。…てことは、図書館の中にはないってことかな?
「うーん、外行くのかぁ…」
外に行くの面倒だからいいや…また後日で。




