ミヒリと猫
ベラリヤ城で働く優秀なメイド。それが彼、ミヒリ。そんな彼には、他の誰にも言っていない秘密がある。それは──
「すー、はー。今日もお前の腹はもふもふだなぁ」
休日に路地裏の野良猫と遊ぶことだった。
「今日は仲間のにゃんこはどうしたんだ?一緒じゃないのか?ほら、お菓子持ってきたぞ」
茶トラの猫は、ミヒリの手をぺし、と叩き、差し出したおやつを持ち出していった。
「あ、ちょ、おい!⋯⋯まいっか。肉球でパンチされたし」
泥棒猫の代わりに、また別の毛並みの白い猫が、ミヒリの足にすりすりと寄ってくる。彼は、その白猫の頭を撫でた。
「お、どうした?悪いけど、いまおやつ持ってないんだ。お腹空いてるなら、茶トラのあのいたずらっ子を探してくれ。⋯⋯それともかまって欲しいのか?」
そんな彼の質問に答えるかのように、白猫はにゃ、と小さく鳴いた。
「え、マジか。⋯⋯ほれ」
ミヒリは鞄から猫じゃらしを取り出し、白猫の前であっちに飛ばしたりこっちに飛ばしたりを繰り返す。その度に白猫は獲物を目で追っていた。そして気付けば、あちこちから猫が顔を出していたらしい。
「え?ちょ、待て待て待て!」
猫達は、我先にと目の前の獲物に食いついていくせいで、ミヒリは猫じゃらしをしまわずをえなかった。
「そんなに出てくるならもう終わりだ!全く、すぐ猫じゃらしに食いついてきやがって」
腕時計を確認したミヒリは、切り上げるのに丁度いい時間だということに気づき、帰る支度を始める。
「じゃあな〜、来週まで元気に生きてるんだぞ〜」
そう言って、近くにいたかぎしっぽの猫を捕まえてお腹に顔を突っ込んだ。生憎、猫はしゃー、と怒りを顕にして、ミヒリの綺麗な髪を鋭利な爪で引っ掻いた。
「痛い、痛い、悪かったって⋯⋯」
ミヒリは反省して、その猫を床に降ろす。足場を得た途端、猫は早足でミヒリから逃げていった。
「はぁ⋯⋯。毛だらけだな。帰ったら毛玉片付けて洗濯しないと⋯⋯」
「ミヒリさん⋯⋯?」
「へ⋯⋯?」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには、城のメイド⋯⋯ミヒリの同僚が立っていた。
「こんなところで、なにやってるんですか⋯⋯?」
「え?いや、少し、落し物をしてだな。あぁ、もう物は見つかったから気にしないでくれ。それじゃ、俺はこれで」
そう言って、ミヒリは無理矢理その場を離れたのだった。
***
「⋯⋯ってことが昨日あったんだけどさ、バレてたと思うか?」
「クッソどうでもいい。それよりマフィンおかわり。これ美味い」
「はいはい⋯⋯」
ミヒリがロレッタに餌付けするのは、動物(猫)と同じで懐いて欲しいと思ってるからかもしれない




