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魔法とリン 後編

 団長と別れた後、リンの客室で昼食をとり食休みをしているとミミがジュリアンとリュシアンが訪れたことを教えてくれた。すぐに部屋に入ってもらいソファーに座ってもらった。


「昨日は、リュシアンとフアナが大変お世話になったようだね」


今朝一番にリュシアンがジュリアンに説明したようだった。


「いえいえ、少しブレスレットを綺麗にしただけですよ」


リュシアンがブレスレットをそっと机の上に置いた。

それをジュリアンが取り上げる。


「これは、私も同じものを頂いているよ...。」


といいながらジュリアンは自分のブレスレットをリンとリュシアンに見せた。


「私の物にも何か呪いがついているのだろうか?」

リンはそれをジッと見た後


「いいえ、大丈夫ですよ。」


と応えるとジュリアンとリュシアンは安心した表情になった。


「ということは兄上、やはり父上は私の事を利用してリン様を囲おうとしたのでしょうか」


「そうだね。今の所その可能性が一番近いだろうね」


リュシアンは溜息をつきながらジュリアンから自分のブレスレットを受け取り手首に通した。


「王族とはこういうものだと理解しているつもりでしたが実際このような事が自分の身にふりかかるとなんとも言えない感情が溢れでそうです」


ジュリアンはその言葉に対して返事をせずにそっとリュシアンの肩に手を置いた。

ジュリアンも同じような感情を持ったことがあるのかもしれない。


「さて、この話はここまで。ここからはリンちゃんのこれからについて話し合う時間だよ」


「そうですね。昨日リン様の希望を聞いたのですが、ご自分が降臨された村に戻りそこで生活をしたいそうなんです。」


「そうだね。そして、その村はフアナ嬢の領地内にあるんだよね。」


「もうこれは、フアナさんの里帰りに便乗して私は村に戻るしかないと思うんですよねっ!」


「だがリンちゃんが突然いなくなったら父上も黙ってはいないだろうな」


「そうですよね~。」


リンはしばらく考え込むと


「ちなみに、ジュリアン王子は私が王宮内にいなくても大丈夫なんですか?」


その質問にジュリアンは少し驚いたが


「そうだね。ここにいてもリンちゃんはつまらないだろうし、この国にいてくれるのだったら大丈夫だと思っているんだ。」


「その言葉を聞いて安心しました。ジュリアン王子も王様と同じ考えだったらどうしようかなっておもっちゃいましたよ。あはは」


「リンちゃん絶対この国を出ようと考えたでしょ?」


「そうですね。多分、私はどこの国でも生きていけると思うんです。でも、この国にいなきゃいけない雰囲気なんですよね。」


「聖女様とはそういう存在なんですか?」


リュシアンが興味深げに聞いてきた。

リンは腕を組みながら「う~ん」と言った後


「なんだろう、この国と繋がっているような感覚はあるかな。言葉で言い表せないよ。でも、その繋がりを強引に引きちぎることもできそう」


「すごく怖い表現を使うね。」


ジュリアンの笑顔が引きつった。


「兄上、一度聖女様の降臨とその国について調べた方がよいのではないでしょうか?」


リュシアンの意見にジュリアンもそうだね。少し調べてみようと言った。


「もう、なんだか面倒になってきたからいっそのこと王様には『お告げが~』とか言ってフアナさんの領地に引きこもってもいいですか?」


リンが投げやりに提案すると、ジュリアンとリュシアンが顔を見合わせ


「それ、悪くないんじゃない?」


「...。そうですね。私も後でリン様たちと合流してもいいですか?」


「ん~。そこらへんの調整はそちらにお任せします!あっそうだ、ジュリアン王子にお願いがあるのですが」


「りんちゃんのお願いならできるだけ叶えるよ。」


ジュリアンはニコリと笑いながらリンに声をかける。


「魔法騎士の皆さんをもらってもいいですか?」


リンの意外なおねだりにジュリアンは驚いた。


「えっ?魔法騎士ってあの?確かに今はあまりいい評判は聞かないけれど...。もしかしてリンちゃん演習場に見学に行った?」


「はい、今朝見学させていただきました。」


「はぁ〜。リンちゃんには短期間にこの国の嫌なところしか見せてないような気がしてきた。多分、それは許可されると思うよ。聖女の護衛なんていい体裁になるからね。」


「じゃあ、それは、ジュリアン王子にお任せしますね。」

それから三人は、王様に伝える『お告げ』の内容を詰めて、再び会談か謁見ができるように調整するという話でまとまった。


「今日中に父上に会う日を伝えるように努力するよ」


ジュリアンとリュシアンはそういうとリンの部屋から出ていった。


部屋に一人になったリンは


「これでキリの元に帰れる算段はできたかな」


というと立ち上がり窓辺に行くと空を見ながらフッと息をついた。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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