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魔法騎士と聖女

ベンとマーク


少し駆け足で書いたので後で変更があるかも

 マークとベンは今日も沈んだ気持ちのまま演習場へ向かった。

外部の見学がある日はある程度手加減をしてもらえるが、今日は通常演習だ。

いつものように自分達をどのように痛めつけようかと楽しそうに相談している騎士達の会話が嫌でも聞こえてきた。


「ベン、なるべくあいつらの事を意識するな。知りたくない事まで聞こえてくるぞ」


「分かっているよマーク。でも、無意識に聞こえてしまうんだ。」


マークはベンの耳を塞いであげたかったが自分よりも頭一つデカいうえにその頭の上に耳がついているので届かなかった。


「フッ。また俺の耳を塞ごうとしてくれているのか?気持ちだけ貰っておくよ」


マークの頭をポンポンと叩くと子ども扱いするなよ!と非難の声が聞こえてくる。


 この国では魔法が少しでも扱えると魔法騎士にならなければならない。

その地位は確かに高かったが、魔物が減るにつれ形だけの制度になりつつあった。


しかし、国は魔法が使える者を手放すのは嫌らしく、お国のお金を使っているのだからお前たちはここにいるべきと上から押し付けてくる。

その考えを拒否できる貴族や、お金で解決できる豪商は学校に入学し適当に出ることが許された。それができない人々はマークやベンの様にサンドバックの為だけに演習場に駆り出されたり、騎士の雑務を押し付けられたりしていた。


「俺たち、いつまでここにいなきゃいけないんだろうな...。」


見下すような視線の中、魔法騎士達は同僚の騎士に稽古というなの暴力を受けていた。


(ベンは防御魔法が使えるんだからバレない程度に薄く張っとけよ)


早速みぞおちに蹴りを入れられているマークに通信魔法で言われる。


(俺だけそんなことできるわけないだろ!)


ベンも木刀で切りつけられるのを薄いプロテクターのみで防いでいた。


 どうして魔法騎士というだけで騎士と同じように武器をもって稽古をしてはいけないのだろう。

 どうして獣人だからというだけで形だけのプロテクターをつけなければいけないのだろう。


ベンが本気を出せば多分獣人の力で騎士達を返り討ちにすることができるが、後の嫌がらせが酷いのでこの状況に甘んじることしかできなかった。


 しばらくすると演習場が騒がしくなる、マークは気付かないがベンはその騒がしい方向を見ると、数日前の合同朝礼で説明していた聖女様がどうやら今日お越しになっているらしい。


 ベンはどうせ聖女も見目の良い騎士を見に来たんだろうと興味も持たずにひらすら相手の暴力を受け止めていると


『ん?何?あの端っこで細々と訓練している人たちは?』

  俺たちの事が目に入ったのか?

『え~。でもいかにも体動かすの苦手そうな方もいらっしゃるような...。』

  そうなんだ、どちらかというと苦手なヤツの方が多い

『やり返せないの?』

  できればいいんだが...。


気が付けばベンは聖女の言葉にひとつひとつ返事をしていた。


『不憫っていうか、憂さ晴らしをしているように見えますよ』

『辞められないのは、資金力のない平民か獣人ですか...。』


聖女様はあきらかに俺たちに興味を持ち憐れんでくださっている!!


「おい、よそ見してんじゃねーよー」

ベンは聖女の会話に集中しすぎて騎士の動きを見過ごしてしまった。


「ベン!」


マークも焦りながら自分の名前を呼ぶ


木刀が自分の頭に直撃しそうになった時、ベンはとっさに防御魔法を展開した。


「っつ」


しかし、額に直撃したので見事に切れてしまった。



「マーク!ベンを救護室に連れていけ。おい!お前、何やってんだよ。演習でけが人作ったら意味が無いだろう」


「だってこいつが集中して演習をしないのが悪いんですよ。」


騎士が言い訳をし始めた。


「有事の際はお互いの背中を預ける相手なんだぞ。少しは考えて行動しろ」


「でもステフ先輩、こいつらは有事になったら一番に逃げちゃうんじゃないですかぁ~」

その騎士の言葉に数人の騎士が笑い出した。


確かあの人は第三騎士団のステファンさんだったな、俺たちに対して偏見がない数少ない騎士だ。


ベンはステファンにお辞儀をした後、マークに連れられ演習場を先に出た。


「ベン、本当に大丈夫か?」


マークはベンの額に持っていたハンカチを添えようとしたが...。

やっぱり届かなかった。


「ああ、大丈夫だ」


あんな怪我をさせられたのにベンの表情は穏やかだった。


「まあ、ベンが大丈夫ならそれでいいけど」


それから二人は会話をせずに救護室に向かっていったが


「なあ、マーク」

「ん?どうした?」


ベンは歩くのをやめると


「俺たち本当に救われるかもしれないぞ」


いつもと違う口調のベンをみながらマークは肩をすくめると


「気のせいだと思うぞ。でもベンが演習中に集中力を切らすなんて珍しいよな。命まではとられないけど下手すれば本当に大けがだからな」


「...。そうだな。」


マークの注意を聞いた後、再び二人は歩き始めた。


「でも、俺聞こえたんだよ。」


ベンの独り言はマークには聞こえなかった。




『じゃあ、彼らを私が貰いますね。』

『だっていらない子達なんでしょ? 分かりました。私がきちんともらってあげますから』


最後までお読みいただきありがとうございました。

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