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王宮とリン 前編

前半少しだけジャンが残っています。


リュシアンとリン

 特に、事件も事故もなく王都についたリン達は、早速王宮へと向かった。

ジャンは、リンを送り届けると騎士を退職するらしく王宮内までは送ってくれなかった。


「じゃあ、ジャンさんとはこれでお別れなんですか?」

突然の別れにさすがのリンも驚いていた。


「はい、私も無事に役目を終えることができてこれで悔いはないです。」


少しさっぱりした表情のジャンを見たリンは少し考えてから


「でも、これからどうすのですか?」


とおもむろに質問してきた。

ジャンはあまりリンの負担にならないように言葉を選びながら


「そうですね。当面の生活の資金はあるのでしばらくは恋人とゆっくりしようと思っています」


ジャンはアンヌを思い出し微笑みながら答えると。


「へぇ〜。ふぅ~ん」と感嘆文を飛ばしながらシゲシゲとジャンを見ると


「ねぇ、ジャンさんと連絡を取りたい時ってどうすればいいの?」


「そうですね。本来なら人を送ってもらってもいいのですが、さすがに平民になる私には無理ですので」


と言いながらジャンは懐から手紙を出すと


「これに必要事項を書いていただくと勝手に私の所に届きますので。そうするとお互いの魔力を認知することができるので文通が可能になりますね」


「あっそうなの?私も魔力あるからちょっと待ってね」


リンはジャンからペンを借り一言書いた後軽く魔力を送るととても綺麗な白い鳥に変形しすぐにジャンの肩に乗った。


「さすが、聖女様ですね。白魔法が特化されている」

と感心しながら手紙の内容を確認した。


リンは魔法の話を深く掘り下げると面倒な事になりそうな気がしたので軽くスルーした。

ジャンが手紙を読んだあと少し困った表情になったので



「まぁ〜考えてみて。悪いようにはしないから」


とだけ伝えて聖騎士達と一緒に王宮へ入っていった。


「なんなんですか、これは...。」


ジャンが再びその手紙を確認すると


『呼び出したら来てね。(ただし彼女の同伴可)』


「アンヌに聖女様の話をした後、確認してみようかな」


ジャンは少し軽い足取りでアンヌの待つ家に帰っていった。



※※※


 聖騎士達に囲まれながら王宮を歩いていると


「聖女様、先ほどのレザイはもう騎士ではありません。あまり関わりないようにお願いしますね」


「聖女様、私がレザイの代わりにお守りしますのでいつでもお呼びください」


「聖女様、王宮は危険がいっぱいです油断なさらないでください」



聖騎士達のアドバイスにリンは微笑みながら「ありがとうございます」と囁くような声で感謝の気持ちを述べた。

少しキラキラエフェクトも添えてみた。


「「「聖女様~」」」


聖騎士達は我こそが聖女様の隣に立つべき存在と肩を押し合いながら前に進んでいた。


「本当に、ザコいな」


リンの呟きは彼らには届かなかったですけどね!



リンたちが王がいる謁見の間にたどり着くと既に王族達は席に付いていた。

リンはどうして、こんな知らない人たちに頭を下げなければいけないのかちょっとイラついていたが一応日本人なので空気を読んであげた。


「聖女殿どうぞ頭をお上げください」


王様は自分(リン)の事を様って付けないんだなぁ~と思いながら言葉通りに頭を上げた。

さすがに人の上に立つ人らしく威厳っぽいなにかを感じた。校長先生っぽい?



「ようこそ、王都へいらしてくれました。聖女様。もしよろしければお名前を聞いてもよいですか?」


リンと同じぐらいの年齢の男子に声を掛けられたので


「はい、リンと申します」きちんと丁寧に返答してみた。

「リン様ですね。素敵な名前ですね。」

再び声を掛けてきた男子をリンはマジマジと見ながら


え〜。名前だけでそこまで反応するぅ〜。ありえないわっ。と軽く引いていた。


「父上、リン様の近くに行ってもよろしいですか?」


その男子が父親というのだから彼は王子様というやつなのだろうとリンは考えていた。


「そうだな。年の頃はリュシアンと同じぐらいだろう、ちょうどいい機会だリン殿のお部屋を案内してあげなさい」


はぁ〜、いつのまにここに泊まるって決めたんだよ。怖いよ権力!

とリンは内心怯えながら近づいてくるリュシアンを見ていた。


トットットと小走りでくる姿は可愛かった。肩まである柔らかい金髪に(みどり)の瞳と目が合うとリュシアンは頬を少し赤らめてリンの手をそっと取った。

そして、リンの手の甲に口付けを落とした後


「さあ、リン様のお部屋はこちらです。一緒に来てください」


と言いながらグイグイ引っ張っていった。


「あ~、それでは失礼します!」

とりあえず、リンは王様たちに挨拶をしながら謁見の間を退室した。



リンとリュシアンのいなくなった謁見の間にいるのは、王様と王太子の二人だった。


「父上、リュシアンには婚約者がいるではありませんか...。」


王太子は少し批判めいた声で王様に声を掛ける。

王は2人が出ていった方を見たまま


「ああ、そうだな。お前が捨てた()()()()だったな」


「…。それは、彼女も納得し了承を得ました。しかし、今回は...。」


「彼女は可愛そうだが、一度婚約破棄を経験しているんだ。気持ちの整理も付きやすいだろう」


王はこの話に少し飽きたのか玉座の手置きをポンポンと叩き始める


「それに、富を得るのはお前の代だぞ。久しぶりの聖女の降臨。囲っておかねばよその国に取られるやもしれん」


「ですが...。リュシアンとフアナは相思相愛だったように見受けられましたが...。」


王が手遊びを止めた後王太子の方を見ると


「私には、リュシアンが聖女に対してまんざらでも無さそうに見えたがな」


というと立ち上がりその場を離れた。


王太子はその王の後ろ姿を見送った後、再び2人が出ていたドアを見つめ


「リュシアン...。」と心配そうに弟の名を呼んだ。


※※※


 リュシアンに手を引かれながらリンは周囲を見ていた。2人が通り過ぎる度に作業をしていた人々が頭を下げた。

すごい世界だなとリンは感心しながらリュシアンと部屋に向かっていったが途中で綺麗に手入れをされている中庭と目があった。


「すごい、綺麗...。」


リンガ呟くと、リュシアンが立ち止まり


「疲れましたか?あの庭の奥に休める所があるのでそこで少し休憩しましょうか?」


リュシアンが近くの侍女に目配せをした後中庭へ入っていった。

天気が良く心地よい風が吹いているのでリンは無意識に深呼吸をした。


リュシアンに連れてこられたガゼボのような場所に座るとすぐに冷たい飲み物が運ばれてきた。


「すみません」とリンがお礼を言うとニコリと笑ってお辞儀をしたあとその場を離れていった。


「さあさあ、飲んでみて。すごく美味しいから!」


リュシアンが先に一口飲んだ後リンも続けて口をつけた。さわやかなレモンの香りがしたアイスティーだった。


「飲みやすいですね」


リンが感想を言いながらアイスティーを飲んでいると


「リュシアン様...。」


リン達が来たところから高貴な身なりをした少女達がやったきた。

リュシアンと呼ばれたリンの隣にいる男子は一瞬顔を顰めるとスッと席を立ちその少女の所まで行った。


「昨日の茶会をもってしばらく私と会うのは中止という旨の伝言を伝えたはずだが」


リュシアンは冷たい口調で少女を咎める。

少女はリンを見て小さくカーテシーをした後、リュシアンに向かって話しかけた。


「はい、今朝その連絡は受けましたが急な話だったのでリュシアン様に直接確認したくて参りました」


少女は戸惑いながらもきちんと説明をした。


「あれ以上の言付けはない。すまないが私は今聖女様をもてなす様にと父上から言われている。今もお待たせしているのだ。まだ何か用があるのか」


リュシアンはリンをみて少し微笑んだ後その少女に去る様に伝えた。

少女の後ろにいる侍女達は動揺していたが、少女は観念したのか


「聖女様とのお時間を頂き、もうしわけございませんでした。」

というとその場を離れていった。


リュシアンはその後ろ姿を最後まで見送ると直ぐにリンの元に戻ってきた。


リンは気まずさの余りアイスティーをゴクゴクと飲み切ってしまった。

リュシアンも一口アイスティーを口に含めた後


「私の自己紹介が遅れてしまいました。私はこの国第二王子のリュシアンと申します。先ほどの謁見の間には父上である王と兄上の王太子がいました。父上もおっしゃったように私とリン様の年齢が近いということでこうしてリン様をお部屋まで案内する事になりました。」


「で、先ほどの少女は...。あのまま帰ってしまって大丈夫なのですか?」


リンはどうしても気になったのでリュシアンに尋ねることにした。


「はい!大丈夫ですよ。彼女は私の元婚約者なのですが突然現れて迷惑でしたよね。」


「えっ?元なんですか?別れちゃったんですか?」


「はい、昨日付けで婚約解消...。しました?」


「えっ?疑問形なんですか?」


リュシアンは急に自分の言葉に不安になったのか手首にあるブレスレットを触り始めた。

すると心が落ち着いたのかリュシアンは再びリンの方を向いて微笑み始める。


「はい。確かに昨日付けで婚約を解消しました。きっと聖女様とのご縁を父上が応援してくださったのだと思います。」


リンはリュシアンが先ほどまで触っていたブレスレットに目をやると


「ところでそのブレスレットとても綺麗ですねぇ~」

と興味深げに声を掛けた。

ブレスレットを誉められたリュシアンは本当に嬉しそうにそれを再び触り始める。


「はい!初めて父上が私にくださったブレスレットなんです!」


「へぇ〜。そうなんですね...。本当に綺麗なブレスレットですね」



   でも王子様、そのブレスレット内側から黒い靄が出ていますよ...。



「異世界怖い...。王宮マジ無理...。」


リンは肘をつきこめかみを押さえながらリュシアンの前で唸った。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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