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ある日村に聖女が舞い降りてきたのだが...。  作者: 鈴木 澪人
番外編

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リンとキリのその後に4(完)

バルストさんが手配してくれた馬車で家に戻ると、キリとドラモンドさんが出迎えてくれた。


「ただいまぁ~..。戻りました」


「お帰り!リン」


「おかえりなさいませ、リン様」


キリは手を上げながら、ドラモンドさんは小さく会釈を私にしてくれた。


「それでは、キリ様私は作業に戻らせてもらいます」


「はい。でもそろそろお仕事を切り上げてくださいね。それとさっきお話ししてくれた件、リンに相談しますね」


「よろしくお願いします。それではリン様失礼いたします」


と言いながらドラモンドさんはどこかに行ってしまった。


キリは私を見て安心したのか小さく息をついてから手を引き二階の二人の部屋へと向かった。


二人の部屋といってもとても広く寝室は隣にあった。室内に備え付けられていた豪華なソファーに横並びに座るとキリが私をそっと抱きしめた。


「ごめん、ちょっとリンを補充させて」


そういうと私の方に顔をうずめグリグリしだした。


「ちょっとくすぐったいよ~」


耳元でう〜とか、幸せ〜とか、リンの匂い〜とか少し怖いワードも聞こえてきた。


仕方がないのでキリの頭をヨシヨシしてあげると、フフフと笑い声が聞こえた。


「あ~、リンの補充が完了しました」


キリは私から離れるとさっきより少しだけ元気になっていた。


「なんか、ごめんね。こんな事になっちゃって」


確かにキリに一目ぼれして両想いになったのはとても、大変素敵なことなんだけど、私の立場が特殊だからキリは色々経験しなくてもよい事を背負ってもらっているよね。

普通に村の子と恋愛して、普通に家族を持って、普通に...。


って考えても仕方がない。その分私がキリを幸せにすればいいことなのだから!


 キリの私の補充時間が終わると夕食まで今日の出来事を報告していた。


「あ~、メイドさんをこのままにするか新しく雇うか考えなきゃいけないんだね」


キリの話を要約すると、今この大きな屋敷で働いている方々はフアナさんが期間限定で貸し出してくれているから、本人たちと相談して引き続きこちらで働いてもらうか私達で新しく雇いなおすか考えないといけないらしい。キリがドラモンドさんに聞いたところによると残ってもいいと考えている人と元の首領館に戻りたい人は半分ぐらいらしい。


「ちなみに、何人ぐらいいるとこのお家って回るのかな?もちろん私も手伝えることは手伝うよ?」


「う~ん。ドラモンドさんが言うには10人くらい必要だけど、ドラモンドさんを雇えばもう少し人数を削っても回して見せます!って言ってたよ。」


「じゃあ、ドラモンドさんに引き続きお願いして私ちょっとあてがあるからその人に声をかけてみようと思う!キリは覚えているかな?王宮へ行くときに私を連れていってくれた騎士さん!」


キリは「う〜ん」と思い出そうとしていたけど、結局思い出せなかったみたいだった。


 翌日、今度はキリがナガリと合流するために馬車に乗って領主館に向かった。

私は昨日のキリの説明の続きを受けるためにドラモンドさんとお茶をしていた。


「私までリン様と同じ席につくのは恐れ多いです」


と始めは恐縮しながら断られていたが、時間がかかるし相談もあるしと色々理由をつけると納得してくれた。やっぱり家令とかって大変なんだな。


 そして、使用人の話になったときに私は質問をした。


「このソラータ領って獣人の扱いってどんな感じなのでしょうか?」

王都や王宮では魔法騎士や獣人に対する風当たりがかなり厳しかった。それって全国どこでもって感じなのか気になったのもある。


ドラモンドさんは言葉を選びながらゆっくりと話始めた。


「そうですね。王都よりはそこまで厳しい視線は感じないと思います。ただし、上流社会ではあまりお見かけしないのが現実です。」


「そっか~。実はメイドさんというか家を管理してもらう方に獣人の採用を積極的にお願いしていこうと思うのですが。大丈夫ですかね?」


私は、獣人の方は大丈夫か?という意味とドラモンドさんも大丈夫ですか?という意味を含ませてみた。


「上流貴族の方でも厳しい視線を浴びる可能性はあると思いますが、リン様は聖女様です。そこまで悪意のある視線を送ることはないでしょう。むしろ良い風向きになりそうですね」


「そうですか!では早速引き抜かなくっちゃ!」


ドラモンドさんの前向きな意見に私は嬉しくなってすぐにジャンさんに手紙を送った。

こっちに住むことになったんだけど、もしよかったら奥さんと二人でお家の管理のお手伝いをお願いしたいです!って感じの内容だ。


ドラモンドさんは私のお手紙を送る姿をみて


「とても美しい手紙でしたね。やはり聖女さまなので綺麗な白魔法でしたね。」

とジャンさんと同じことを言われた。


「なるべく規格外の魔法は使わないようにしているんですけどね。やっぱり目立ってしまいますね」


「そうなのですか?女神様から頂いたギフト()なのにあまり使っていないのですね」


ドラモンドさんは王宮の噂を聞いているのか、私があまり魔法や色んな力を使うのを嫌がっているのが意外に見えたらしい。


「だって、こんな特別な力を使えるのは私だけなんですから。持続することもできませんし誰かに譲渡することもできませんからね。あくまで女神様が気に入っているのは私だけなんですよ」


私の説明にドラモンドさんは驚きつつ


「女神様は意外と線引きをハッキリされているんですね」


「その理由は分からないんですけどね~」


と二人で話していると早速返信のお手紙がジャンさんから届いた。

ジャンさんの手紙を読んでいる内に私の表情が険しくなっていったので思わずドラモンドさんが


「どうかなされましたか?」


と尋ねてきたので、ジャンさんの手紙の内容を話すのはよろしくないとは思いつつ貴族の話だったので思い切って相談してみた。


「実はですね。このお屋敷には奥さんと一緒にきてくれそうなんです。後は、奥さんの了承しだいみたいなんですけど、ちょっとジャンさんの実家の方で揉めているらしくて。」


「そのジャン様とは、貴族の方なんですか?」


「ん~、階級は知らないんだけど、ジャンさんの家名?っていうのレザイ家っていうらしいよ。そこの従妹の女の子が結婚しているジャンさんの婚約者だ~!って暴れているんだって」


私の適当な説明でも理解してくれたらしく、「そうですか」と呟いた後


「その、レザイ様の奥方様が獣人の方ということですね。奥様が平民の方だとすれば権力で無理やり引き離そうとしているのかもしれませんね。ジャン様はまだ貴族と言っても子息の立場で本人には力がないですから...。婚約者だと名乗る女性の父親が力づくで離縁させようとすると面倒な事が起こるかもしれませんね」


「えっ、でもジャンさん奥さんの事すごく大切にしてるイメージだよ!そんな馬に蹴られてしまう事をしてはいけないでしょ!!!!」


ジャンさん、立場的に大変なのかな?


「ドラモンドさん、私がジャンさんの味方になったらどうにかなりますかね?」


「そうですね。聖女様の立場はこの世界では王家に継ぐ地位です。常識のある貴族の方ならばそれを理解したうえで立ちまわっていただけるかと...。」


そっか~。じゃあせっかくもらったこの立場(聖女様)を久しぶりに活用させてもらおうか。


「ドラモンドさん、私、ちょっとジャンさんとジャンさんのご両親にご挨拶に行こうと思います。準備を手伝ってもらっても大丈夫ですか?」


私の言葉にドラモンドさんは何かを察したらしく、ニヤリと笑うと


「はい、リン様の思いのままに行動してください。それでは、私は早速準備にとりかかろうと思います」


というと部屋を出ていった。


「でっできる家令さんだなっ」


私は誰もいなくなった部屋でひとり呟いた。



それから数日後、ジャンさんが実家に話し合いに行くという日に合わせて私は王都に向かいジャンさんの婚約者(よく話を聞いたら婚約者ではなかった)に実力行使をして無事にジャンさんとその奥さんのアンヌさんをソラータ領に迎える事ができました。



 その時に、アンヌさんの先輩や王都に疲れていた他の獣人の方々も漏れなく一緒に付いてきてくれたのでとりあえずこのお屋敷は切り盛りできるようになりました。


場所が変わってもキリと一緒にいられるからまっ良しとしましょうか!



 これにて、リンとキリの後日談を終了とさせていただきます。

実は、ジャンのその後とリンたちとの合流を兼ねての物語でした。

まだまだ色んな人の色んなエピソードが出てきそうなのですが、それはまた別のお話ですっ!


最後までお読みいただきありがとうございました。

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