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プロローグ 全能力最低ランクの勇者候補、クビになる。






「おぉ……これは、なんともみすぼらしい」

「ハズレだな。このような屑では……」

「……はい?」



 目を覚ましたボクにかけられた最初の言葉は、そんな蔑みのものだった。

 しかし、意味が分からないこちらは首を傾げるしかない。それもそのはずで、ボクはいつものように学校から帰ってきて昼寝を始めただけなのだ。

 そして起きたら、知らない大人に囲まれて『ハズレ』だの『屑』だの言われ、大きなため息をつかれている。十中八九、マトモな人たちではないと思った。

 それでも状況を確認しなければ、話は前に進まない。



「あの……ここは、どこですか?」

「……ここは貴様の住む世界とは異なる場所。我々は人類を救うために、勇者召喚を試みる賢者だ」

「はぁ、異世界……? それで、ボクは勇者候補……?」

「もっとも、落第だがな」

「………………」



 ――あ、思い切り舌打ちされた。

 相手の態度には腹が立つが、とにもかくにも状況は何となく把握できる。これは俗にいうところの異世界転移だとか、そういうやつだった。

 オカルト界隈で噂されていたのは小耳に挟んでいたが、実在するとは……。



「あのー……それで、ボクはどうなるんですか?」

「どうなる、とは?」

「いやいや。例えば何か武器を貰って、魔王を倒してこい、とか?」

「できるのか、貴様ごときに」

「……できませんね」



 ――あ、鼻で笑われた。

 少なくとも、この人たちのために戦うのは絶対に嫌、というのは確定。



「与えられた加護も、ハズレの【反転】か……ゴミだな」

「あの、聞こえてますが……?」

「聞こえるように言っておるのだ。役立たずめ」

「………………」



 ボクはあまりの扱いに、苛立ち始めた。

 するとそんな機微を察してか、賢者のみなさんは面倒くさそうにこう言う。



「仕方ない。路銀は用意してやるから、どこへでも行くが良い」

「もっとも王都の外に出たら、野垂れ死ぬだろうがな」

「せいぜい頑張るが良い」



 正真正銘の厄介払いというやつだった。

 そしてボクは、お金らしい硬貨の入った袋を手渡されると――。



「あの、ちょっと……!?」



 どこに控えていたのか、兵士にみなさんに四肢を掴まれて運ばれる。

 そのまま、城の門から放り出されてしまった。





「えぇ……マジ?」



 こうしてボクこと、吾妻あずま崇彦たかひこは天涯孤独。

 異世界での暮らしが始まったのだった……。



 


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