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67話 後輩、何をお願いするつもりなんだ?

67話 後輩、何をお願いするつもりなんだ?



「みへくらはいひぇんはい!! のびへまふよぉ~!!」


「うおぉ! すげえ!!」


 むにいぃぃとチーズを伸ばしながらもちもちの頬を膨らませる彼女は、最高の笑顔を浮かべる。


 後に続くように夏斗もマルゲリータピザに手を伸ばすと、もちもちチーズを堪能した。


「ふへへっ、勉強頑張った甲斐がありましたぁ。先輩も、お疲れ様でした!」


「おーう。まあ悠里には勝ててないと思うけど、それなりにいい点数で終われそうだったよ」


「ふっふっふ、甘いですね先輩。私は過去一の出来です! 間違いなく、目標は達成してるはずですよ!!」


 全教科五十点。えるは、その目標を掲げ頑張ってきた。


 実際苦手教科もしっかりと夏斗に聞いて復習を繰り返し、テストでの出来は上々。自己採点した結果では全教科問題なく五十以上は取れている上、最も得意な教科である国語では記号問題がほとんどだったこともあって八十点を超えていた。


 そんな情報を聞かされ、夏斗は安堵すると同時に不安が立ち込める。


(つまり、俺はほとんど確実にえるのお願いを一つ叶えなきゃいけないわけか……)


 そういえば、何をお願いしてくるのかは一切聞いていなかった。


 この機会だ。どうせ一週間後には叶えなければいけない願いならば、今のうちに聞いておいた方がいいかもしれない。


「なぁ、える」


「なんれすかぁ?」


「テスト前に約束してた、目標達成できたらなんでも一つ言うこと聞くってやつ。えるは、俺に何をお願いしようと思ってるんだ?」


「…………へぇっ!?」


 いや、何故そこで顔を真っ赤にする。夏斗は唐突に恥ずかしさを全開にした彼女の表情に、困惑した。


 だが、それは至極当然なことなのである。夏斗本人は知るよしもないが、えるがお願いしようとしていることは……


「な、内緒です! そ、そそそそんなのこんなところで言えるわけないじゃないですか!!」


「公衆の面前では言えないようなことをお願いするつもりなのか!?」


 夏斗に、付き合ってくださいと。自分との、交際を願い出るといった内容なのだから。


 それをあろうことか、夏斗は公衆の面前では言えないようなこと、などと。思春期特有の、″そっち方面″なお願いを妄想してしまうのだから困り物である。こんなすれ違いばかり起こすから、いつまで経っても付き合うことができないのだ。


 しかし、今回のテスト期間は違う。えるは目標達成と共に告白することを決意し、夏斗は目標達成の有無を関係なしに、用意した環境下での告白を目論んでいる。


 つまりどちらに転んでも、両者いずれかが告白する気でいるのである。まあ……肝心なところで責めきれないこの二人なら、直前でビビり散らかして想いを伝えられず失敗、なんてことも充分にあり得るわけだが。


 何はともあれ、あと一週間は待つことしかできない。


「むぅ。先輩はデリカシーが無いです。そんな恥ずかしいこと、言わせようとするなんて……」


「ちょ、はぁっ!? 待て待て待て! 恥ずかしいことなのか!? 人前で言えない、恥ずかしいことを要求する気なのかぁ!?」


 かくして、二人きりの打ち上げはどこか勘違いが(夏斗が一方的にしたものだが)生まれたまま、悶々とした雰囲気で過ぎていく。


 

 まさか一週間後、あんな悲劇が待ち受けているとは。知りもせずに。

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