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33話 先輩、確かめてください1

33話 先輩、確かめてください1



「お腹を、なでなでしてください……?」


 突拍子もない台詞に頭の上で大量のはてなマークが浮かぶ。


 聞き間違いかと思ったが、そうではない。現に彼女は今、制服をたくし上げてお腹を露出させようとしている。


「ま、待ってくれどういうことだ!? 急展開すぎて意味が分かんないぞ!?」


「私は、ここで証明しなきゃいけないんです!! ……私がお腹を撫でられて喜ぶような、エッチな子じゃないって!!!」


 それから、勢いで服を捲ろうとするえるを静止し、話を聞いた。


 事の初めは今日の保健室での出来事。夏斗はえるの布団に潜り、お腹を眼前で目撃した。そして必然的に息を吹きかけ続ける状況となってしまい、最終的にはトロんとした彼女の瞳に欲望を爆発させてしまいそうになって逃げ出したのである。


 問題はその後。桃花が保健室にえるを迎えに行った時のこと。ここからは、夏斗の知らない話だ。


「桃花ちゃんに先輩との話をした後、お腹を触られたんです。なぞられたり、おへそをクリクリされたり。そしたら私、身体がぽわぽわして変な声を出しちゃって……エッチな子になっちゃったねって、言われたんです!」


 確かにえるはエッチだったな。夏斗は心の中で頷く。先生と話している時の必死に抑えながらも甘い吐息を漏らしていたあれがエッチではなかったとは到底言い難い。


 しかししそんなことは置いておいて、何故それがお腹をなでなでしてもらうという行動に繋がるのか。


「私、先輩に嫌われたくありません。エッチな子だと嫌われてしまいます!! だから、私はエッチじゃないって証明しなきゃいけないんです!!」


「うん、うーん……うん?」


「さあ、私のお腹を! おへそも触っちゃってください!!!」


 せっかく早いを話してもらったのに、改めて訳が分からなかった。


 まず彼女は誤解している。エッチな女の子が嫌いな男など……この世にはいないのだ。


 夏斗も思春期の男の子。性への関心は多いにあり、えると”そういうこと”をしたいという欲望は当然持ち合わせている。つまり、えるがエッチであろうと全く問題がないどころかむしろ大歓迎なわけだが。


 彼は思った。これ、役得じゃね? と。


(つまり俺はえるのお腹を許可ありの合法で触ることができる。……え、ご褒美?)


 なんでお腹を触らせることによって自分がエッチじゃないと証明できるのか。というか、別にエッチであろうとなかろうとどっちでもいいこととか。そんな諸々の事は考えないことにした。


 要は自分がえるの可愛らしいお腹をもう一度触れば全てが解決するのだ。保健室では目の前で見せつけるだけして焦らしてきたあのお腹を、次は確かにお触りすることができるのだ。


 断る理由など、どこにもないだろう。


「分かった。じゃあ……お腹、出してくれ」


「はいっ!」


 すすすっ、と服を捲り、胸元の少し下まで上げたところで両手を止め、固定する。完全に露出したお腹部分は言葉に表せない謎の色香を放っており、その中央にある小さなおへそは視線を釘付けにする。


 改めて見て、華奢な身体だと思った。元々身長も小さくて大きな部分と言えば胸元のみの少女だったが、やはりお腹も引き締まっている。いや……引き締まっているというよりは、線が細いと言うべきか。


 ほんの少しだけ、薄く縦の一本線が入ったそのお腹は、筋肉質というわけではない。触らなくても分かるほど肌は真っ白で、まさにすべすべふにふにといったところ。これは、きっと極上の触り心地のはずだ。


「じゃあ、行くぞ……」


「お、お願いします……」



 ゴクリと生唾を飲み込み、期待を胸にしながら。夏斗はその至宝に、そっと手を伸ばした。

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