堕ちた聖女
実力がないのに 担がれた聖女カミラ
本物の聖女の降臨が 大聖堂の 星座に刻まれた日、 教皇は 真聖女の暗殺を、 カミラ自身に命じた。
悪女
「起きろっ! 直ぐに戦闘になる! 起きろっ!」早朝、 イーサンが叫ぶ!
やっと明るくなった早朝6時頃に、イーサンは、 魔物による地響きと 大混乱した吠声を索敵した。
「何だ? 何が起こっている?」いち早く覚醒したナールラは、 最後の見張り役イーサンに 尋ねる。
「全員よく聞け! 多分 コレから、 戦闘になる。 まずは、 朝食を しっかり食べておこう。 さぁ、 厚切りステーキサンドウィッチと、 冷たいオレンジの果実水だ! いつもより、 よく噛むんだ! 食べながら聞いてくれ!」イーサンは、 自身は、 アイテムBOXから 次々と、 物品を取り出す。
「今から、 腰のベルトにつけるポーチを配る。 小型のアイテムBOXだ! チャンと時間停止だぞ?! 中には、 短期間遠征用物品が 入っている。 各種ポーションもな! ハイポーションも 必要時は、 ケチらずバンバン使うんだ! ケチって、 死んだら 墓の前で笑ってやるぞ!! 称号はケチな○○になるからな!」
「いやいやいや、 そうじゃなくて そういうことだ!! わかったな?!」咀嚼音のみ・・
「とにかくだ、 ポーチに 手を突っ込めば、 色々分かる。 食べながら 手を突っ込め!」
「ヒュー! ロイ! ナールラ! ラナ! 個人指定だからな?! とにかく 生きて帰還するぞ! ハグレるなよ?! あと、 ココにいるのは 絶対に下策だ! 食べ終わったら、 6階層入口を目指す! 遠くても 活路はソコしかない! もう 時間だ! 食べ終わったら、 片付けは 次回に残す! 直ぐに 平原まで出るぞ! 地図は、 ポーチに入っているが 6階層は、 熟知しているだろ? 全力で走るそ!!」
イーサンは、 長い梯子を出した。
もう、 魔物達の 戦闘音が遠く聞こえる。
大群なのだ!! 入口方向へ、 走り出すイーサン。 パーティーメンバーは、 徐々にペースを上げるだろう イーサンの後にぴったりついて走る。 全員、 無駄口はナシだ。
ラナは、 イーサンが 走りながら、 全員に強化バフをかけたのを感じた。 ラナも 全員に、 強化バフを重ねがけする。
「魔物に、 囲まれないようにするんだ! もう、 ポーチの中の フェンリルの子どもの毛皮を被って、 魔物と同じ方向に 走る振りをしてでも、 生き残るぞっ!!」
「「「「 っえーっ!? まじ入ってる!」」」」四人は、 走りながら フェンリルの子どもの毛皮なんて、 どうしたんだよ?と 驚愕したが、 考えたら負けだとスルーした。
「正面から、 ゴブリンかー! 魔法で蹴散らすと 魔物達がコッチに流れて来そうだ! じゃまなゴブリンは、 コレだぁっー!!」
「セェイッ!!!」
イーサンの本気の 横薙ぎが、 ゴブリンの群れを 襲う・・・
ザシューっ! 身長が低いゴブリン達は、 首チョンパで 青黒い血しぶきをあげながら、 一斉にバタバタと倒れる!
「汚れるけど、 洗濯すれはいいよな?」
「「「「 ソコっ? 」」」」一斉に傾げる首!
「オークの集団が、 興奮状態で 戦闘中! ありゃあ どうしょうもない! 乱戦準備、 作戦2!」
「「「「 了っ!(了解)」」」」2人組みになる。
「ナルっ!(ナールラの略名戦闘用) ココは、 6階層中央の 大森林の近くよ? マズ、 森林に入りましょう?! 湖の側に 秘密の洞窟があったでしょ? アソコで やり過ごす作戦はどう?!」
「ラナっ! 賛成よっ! 男性陣に オトリになってもらって、 急いで 逃げ込もう!! アソコでなら、 きっと隠れ通せる!!」ナルも 走りながら、 同じ作戦を考えていた!
湖の洞窟まで、 走り抜ける!
「ヒュー! 派手に行こうぜ! リーダーのアホは、 閃光弾に、 爆裂弾(手榴弾) 果は、 ハイポーションから、 替えのアイテムBOXパンツまで、 入れてやがる! リーダーは、 最強のアホだぜ?!」
「あの大群、 6階層の魔物達の オシクラまんじゅう大会かよ! 魔物全員集合だぁー!」
「ラナ達は、 湖の秘密基地目指したな? オレらは、 大森林を右に迂回すっぞ!」
「おーっ! 後方に仕掛けた 爆弾が、 魔物を引き付けた隙に 距離を稼ぐぞ!」
「オークの バーカ! 魔狼のマヌケっ! 巨人のうすのろ! やーいっ!」…イーサンである…
「おっラァーっ!」・・・ドッがぁーん!!
「くぉっのおーっ!」・・ばっゴォーん!!
「セェイッやあっー!」バシューン!!!
イーサンの 極大魔法、 3連発!! 東京都の三分の一は、 クレーターになったな?位の威力だ。
ぐびくびと、 魔力回復ポーションを飲み干す。 飲める時は、 飲んどこう作戦だ。
あとは、 パーティーメンバーと 逆方向に、 魔物引きつけ作戦である。
イーサンは、 とにかく 魔物にアピールして、 タゲをとりまくると ボス部屋目指して 全速で駆け出した。
魔物の大群は、 イーサンを追い始める。 大群の動きは、 全く一方向になってしまう。
「ロイ! リーダーのアホは、 ボス部屋に向かってるぜ!! 魔物の大群は ボス部屋には入らんよな? 6階層のボスって、 リーダーのアホだけで 倒せんの?!」
「かあーっ! ムリだな!! シャーナイ! オレ達も行くぞ! あ~ッ、 くっせぇーっ! フェンリルのガキの毛皮、 めっちゃクセぇぞ!」
「おりょりょっ! グエっ! なんじゃこりゃあっ!! 剥ぎたてかいっ!」
楽しそうに悶えつつ、 フェンリルの子どもになりきり 魔物の大群と同じ方向に、 移動するヒューと、ロイ。
「魔物って、 どんだけバカなんだろねぇ!!」
「興奮して走ってんだから、 走ることしか考えて無いんじゃ?!!」
「上手く先頭集団まで、 追いつくぞ!」
ヒューと ロイは、 風のフェンリルに成り切って走った。
「魔物達は、 上手く誘導できたし ボス部屋を開けるか? まぁ、 何とかするさ!! このままじゃ ジリ貧ですり潰されるしな?っと!」
イーサンは、 独り言ちたあと サッと、 ボス部屋に飛び込んだ?!が? イーサンの左右を 魔物が 駆け抜けた?
「へっ?!」
「間抜けな声だしてんなぁ? リーダーさんよぉー?」ヒューフェンリルが 突っ込んだ!
「ほお~ン?! 余裕だなぁ? リーダーは!」
ロイフェンリルは、 毛皮をガバッと脱ぎ捨てた。
「おいおい! 毛皮は、 ポーチに仕舞ってくれ! べらぼうに高価なんだ!!!」
グぉララぁららあっ!!!ボス部屋の主は、 オークキングと、 オークメイジ オークナイトの3匹だった。
「オレは、 キング!」イーサンが奇襲をかけた!
「じゃァ、 オークナイト!」ロイは、 盾を構えた‥
「えぇっ! 速攻に魔法使い残すんかい! しゃーない! 必殺 何か知らん塊ー!」とヒュー…
「「 ウソっ! 狭い部屋だぞ!!」」
ヒューが投げたのは、 エンシェントドラゴン用の 眠り弾だった。
状態異常無効スキルMAXの イーサンだけが、 覚醒しているボス部屋で オークキング メイジ、 ナイトと 順番に、 トドメを刺し ドロップ品を アイテムBOXに入れた。
そしてイーサンは、 一瞬小首を傾げたが ツカツカと、 最後に残った宝箱は 開けずそのままアイテムBOXに入れた。
身体強化を 二重がけして、 ヒューとロイを両手でさげ ボス部屋から、 6階層と7階層の階段にある セーフティルームへ入った。
「ラナ…、ナル 無事でいろよ!」イーサンは 一言で 気持ちを切り換える。
10階層のボス部屋を抜けた、 転移装置に辿り着くまで 帰還できないのだ。
「3人で やりきるしかないよな…。」イーサンは、 3人一緒に そのまま眠る選択をした。
その頃、 秘密の洞窟で 瀕死のナルとラナは、 ハヤトのビーコン(超小型探査機)に発見され 救命措置を施されていた。
そして、 同時刻 冒険者に変装した聖女が、 サウスダンジョンがら 堂々と衛兵に挨拶しながら、 出て行ったのだ。
聖女は、 自分に張り付くビーコンには 全く気づいていない。
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