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孤独な勇者

 精神の一片かたわれ


  生命の危機 レイン


 記憶喪失になってから、 レインの横には セーラがいた。 一年程は眠る時も 一緒だった。

 今、レインは 単独で、 旅をしていた。 

 遠い国へ ずーっと遠い国へ、 行きたかった。 セーラから 離れたかった。



 帝国から、 3つ目の小国にある 名もないダンジョンに、 ふらりと入った。 セーラが一緒なら、 初見のダンジョンに ふらふら入ったりしない。 セーラは、 ガミガミ怒るだろう。

 三階層までは、 雑魚魔物ばかりで 面白くもなかった。

 強くなったなぁ…、 と ワレながら笑えた。

何を 焦っているのか、 自分自身が理解できず イライラと毎日過ごした。

 四階層を、 暫く進むと 数人の男達が、 言い争っていた。 レインは、 無視して通り過ぎた。

 瀕死の男に、 ポーションを使うかどうかで 揉めていた。 仲間なのに 見捨てるとか、 人でなしな話しだ。 

 レインは、 立ち止まっていた。 数メートル後ろでは、 男達が捨て台詞で 少年と瀕死の男を見捨てていた。 男達は、 レインを一瞥して 歩き去った。 踵を返したのは、 気まぐれだった。

 セーラなら、 絶対に見捨てないだろうと 考えたワケでは、 ないはずだ。

 瀕死の男は、 魔法師。 レインは、 ハイエリクサーを 丸丸一本、 男の身体中に浴びせると 2本目を、 チューブで胃に流し込んだ。

 魔法師は、 外傷が全て癒え 意識も回復した。 少年は、 驚き過ぎて 声も出ない。

 「勇者様、 助けて下さり ありがとうございました。 魔術師の アラミスと申します。」

「魔術師! 勇者様?!」少年の目玉は、 コボレ落ちそうだ。



 アラミスは、 勇者パーティーの魔術師だった。 レインの前代の勇者だ。 聖剣エクスカリバーに、 見限られ 聖剣が去る程、 腐っていった勇者のパーティーにいた。

 聖剣を手に入れるまで、 精悍で 努力ヵだった勇者が、 権力欲と 怠惰な生活に腐っていくのは早かった。 冒険より、 贅沢で 安全な、 逆玉の輿になった 勇者は、 聖剣に去られても 美食と美女に、 溺れ続け パーティーは自然消滅した。

 勇者パーティーが 解散されても、 各個人には 一生では、 使い切れない財産は残っていた。 「ソンナものよ!」聖女も 肩を竦めただけだった。

 魔術師は、 冒険が好きだった。 数年間の勇者パーティーの冒険の旅は とても刺激的で、 強力な魔物との戦闘は、 血湧き肉躍る毎日だったから。 この小国で、 少年と出会い パーティーを組み、 先ほどの男達とは 臨時パーティーになり、 ダンジョンに入ったのだ。

 少年は、 まだ Dランクで弱い。 男達は、Cランクであり 程々に弱かった。 

 四階層に入った所に 待ち伏せしていた、 Cランクの 黒狼は、 20匹! 死闘の果て やっと倒したが、 魔術師は 瀕死のケガや骨折をした。 Cランクパーティーは、 少年と魔術師を おとりに使ったのだ。


「オレは、 ショーン。 アラミスを助けてくれて ありがとうございました!」と言ったショーンは、 突然大泣きした。 やっと気が緩んだのだろう。 アラミスと レインは、 焚き火をおこして 軽食を食べることにした。

 回復魔法やポーションでは、 流された血は 元通りには ならないからだ。


「うべも!ぐ(うまい?)! ゲホゲホっ! もぐもぐ!」ショーンは、 両手に 唐揚げとおにぎりを持ち、 食べるのに必死だ。


「沢山あるから、 ゆっくり食え! 飲み込んだあと、 喋れ!」レインは、 ショーンが 自分に似ていると思った。


「ソレで、 レイン様は 何故お一人なのです?」アラミスは、 直球できいてくれる。


「人間不審さ! 幼なじみの聖女に 襲われて、 逃げ出したんだ。 俺は、 臆病者なんだ。」自虐して 笑うレイン。


「童貞の純情な少年に 女は、 魔物以上に オソロしい存在ですからな! しかし、 心折れては なりません! 命の恩人に 世渡りの極意を、 お教えいたします! お教えしますとも!!」アラミスは、 何故か とても嬉しかった。 ショーンは、 お腹いっぱい食べてしまい、 ダンジョンでは 命とりになると、 二人にシコテコ怒られた。 3人は 楽しかった。




「マジか?」情けない顔で レインが言う。


「オレは、 まだ早ぇーよ…!」ショーンは 逃げ越しだ。


「マジだし、 試練だから 逃げられん!」アラミスは 二人の手を握り、 その建物に ぐいぐい入った。


「レイン! 腹をくくれ! ショーンお前もだ!!」 アラミスが 直感で決めろと急かした。 人の気も知らないで!

 冷や汗をダラダラ流していると 清廉な美少女?が、 レインの手をとり 奥の部屋へと、 連れて行った。


 清廉な美少女は、 やさしく微笑みかけると 黙って、 湯殿に導き レインを洗いあげた。

 シビレるような 官能の世界!

 レインは、 美少女のなすがままに 一夜を伴にした。



 翌日昼前、 娼館の外に出で レインは、 心身ともに 晴れ晴れしている!


「いい女だったみたいだな?」アラミスは、 レインの背中を バシっと叩く。


「いい女だったよ。」レインも 破顔した。


呆けている ショーンを連れて、 レイン達は 小国を去った。 隣国の 聖教国に入る。


「女に溺れるなよ?!」アラミスは、 ショーンにくどくどと 説教をかます。


「アナと 結婚する!」と、 泣いたショーンは、 次は 他の女と結婚すると言って泣いた。


「レインは、 大丈夫か?」アラミスは、 大丈夫という確信があったが、 ちゃんと確かめた。


「女神様のような いい女だったよ。」レインは、 サッパリと言い放つ。


「初めての女が、 男の人生観を決める。 親ガチャより 残酷にもなる程にな! レインは、 よい結果になったな!」アラミスの言う通りだ。

 

 清廉な美少女に 漢にしてもらった。

レインは、 一皮むけて 少年から、青年になった。 冒険者の勇者の旅は、 これからだ!

 仲間を探し、 勇者パーティーを結成し 人生を楽しむぞ! はた迷惑な 魔物を討伐し、 人々に安全と安心な 日々の暮らしを提供しよう。 時には、 娼館に繰り出し 酒も飲もう!

 

 レインは、 セーラを吹っ切れたが 忘れることはないだろう。

 レインは、 凄烈に笑った!



「勇者が、 入国しただとっ!」教皇は、 玉座から まろび落ちた。



 

 

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