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慟哭…ナールラ

 最大のピンチは、 くぐり抜けた死戦の先にあるものだ。

ホッと、 力を抜いた (スキ)! ホンの1秒に、 命まで失う…

 

 簡単に言えば アレです。

遠足は、 家に帰るまで! と、 先生から 何回も注意をされたハズです。




  タイムアタック


 「ナールラの判断は、 本当に良かった! ハンカチーフに染み込ませた 毒消しポーションが、効いているんだ! 3人の 顔色も、 悪くなっていない。 一番マズいのは、 ジワジワ毒が継続して身体を蝕み 心臓や脳を破壊することだ。 3人は、 弱いが 規則正しい、 心音が確認出来る!」

「今夜は、 ここで? ここで 野営するのか?」

「いいや、 オレは 今から、 この岩山の中腹に 横穴を探すよ。 ここには、 夕方 他のパーティーが、 来るかもしれないからな? 悪い奴らなら、 また 戦闘になるかもしれない! 急いで探して来る! 済まないが、 また 3人を頼む!」

「了解! 最初の茂みより ここは、 100倍ましさ!」ナールラは、 親指を立てる。

イーサンは、 直ぐに より安全な横穴を 探しに行った。 


 暫くして、 ドゴォーん!!と 爆発音がした? ナールラは、 ソレが ある意味では短気なイーサンが、 魔法で 横穴を開けた音だと推測し、 ふっと笑った。 イーサンには秘密で。

 前にも、 何度か そういうことをやったイーサン。 普段は、 温厚で思慮深いが 結構、 ヤンチャも 過ぎるのだ。



 「少し離れた場所に、 丁度いい横穴を開けた。 直ぐ移動を始める!」イーサンは、 説明しながら もう、 ロイを担いでいた。

 2番目の横穴は、 3階ほどの高さで しっかりした梯子が、 立て掛けてある。 イーサンが アイテムBOXから出したのだ。

 3人を シートを敷いた上に、 間を 充分開けて置いた、 布団に寝かせた。

 イーサンと、 ナールラは 新しいタオルをさいて、 毒消しポーションや 体力回復ポーションを、 マメに染み込ませて 3人に与えた。

 勿論、 梯子は アイテムBOXにしまい、 横穴の入口は 迷惑柄の布と、 木の枝で隠している。 夕陽も落ち 外は、 真っ暗だろう。

 「オレ達も、 夕飯にしよう。 しかし、 あいつら(屋台飯)の 料理は、 絶対食えない! ソレでも、 貯め込んだ食糧や 料理は、 まあ 呆れる程にはあるさ。」イーサンは、 慎重はなので パーティーメンバーは要らないというものまで、 入るものは 何でもセッセとアイテムBOXに溜め込む。

「それなら、 コーヒーもある? 見張りを 交代する時に、 熱いのをたのむよ!」

「いいとも! 3人の意識が戻るまで、 何があるかわからないし、 長期線になる可能性もある。 ヒールやキュアも デキるだけかけるが、 オレの光魔法は MAXではないからな? 効いてはいるハズなんだが。 最初は、 オレが見張りをする。 4時間交代にしよう。 だから、 ナールラはもう寝ていいぞ? 疲れただろう?」

 ナールラは、 自分用に敷かれたフカフカの布団に、 装備を付けたまま横になった。 装備は、 アチコチかたいが 布団は柔らかくてフカフカだ。 

 イーサンは、 パーティーのリーダーとしては 時々おかしい。 この布団しかり、 あの貴族御用達し洋品店の パーティーメンバー全員の正装しかりである。 

 イーサン曰く、 贅沢と 無駄使いは違うんだそうだ。 普通贅沢だと 考えられるものも、 必要なら使う。 コストパフォーマンスがどうのこうのと 色々と講釈をタレるが、 パーティーメンバーには 理解出来ない。

 子どもの頃から、 本の虫だったイーサンは 学校には行っていないが、 帝都の図書館の本などは そこらへんの学者より、 読み解いているだろう。 

 イーサンは、 ペラペラと捲るだけで 本を暗記出来る! 分厚い本も 最近は、 何分かで暗記してしまう。  

 パーティーメンバーは、 イーサンが こうするんだ!と 主張することは、 深く考えず ハイハイと了承する。 考えたらイケないのだ。


 野営の時、 シートに布団をしいて寝る! とか 普通しない。 しないというか、 出来ない! 布団なんか運べないから。 イーサンは、 アイテムBOX持ちだから 出来る。 出来るなら ガマンなどアホだけすればいい!とのたまうのだ。 癖になる!と反対の意見も出たが、 パーティーメンバーは 死んでもパーティーメンバーだから 癖になってもかまわない!が持論。 口論で勝てるハズもないので ハイハイと全員なるのだ。 むーん?おかしいか?

「ナールラ? 早く寝ろ!」イーサンは、 寝たまま首を傾げる ナールラに、 ついに命令口調で 寝ろと言った。

「お、おやすみ!」ナールラは、 直ぐに意識を手放した。



 ナールラが、 規則正しい寝息を立てた頃 イーサンは、 魔法結界を自分の周りにかけた。

 爪が食い込む程 両手を握り締め、 慟哭した。 

「オレの油断だ。 兆候はあった! アンナは、 子どもの頃から ラナに、 嫌がらせもしていた。 しかし、 実害はないのが常で ラナは、 気づかないままだったからな…。 」

「最近、 ラナから アンナ達の支払いを、 年払いでしたいと相談された時、 その方が きっと、 子ども達に 良くしてもらえると、 押し切られたからなぁ…。 っくっ! オレは 大バカだな…。 ふうっ! きっと、 アンナにいいように言われ ラナは、 自分の小遣いも幾らか渡したかもしれない…。 アイツら(デビットとあんな)、 きっと今頃 帝都を出奔(夜逃げ)しているかだろう。 クソっ!! ダン達に 手を出していたら、 地の果てまでも追いかけてやる! ・・・・ふうっ! あぶない…あぶない…。 暗黒神に 近づく所だった! 」

「チャンと、 衛兵に突き出して、 犯罪奴隷にはしてやろう!」

ブツブツと 一人ごとを呟いていたが、 気持ちの整理をつけて イーサンは、 結界を解き 3人に、 ヒールとキュアを使用し 新しいタオルに、 解毒ポーションを 染み込ませた。


 2日目の朝遅く、 ラナが 復活した。 ラナは、 気がついたら 解毒ポーションと 体力回復ポーションを飲み干し、 自分に ハイヒールと キュアレアをかけた。

 少し フラフラしつつも、 復活したラナは ロイとヒューに、 グレートハイヒールと キュアレアMAXをかけた。 産後覚えた 治癒系上位魔法だ。 死んでさえいなければ、 多分大抵は治癒出来る 聖女様級光魔法だろう。

 ラナは、 子ども二人が 独り立ちするまでは、 この力は イーサンと二人の秘密にする決めていた。 

 人助けは、 自分の足元を しっかり固めてからでないと、 夫婦ともに まだ力不足なのは、 自覚出来ていたからだ。



 無詠唱で、 ラナにかけられ最大級の治癒魔法は、 ロイとヒューを覚醒させた。 ソロソロ夕方になる頃には、 ロイもヒューも 皆んなと一緒に、 夕飯を モリモリ食べていた。

「コレって、 上級市民街の 幸楽の中華三昧ディナーダロ? おいおい! 何だ? 何でだ?」

ロイは、 口いっぱいに 肉まんを頬張り、 それでも 器用に首を傾げて言った。

「いいんだよ! こういう時はな? うんと美味いもんを食べるんだよ!! 体力や気力は、 ポーションも効くが 食事が一番大切なんだ! 幸運も呼ぶんだぞ!! 古代人は……」


「「「「 了解っ! 」」」」


「お…、おお、 まあ 食べろ! とにかく食べろ! 色々考えるのは、 帝都に帰還してからだ! まだ 何も考えるなよ?! 帰りの 作戦は1つ、 とにかく安全に 一旦帝都に帰還する!だ!!」


「「「「 了解っ!!!」」」」


 その後は、 それぞれ想う所は 1時的に、 どっかへ放り投げて 帰還したら、 全員家族も連れて 温泉宿に行こうなどと、 雑談しながら 交代で眠った。 1人2時間の見張り番だ。

 この一夜、 十分休息出来たのは この一夜だけだった。

 読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

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