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ディスティニー(ある勇者)

 ブレイブ補正、 それは 勇者に与えられた、 チートスキルだ。 

ディスティニー、 宿命は 様々な困難を乗り換える運命。



  生命の危機とブレイブ

 

 順調過ぎるダンジョンでの行程。 いつになく、 いつもの狩り場(ダンジョン6層)に着いたイーサン達パーティーは、 昼をかなり過ぎてから 食事休憩にした。


 「帝都のダンジョンは、 5層から 転移部屋あるから、 マジで便利だよなぁ! 5階層と6階層の階段にある セーフティルームに転移して来て、 階段おりたら オークが、 ウジャウジャいる 6階層だもんな! つい、 ハリキッちまったぜ!」盾士ロイが、 ニヤニヤする。

「オーク層だから、 罠も殆どないし 気を抜かなければ、 安全マージンは崩れん! しかし、 調子にのってると いらぬシクジリに繋がるぞ!」あくまでもイーサンは、 慎重に話す。

「そうだよ! ロイが、 調子にのって オークのタゲを、 取りまくるから 昼ごはんが遅くなったじゃないか! ワタシは、 お腹ペコペコだぞ!」ハーフエルフのナールラは、 冷たい水を飲みながら よっこらしょっと、 簡易椅子に座る。

「よっこらしょは、 オバサンくせーっ! ガハハハハっ!」ロイは、 軽口で混ぜっ返す。

「はあ~い、 お弁当を配りますよー。 ココは、 セーフティゾーンより もう、 ボス部屋の近くですから 皆気をつけて食べて下さいねえ!」ラナは、 のんびりした口調で 弁当を配り初めた。

「そうだぞ! いつもになく、 階層奥なんだから 全員背中合わせで、 弁当は食べるんだ! 一応 警戒しながら弁当を食べるぞ! いいな!」口調は厳しいが、 イーサンも笑顔だ。

「サウスダンジョンで、 オーク狩りするようになって リーダーのアイテムBOXのスキルって、 本当に便利だよな? 他のパーティーの何倍も稼げるのは、 ドロップ品や 他の荷物を、 ぜーんぶアイテムBOXに入れられるからだからだろ?!」ヒューは、 串焼きを もぐもぐしながら、 今日のドロップ品の数の多さを思い出して言った。

「こんなに美味しい お弁当が、 毎回食べられるのも リーダーのアイテムBOXのおかげだしね!」ハーフエルフなナールラは、 食いしん坊丸出しの エルフらしい言動である。

「おいおい、 カッコよくて 超強いイーサン様(自分)じゃなく、 お前達は アイテムBOX様のオカゲとかいっちゃうのか? オレ、 スネちゃうよ?!」イーサンは、 ふくれっ面をつくる。

「ハーイ…、 ふふふっ、 楽しいからいいんですよ? 遠征で、 荷物や 食事の支度に困らせないのは、 リーダーのオカゲなんですよ? みんな、 チャンと アイテムBOXを 褒めてますもん!」ラナは、 本当にド天然なフォロー。

「ちょっ! 全然フォローになってないし!」

ここの場面までは、 パーティーは いつも通りだった。 しかし、 食後の林檎の甘煮を食べた後、 イーサン以外の パーティーメンバー全員が、 原因不明の身体の痺れで 動けなくなってしまう。 ピクピク痙攣したり 意識を失うパーティーメンバー!

「おいっ! ラナっ! ヒューっ! ロイ! ナールラ!!」声を掛け 状態を観察するイーサン。 毒耐性スキル持ちのイーサンは、 ハーフエルフで 状態異常無効スキル2を、 この間持ったナールラに、 ヒールとキュアを最初にかけた。

「頼むナールラ! 早く 動けるようになれ! ヒール! キュア!」重ねがけする。

「うっ…う…、 ワタシは 一体どうしたんだ? 身体が 痺れて…、 まだ 重い感じが…」イーサンに渡された、毒消しポーションを 飲みながら、 ナールラは ハッと顔を上げた。

「メンバーはっ? ラナっ!」

「ロイと ヒューは、 意識不明だ。 ラナも、 ナールラと同じ 状態異常無効スキル2を、 持っているが 体力の差でだろう、 意識がない。」

「このまま オークに囲まれては、 パーティーは全滅する。 ボス部屋の少し前に、 岩山があったよな? 彼処には、 ボス戦前に休憩出来る 横穴がある。 そこまで、 3人を連れて行く。 マズは、 ロイを担いて行って来る。 ココを頼む!」イーサンは、 ナールラに 毒消しポーションを渡し、 ロイを担いで 全力で離れて行く。

 

 ナールラは、 口唇を噛んだ! 何故だ! 何故コンナことに!! 違う! 今は、 この状況を何とかしないと! 一応、 場所的には オークに見つかりにくい、 茂みの中であり もう暫くは、 多分安全だ。 イーサンが 戻りさえすれば、 このピンチは 何とか出来る! なら、 自分は 自分に今出来ることをするべきなんだ!

 ナールラは、 何とか ラナに、 毒消しポーションを飲ませようとしたが 徒労に終わる。 意識がない人には、 液体など 飲み込めないのだ。 何とかしたいが、 どうにもならない。 そうだ! 飲み込めなくても、 口の中で 少しは、 ポーションが身体に染み込むかもしれない! 

 ナールラは、 帝都の 貴族御用達しの、 洋品店で買ってもらった 綺麗な刺繍入りのハンカチーフを、 3等分に引き裂き 3人の口中に突っ込むと、 毒消しポーションを 染み込ませた。 真っ白なハンカチーフが、 緑色に染まっている。 こんな危険な状態で 泣くのは違うと、 また唇を噛むが 涙だ少しこぼれた。

 ダンジョンの5階層ボス部屋から、 思いがけず出た小振りな宝箱。 しかし、 中には びっしりと、 金貨が詰っていた。 イーサンは、 リーダーの職権を発動して 何と、 パーティーメンバー全員の 正装をととのえると宣言した。

 ソレまでは、 戦闘時以外 何を決めるのも、 ブリーフィングしていたのに。 ガンとして 強行すると宣言した。

 帝都で、 冒険者として 活動するなら、 いざという時、 正装は必要になる!と言うのだ。

 まぁ、 あぶく銭だし 無かったと考えて、 全員で 貴族御用達しの洋品店に行ったのだ。

場違い感は、 半端なく 店内で、 浮きまくったが 店員も店長も、 職人気質?な人達で 宝箱の金貨の枚数で、 パーティー全員の正装を 見繕ってくれた。 

 皇帝にだって、 いつでも謁見できると 太鼓判を押してくれたので、 全員で 出世しようと、 大笑いしたものだ。

全員の正装は、 イーサンのアイテムBOXに 保管してある。 遠征地で 使うかもしれないからだ。 ソンナしょうもないことで、 現実逃避をしていたら イーサンが帰ってきた。


 「まだ、 意識は戻らないのか…。 すまない…、 次は ヒューだ。 行って来る!」イーサンは、 ヌルい水を一気に飲み干し ヒューを担いだ。

 ナールラには、 チャンとわかっている。 一人ずつ担いで行くこともできる。 出来るが、 危険は倍増する。 二人を庇いながら オークに囲まれたら、 全滅しかない。 イーサンは、 絶対ラナを 諦めない。 

 いや、 パーティーメンバー全員を 諦めないだろう。 例え一人なら 逃げられても、 イーサンは パーティーメンバーと一緒に全滅を選ぶ! ソレなら、 やはり 今は、 一人ずつ

確実に 安全な場所に、 運ぶべきなのだ。

 2度目は、 ある程度 落ち着いてしまったので、 冷静な分 イーサンを待つ時間が長くかんじた。 ラナが動けないまま オークに囲まれたら? ブルり! 武者震いだ! 弱気は大敵!

 ラナは、 ひたすら気配を消した。


 イーサンは、 無事男二人を 岩山の横穴に隠して、 帰ってきた。 

「ご苦労だった! よくやったな? ナールラ! しかし、 話しは後だ! また 直ぐ出発しよう!」イーサンは、 再度 ヌルい水を、 一気に飲み干し ラナを担いだ。 利き手は、 ケンを握る為だ。 

「ワタシが、 ラナを背負うぞ?」

「いや、 こっちの方が 早く移動出来る。 全く意識がないから ラナは、 体制がキツくても 苦しまなくてすむ。」イーサンは、 判断と決断は早い。 一瞬で決断したり、 何なら 考える前に動く。


 イーサンの 野生のカン?は、 凄まじく 魔物をスルスルと、 避けながら 岩山の横穴に辿り着いた。

 横穴の前には、 酷い匂いの草が しこたまバラまかれていた。 スライム等の 魔物避けに、 イーサンがまいたのだ。

 「ううっ…」担がれたキツさと、 酷い匂いのキツさの ダブル攻撃に、 ラナが少し呻いた。

「急いで中へ!」イーサンは、 どんどん横穴に入った。


 ロイとヒューは、 横穴の奥に 並んで寝かされていた。 頭だけ タオルが敷いてあり、 後はそのままだ。 まだ、 全く意識がない。

 「一応 最悪の状態は、 抜け出せた。 ナールラが 居てくれたおかげだ! 3人の分も重ねて感謝する! ありがとうナールラ!!」イーサンは、 自分のパーティーに ハーフでも、 身体能力の高い エルフのナールラが居てくれ、 本当に良かったと 神にも感謝した。

 「ワタシは、 ただリーダーを待っていただけだ!」

「いや! あの状況で、 ナールラ以外 あそこで、 オレを待ってくれる人間は 考えられない。 同じ、 状態異常無効スキル2を持つラナも この有様なんだ! 信頼できる、強い身体能力がある ナールラしか、 出来ない事だ!」

 ナールラは、 また 喉が熱くなり、 涙がこみあげるが こんなにも信頼してくれる、 リーダーの力にならなくてはならない!

 太ももを、 両手でグッと抓り ナールラは、 泣かなかった!


 「色々考察してみた! やはり、 林檎の甘煮に 毒が仕込まれていたと考える。 弁当ではなく、 デザートに 全身を、 痺れさせる多分猛毒だ。 ロイは、 多分 無意識に吐いていた。 ヒューは、 甘味は苦手だから、 一切れしか食ってない。 問題は、 ヒューの分も食べたラナと ナールラだったが、 二人友スキルが発動して 絶命を免れ、 ナールラは 身体能力の高さから、 一番軽症だった。」

「いったい、 誰が? いつそんな猛毒を仕込んだと?」

「デビットとアンナだろう?! それしか、 考えられない・・・。 本音を言えば、 ダンとルミが 心配だ。 しかし、 まさか 帝都で、 幼子は 殺せないハズ! と考えたい!」

 イーサンは、 引き絞り出すような ナールラが、 今まで 聞いたこともない、 低い声で呟いた。

「そうなんだ! オレは、 ダンを信じる! オレの子ども達は、 絶対生きて オレ達の帰還を待っているさ!」イーサンは、 顔を上げ 力強く宣言した。 ナールラは、 内心 もう大丈夫だと確信した。



 

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