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ヴァイオトキシン

 ポイズン ヴェノム トキシン

 解毒剤を 開発する、 帝国一の 科学工房。

セキュリティは、 帝国の宝物庫と同等だ。

 1滴でエンシェントドラゴンを 瞬殺出来るその猛毒のアンプルは、 3本保管されていた。

 今 未使用の 一番奥のアンプルは、 蜂蜜が入っている。 


 工業都市ギガンテサイト産業祭


 薬師クラリスは、 毒三どくみ豆を 大きなザルで 天日干ししていた。 このドクミ豆は、 帝国内なら 何処にでもはえている、 雑草だ。 雑草なので、 普通に誰も ありがたがらない。 干して乾燥豆にすると、 真っ白なドクミ豆は、 名前のまま 毒で変色して、 人のかわりに 毒見役をしてくれる。 雑草なので、 繁殖力はハンパないから 多量に手に入れやすく、 安価なのだ。

 帝国内なら、 食べ物を扱う店なら サービスで、 テーブルには 必ずおいてある。 そして、 置いてあっても 殆どか無視されている。

 ドクミ豆がある帝国で、 毒殺など 考える者は、 普通にいなかった。 しかし、 ドクミ豆は、 昔から 必ず準備されていた。

 あっ、 豆の味は もの凄く苦い。 なので、 使用するなら 料理などの皿に、 ポトリと入れて 直ぐに出す。 毒入りの料理なら 必ず変色する。 後は、 ゴミ箱行きになる。

 薬師クラリスは、 その日 ドクミ豆100粒いりの袋を、 30袋作った。 クラリスの乾燥ドクミ豆は、 産業祭 でいつも銀賞を貰う。

 安価で、 儲けなどないが ソレでも、 薬師クラリスは 毎年出品している。



 産業祭で、 スコットは コーヒー豆、 ギュンターは 紅茶の茶葉、 ボクは 乾燥ドクミ豆を物色していた。

 当然、 薬師クラリスの 乾燥ドクミ豆を購入する。 毎年銀賞なので、 ちょっとだけ値段が高い。 それでも、 買えるだけ買って アイテムBOXに備蓄した。



「ただいま! クラリス!」Aランク冒険者ジョエルは、 工房に入って来た。

「43…、 お帰りなさい! エル!」最愛のクラリスの 満面の笑みに、 ジョエルも破顔した。 十日間の 採取の苦労も吹き飛んだ!

「ハイネ村(ロボ馬車が転移した廃村)には、 誰もいなかった。 しかし、 おかしな馬車の車輪の痕跡と 野営跡があったんだよ。 ソレは、 泉の広場から 村の外への片道だけの車輪跡で、 野営のあとは キチンと片付けてあったよ。 結界の魔法は、 破られていなくて 村は保存されていた。」訝しみながら、 ジョエルは報告した。

「ひいお祖母様の結界に、 入れる馬車とか 考えられないわ・・・。 私、 怖い!」ジョエルは、 優しくクラリスを抱きしめた。

「残念だけど、 今回が最後の ドクミ豆の収穫にしよう! ア・ソ・コは、 やはり危険なんだよ!」クラリスは、 力なく同意し頷く。

ジョエルは、 毎年廃村になったハイネ村で 3枚の畑に、 一枚ずつ 交代でドクミ豆を撒き育てていた。 雑草を キチンとした畑で、 栽培したのだから 最高品質のドクミ豆ができた。

 その豆を、 クラリスが丁寧に 乾燥させていたからの、 銀賞だったのだ。

 しかし、 命の危険をおかして 育てる程の儲けはなかった。 侵入者は、 不審過ぎた。

 今回の産業祭で、 クラリスの豆は ほとんどが、 その不審者ハヤトが 買っていたのを、 

クラリスとジョエルは 知らなかった。


 廃村ハイネ村へは、 元村人なら 結界を通りぬけられた。 結界の魔導具は、 秘密のボタンを 決められたリズムで押せば開くしくみになっていた。

 アイスドラゴンの息吹 さえなければ、 平和に暮らせる 村だった

 最後に出入りしていた、 ジョエルとクラリスが諦めたならば 村には、 普通に入れなくなるだろう。 そして 忘れ去られる。



✡✡✡✡✡


  side 極北共産社会主義国


 王侯貴族が 徹底管理する、 社会主義国?である。 王侯貴族以外の国民は、 全て シリアルナンバーで、 生死が把握され 利益は、 全部国家に献上される。 そして、 集められた利益を 王侯貴族以外の 全国民が、 一律の報酬を受け取り 一律の生活水準で生活する国である。 全国民は、 平等に暮らす。 

 主要産業は、 大規模ダンジョン活用(石炭輸出)による、 外貨獲得。 

 地球の産油国宜しく、 王侯貴族も国民達も 緩みきった生活に 満足していた。

 その隣国、 狭い国土の殆どが 高い山脈か その裾野の砂漠で 全国民が貧乏に苦しんでいた。 国境の高い山脈の アチラ側とコチラ側は、 天国と地獄と言ってもいいほどに。



 極北共産社会主義国産業祭


 収穫を祝う産業祭は、 世界各国共通に行われるだろう。 その前夜祭が行われた 大会場には、 王侯貴族と国民 老若男女全員が、 平等に毒殺されていた。 

 食後4時間後に 発動するトキシン、 自然界にない 人が造った、 猛毒が使われていた。


 王侯貴族のほぼすべてと、 全国民の半数以上が 一夜で毒殺された 歴史上、 最悪の事件だった。 

 




 

 

 


 

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