豊穣都市デメーテルⅡ
価値観は それぞれ。
人は一人では、 生きて行けない 普通なら。
クロエと サンタが行方不明になって、 3年がたった。 ソレは 多分、 大きな都市では、 あっと言う間に。
変わらない日常
コタローは、 今日3個目の 角ウサギのドロップ肉と、 小さな魔石を拾った。 弟のセイヤは、 近くで薬草を摘んでいる。
「セイヤ! 弁当にしようぜ!」今日の狩りは、 とても順調だ。 コタローと 弟のセイヤは、 9歳と 8歳、 年子なので まるで双子に見える。
「にいちゃん! オッケー! 腹減ったね!」セイヤは、 摘んだやくを 大切そうにアイテムBOXに入れた。
「かあちゃんのアイテムBOX、 小さいから 直ぐにいっぱいになっちゃうよー。」と、 ニコニコ笑っている。
「だな! じいちゃんのアイテムBOXは 大きいから、 コッチに移すか?!」そう! セイヤが腰のベルトにつけてる アイテムBOXは、 かあちゃんのおさがりで、 10kg位しか入らない。 水筒や ポーション等も入っているから、 薬草なら 直ぐいっぱいになってしまう。
コタローが腰に付けているのは、 じいちゃんのお下がりのアイテムBOXで、 コチラは 時間停止機能付きの上 100kg入る。
コタローは、 魔法剣士片手剣使い。 主に角ウサギ狩り専門。
セイヤは、 錬金魔術師で 鑑定ができるので、 薬草摘みが得意で 何なら、 コタローより稼げる魔力持ちだ。
二人は、 背中合わせになり 仲良く弁当を食べながら、 楽しそうに今後の相談をしている。
「冒険者ギルドじゃさぁ、 林に行ってもいいっていわれたし、 明日から 街の、 南の林に行かないか?」コタローは、 鹿や 猪も、 時々は 狩れるのだ。
「そうだね~。 もう少し稼ぎたいよね。 林や森の入口なら、 そんなに危険はないし 薬草やキノコも、 採取できるよ!」セイヤも乗り気だ。
その夜、 晩ごはんを食べる時 兄弟は、 活動範囲を拡げたいと、 家族に相談してみた。
「かあちゃんは、 まだ早いと思うね! あんた達は、 10歳までは、 平原にしときな!」
「とおちゃんは、 そうだなぁ…、 じいちゃんと一緒なら いいと思うぞ!」
「「ええーっ?!(ヨボヨボじゃん!) 」」兄弟は、 心底驚いた。
「じいちゃんと一緒なら、 かあちゃんも いいさね! じゃあ、 じいちゃんと行きな!」
「「まじでかぁ!!(ヨボヨボなのに?!)」」 兄弟は、 不安になった。
「そうさなぁ…フォッフォッフォ 久しぶりに、 狩りに行くかの?」角ウサギの 薬味焼きを、 もぐもぐ 焼酎をちびちび飲みながら、 じいちゃんは 笑った。
翌日早朝から出発し、 コタローとセイヤ 槍を持ったじいちゃんの3人は、 外壁南の森の入口の林まで来ていた。
「儂から 離れるんじゃないぞい?! マズは 獣道を見付けながら、 キノコ(ウマい奴)の生える木を探すんじゃ!」驚いたことに ヨボヨボじいちゃんは、 何か歩くのが 早い?。
「あの赤い実は、 林檎の木じゃ! そのマワリは、 どんぐり林じゃ! ここの場所は、 ちゃんと覚えとくのじゃ! 行くぞい!」完全に じいちゃんペースである。
「じいちゃん! 林檎の木には、 登っていいのか?」コタローは、 アイテムBOXに もいだ林檎を入れなが じいちゃんに尋ねた。
「うんにゃ! 木に登ってはイカンぞ? こんな低い小さな木に登って、 ビッグボアや 野猿に囲まれたら、 お前達では 危ないからの?!」
「ココに、 ビッグボアが来るの?」セイヤは 林檎をアイテムBOXに入れながら 驚いた。
「落ちた林檎や、 どんぐりは 獣達のご馳走じゃかやの? ホレ そっちには、 猪の足跡があるぞい!」確かに どんぐりや、 林檎を食べた後が 確認できる。
「じゃあ! ココで待っていれば狩れる?」
「コタロー、 焦ってはダメじゃ。 獲物の気配を感じながら、 じっくりと 果物やキノコ、 薬草を探すのじゃ!」じいちゃんは、 堅実派だったから 長生きしているらしい。 そんなコトを話しながら、 3人は 林を歩く。
「この先に、 小川があるからの ソコで、 弁当にしよう。」じいちゃんは マイペースだ。
「まだ、 一匹も獲物が 狩れていないぞ? じいちゃん!」コタローは、 ちょっと焦る。
「いいかの? コタロー。 狩りに出たら 無事に家に帰るのが、 一番の目的じゃよ! 山菜や果物、 キノコに薬草を ある程度採れたら、 食うには困らん! 狩りに無理して 危険を呼び込み、 死んだらしまいじゃ! よいかの?!」
じいちゃんは あくまで、 安全第一主義だ!
「じいちゃん! あっちに何かいるっ!」セイヤが後ろ左方向を指さす。
「猪じゃの? 水を飲みに行くんじゃろ。 人間と同じで 動物も魔物も、 川や泉には 水を飲みに行くのじゃ!」小声で じいちゃんは話す。
作戦は、 じいちゃんが前衛で 前衛、 コタローとセイヤは、 安全を確保しながら 猪の狩り方を、 よく見て覚える! なのだ。
「いいかの?! 絶対前に飛び出すな!」じいちゃんの声が、 低くてコワすぎだよ!
猪は、 隠れた3人の横を通り 水場に近づく。猪は、 母親とうり坊が3匹 並んで、 水を飲み出した。
じいちゃんは 母親の右手に回り込み、 一気に 母親猪の、 横っ腹に 槍を突き入れた!
…プブ ぎゃぁっ! ぎゃあぎゃあ!
母親猪は、 じいちゃんに3回突きを連続で喰らい 猪のドロップ肉(各種類)をドロップした。
敵討ちとばかりに うり坊が二匹 プギプギと、 じいちゃんに 突出する。
もう一匹は、 ピューンと 一直線に逃げ出す。
「コタロー! セイヤ! うり坊を狩れっ!」じいちゃんのゲキが飛ぶ!
コタローと セイヤは、 うり坊に一匹ずつ 必死で突撃した。
結果は、 うり坊一匹をドロップ肉にして じいちゃんが、 二匹目のうり坊をドロップ肉にした。
ドロップ肉を回収して、 少し上流の 岩場で、 小川のせせらぎを聞きながら 3人は、 弁当を食べた。 途中で摘んだ山菜を洗い 塩をふりかけて、 炭を熾して 焼いて食べた。 ここまで、 気を張っていたので お腹も空いてて、 弁当のおにぎりは とても美味しかった。 コタローとセイヤは 食後に、 林檎をシャクシャク齧る。
じいちゃんは、 熱いお茶を アイテムがから出して、 ふうふうしながらゆっくり啜っている。
「暫く 食やすしたら、 家帰るぞい!」
「「えっ! もう帰るの?」」コタローとセイヤは、 本気で驚いている。
「フォッフォッフォ、 いいなの? 帰り道も 危険なのじゃよ。 何なら 良い収穫があった、 帰り道の油断は 魔物位には危険じゃ! コレから、 二人で狩りに来た時には、 弁当を食べたら 早めに帰る!を 決めておけ。 長生きの奥義じゃ!」じいちゃんは、 いつになく真剣に教えてくれた。
3人は、 ゆっくりと 警戒しながら、 草原まで戻り 突撃して来た角ですを、 5匹ドロップ品にかえ 夕方明るい内に、 家に帰還した。
その夜、 食後のアップルパイを 食べながら、
父ちゃんと母ちゃんが ニコニコと話す。
「俺も じいちゃんから、 狩りの仕方をならったよな?」
「そうだね! 子どもは 最初は、 先輩の冒険者や 家族に付いて、 少しずつ 狩りを覚えた方が、 安全だからね?!」
「そうさのぉ…、 初心者は 知らず知らず無理をして、 帰れなくなる 可哀想な者も多いからのう…。 残念じゃがのぉ…。」大人3人は、 何故か 何かに祈ったみたい?
コタローは、 お腹がくちくなって 眠くなったので、 セイヤと 布団に潜り込んだ。
その後暫くの間、 コタローとセイヤは じいちゃんと一緒に、 狩りに行くようになり 親猪や、 ゴブリンの3匹位 コボルトの3匹位なら、 連携して狩れるように 成長する。
冒険者ギルドで 時々みかける、 先輩冒険者が 二人同時にパーティーに誘ってくれた。
丁寧に断ったが、 ソレ位には 腕をあげて、 じいちゃん抜きでも、 狩りに出れるようになったのだ。
冒険者には、 誰でもなれる。
しかし、 冒険者のタグカードを持って エモノ(剣や槍等)をかまえても、 外壁の門を出たなら 危険なのだ。
遠足は 家に帰るまで! 魔法と魔物の世界では、 気を抜いた途端に 命を失う。
完全に 危険回避を身に付けるまで、 子どもを訓練するのは 大人の義務だろう。
平和なデメーテルの都市の 冒険者ギルドに、
ある日突然 子どもの失踪届けが出た。
コタローとセイヤが 帰らない。 家族は勿論 デメーテル中で、 コタローとセイヤを捜索することになった。
突然子どもが それも、 二人同時に失踪する事件は、 3年間で 5件目だ。
平和で豊かなデメーテルの都市に 不穏な空気が 充満して来ていた。
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