釣りフェス2日目
それぞれの釣りフェス
煎りトウモロコシ
煎りトウモロコシ(ポップコーン)屋の 三つ子、 長男ヌル 長女エーン 次男トゥウェイは 未明には、 中央広場の噴水前に 小さなリンゴ箱を置いた。
釣りフェス一日目は、 場所がなくて 広場には、 小さなリンゴ箱さえ 置けなかったのだ。
正規に、 屋台の所場は取れない。 商業ギルドに 入っていないし、 場所代もない。
両親は、 貧しい農民で 三つ子を育てるので 精一杯だ。
しかし、 三つ子の両親は とても大切に育てており、 まだ 8歳なのに、 計算と 読み書きを、 しっかり教えており じゃがいもでも、 サツマイモでも お腹いっぱい食べさせてもいた。
三つ子は、 明るく仲良しな両親に 親孝行してみたいと、 昨年の誕生日に考えた。
7歳の誕生日に、 両親は 新品の服を、 プレゼントしてくれた。
母親が縫ったのは、 簡単なチュニックとズボンを ヌルとトゥウェイに、 ワンピースをエーンに 少し大き目に作ってあった。
「うっわぁー! 新品の服だっ!」トゥウェイは 小躍りした。
「キレ―! かわいいっ!」エーンは ワンピースを、 抱きしめる。
「うっ…うっ…うっ…。」泣いたのは 長男ヌル。
「端切れ(ハギレ)しか買えなくて ツギハギで、 恥ずかしかったら 着なくてもいいから…。」かあちゃんは、 小さな声で言った。
三つ子は、 返事もせず ご飯も食べかけて、 夢中で着替えた。
「ワッハッハぁー!」とうちゃんは、大笑いしていた。
「「「 スッゲぇー(すごぉーい)!」」」
「「「 似合う! にあう!」」」
三つ子は、 輪になって 小躍りした。
「喜んでるぜ? お前が縫った服なんだから、 喜ぶに決まってるさ!」
「うん! とうちゃん 3人とも、 とても喜んでいるね!」両親は、 頷きあった。
パッチワークの丁寧な縫い目の 少し派手目になった服達は、 その日着て お正月に着ただけで、 大切にしまっていた。
そして今年の釣りフェスで 三つ子は、 パッチワークの服を着て 小さなリンゴ箱の露天を出した。
煎りトウモロコシ(ポップコーン)を 売るのだ!
両親へ プレゼントをあげたかった。 3月の誕生日から 一ヶ月程考え抜いた末に、 煎りトウモロコシ(ポップコーン)を売る!ことを 考えついていた。
トウモロコシは 畑の端や、 家のマワリに植えた。
煎りの部分は、 長男ヌルの火魔法で ポポポポーンと弾かせ、 小さい頃から オヤツに食べていたから 上手くデキる。
包む葉っぱも、 沢山集めた!
一包み 銅貨2枚、 値段も決めた!
釣りフェス一日目は、 20包み売れた。 銅貨40枚だ。
「かあちゃんに 冬用のマフラーと、 とうちゃんには お酒をプレゼントしたいよな?」長男ヌルは 子ども部屋の、 二段ベットの上の枕の下に 銅貨の袋を隠しながら、 呟く。
「一日銀貨5枚位 稼ぎたかったね…。」エーンも ションボリ言う。
「早く寝よう! 明日 暗い内から 場所トリしようよ! かあちゃんが 夕飯のサツマイモを
2本ずつ用意してくれてるから!」トゥウェイは、 明日の 売り上げ作戦を、 ちゃんと 考えていたのだ。
「生活魔法のクリーンを ねる前と、 明日の朝かけて 清潔なカッコして、 エーンは、 かわいいポニーテールにするんだ。」ヌルも 前向きになった。
「そうだね! アタシ ちゃんと大きな声で 声掛けして売り込みするっ!」エーンも やる気になった。
「「「 寝ようっ!」」」三つ子は 即、 熟睡した。 煎りトウモロコシ売り初日の疲れは やっぱりあったのだ。
釣りフェス2日目 中央広場の、 噴水前で かわいいパッチワークで お揃いの服、 かわいい呼び込みの声に 煎りトウモロコシ(ポップコーン)は、 飛ぶように売れた。
「煎りトウモロコシを 二袋ちょうだいな? トコロで あなた達の服は、 何処で買ったのかしら? とても 素敵ね?」綺麗なドレス?の オバさんが 話しかける。
「母さんが縫ってくれました。」エーンは、 年上女性に キチンと返事が出来た。
「とても 素敵なお母さんなのね!」オバさんは とても優しい笑顔で、 三つ子は 嬉しかった。 母親を褒められて 本当に嬉しかった。
バサラは、 唐揚げを食べまくり 釣りにも飽きて、 中央広場の屋台を 食べ歩きしていた。
「ハヤトっ! アソコさぁ? ナンかさぁ、 ヤバそうじゃね?」バサラなクセに 指さししないで、 目線で教えてくる。
「バサラなクセに 指さししないなんて? 何を見つけたの?」ハヤトは 何気なく、 三つ子の小さいリンゴ箱露店をみた。
「何て無謀なっ!」ハヤトは、 狼的大人の群れの中にいる 小さな子羊的な三つ子に驚愕する。
「だよね~! 危な過ぎて びっくりするよなぁ〜。」バサラは 肩をすくめた。
「アソこのチンピラ達、 三つ子の今日の売り上げを 夜道で奪う相談してるし!」ハヤトは、 ふんすっ!と 鼻息があらくなった。
「アッチコッチの 悪党に、 めっちゃ狙われまくってるよ! はぁ~…。」バサラは、 もう ため息しか出ない。
「とにかく、 悪い虫は 片っ端から、 片付けよう!」
「賛成!」
✧索敵して 報告します!✧スピカも 何故か張り切ってる。
「売り切れちゃったね!」エーンが クルクルとマワリ嬉しさを表現した。
「明日の分まで売り切れちゃったね!」トゥウェイは パチパチと拍手した。
「3人で ガンバったからだよ! オレの火魔法 エーンの生活魔法 トゥウェイのアイテムBOX とても役にたったね! 売り上げは 全部、 アイテムBOXに入れてかえろう!」ヌルは、 小さな声で 二人に話した。
両親は、 三つ子には 出来るかぎり、 しあわせになってほしかった。
三食ご飯を お腹いっぱい食べさせた。
読み書きと計算も ちゃんと教えた。
そして 魔法がそれぞれ使えると知り、 悪い大人に さらわれたりしないよう、 用心の仕方も 教えていた。
しかし、 幼い三つ子は 悪い大人の恐ろしさを、 全く知らなかったのだ。
三つ子を狙っていたのは、
① 売り上げを狙うチンピラ 4組
② アイテムBOX持ちを狙う商人 奴隷商人 7組
③ かわいいエーンを狙う 貴族3人
④ 三つ子をまとめて狙う 商人と奴隷商人
とにかく、 50人近い悪党を ハヤトとバサラ スピカで、 一日中 殆ど付きっ切りで 排除しまくっていた。 モチロン 人知れずに!
「ただいまっ!」夕方 三つ子は、 満面の笑顔で 家に帰った。
夕食後、 三つ子からプレゼントを貰った両親は 抱き合って喜んだ。
「三つ子が生まれた時は 本当に大変だったけど、 産婆さんに 一度に3人産めたんだから 丸儲けって言われたの。 本当に 三つ子が生めて、 しあわせだった!」
「そうだな! オレも 嬉しかったし、 嬉しいぜ!」
「「「 とうちゃん! かあちゃん!」」」
プレゼントを買った残りのお金は、 両親は 受け取らなかった。
三つ子がアイテムBOXに貯金して 学校に通えるように諭した。
三つ子は、 11歳で 帝都の魔法学院入学を目指す。
貧しくても しあわせな家族。
そっと見守った ハヤトとバサラに スピカ。
ビーコンは、 この家族も 継続観察対象にした。
後日、 かあちゃんを訪ねてきたのは、 老舗洋品店の 仕立て専門職人と、 オーナーのオバさん。 煎りトウモロコシを 買ったオバさんだ。
かあちゃんの 服を縫う腕は、 王侯貴族のドレスも縫える 丁寧さと器用さがあったのだ。
かあちゃんは、 老舗洋品店の縫い子になった。
とうちゃんは、 何人かと 共同で畑仕事をする、 農場のリーダーになった。
三つ子は、 冒険者登録をして 魔法学院入学のお金をためたし、 学費と寮費等がタダになる 特待生を目指して、 猛勉強もしたのは 別の話しで•••。
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