世界一小さな湖
シラチ湖
「すみませ〜ん! 世界一 小さな湖を、 観光ギルドで 紹介されたんですが、 まだ 遠いのでしょうか?」観光客は、 真剣な表情。
「目の前の ソレ! シラチ湖!」オレは、 幼い頃から 繰り返される、 観光客の質問に ヘラっと、 答えた。 もう、 腹もたたないさ。
「エエェェっ!」ハイ そのリアクションも、 お腹いっぱいデス。
池より 小さいよな?
本当に 湖か?
ヤラセなんじゃないの?
その他 ケンケンゴウゴウな感想。
観光ギルド! 何とかしろっ!
オレん家
シラチ湖を グルリと一周する、 細い散歩道を挟んで 真正面?にある、 小さな家が オレん家だ。
父ちゃんは、 冒険者ギルドの ギルドマスターで、 Sランク冒険者なんだから 貴族街に、 大邸宅だって 持ってるんだけど、 来客の時以外 ソッチには、 住まない。
理由は、 デカいと 護りきれんからな? 色々と。 何だそうだ。 よくわからん!
オレは、 読み書きと 計算、 生活に必要な 最低限度の 勉強以外やってないし、 一年中 遊び放題だった。 9歳まで!
10歳の誕生日、 父ちゃんは 突然言った。
「来年から、 帝都魔法学院へ 入学しろ! 明日から 家庭教師をつける! 学院で困らない程度は 教養を身につけろ! いいか? サボって 困るのは、 お前自身だ! サボったら シラチ湖の 魚のエサにする!」父ちゃんは、 オレの誕生日の ご馳走を、 オレの2倍の速度と量で バクバク食う!
「あと、 たった今から 一人称は、 私にしろ! ワ タ シだ!」
はぁっ…? とにかく、 今は ご馳走を食べないとっ! パンしか 食べられないぞ!
父ちゃんに 負けないように、 オレは 必死て、 肉の串焼きを 3本、 左手に確保して 一生懸命咀嚼した。
「あぁ…、 明日から 料理は、 皿から フォークとナイフで、 上品に食うからな?! 覚悟しておけ! あと、 明日 貴族街の邸宅に、 引越す。 荷物は、 全部 この家に置いて行く。」
はぁっ…? 父ちゃん? ボケたか? 父ちゃんって、 30歳ちよいだよな? あれっ?
翌朝、 オレは 天蓋付きの、 デカいベッドで 目が覚めた。
「おはようございます。 ルイジュお坊ちゃま! ワタクシ、 不詳 執事長ラルジュ 今日より、 お坊ちゃま専用 教育係として、 全身全霊で お仕えいたします!」執事長ラルジュは、 一部の隙もない 綺麗なお辞儀をした。
「??? お? おはようございます?」
「マズは、 朝の 入浴からでございます!」
執事長ラルジュの 後ろから? メイド服が 3人 わらわら出現した。
「おはようございます、 ルイジュお坊ちゃま!ワタクシめは、 メイド頭 マツでございます。 左に控えますのが ウメ! 右に控えますのが タケでございます!」
「「 よろしくお願いします! お坊ちゃま!」」
「???」
「ソレでは、 早速!」3人の おばあちゃんメイド達は、 オレを拉致し オレの部屋の? オレ専用の デッカい湯船に、 ぼっちゃあ〜んと オレを投げ入れた?
「エエェェっ! パジャマはっ!」
「生活魔法で すっぽんポンでございます!」マツさんは 得意そうだ。
「お一人で 髪から 足の指まで 洗えますか? 何なら メイド3人で、 ピッカピカに 洗いあげますが?」ニヤリと笑う3人!
「一人で洗える!」
「ソコの バスタオルで、 身体を拭いて パンツだけ履いて、 10分以内に 出て来てくださいませ!」松竹梅トリオは、 風呂場から 去った。
10分しかない! オレは、 髪と身体を セッセと洗い、 歯みがきをして 風呂場から出た。
ふぉ〜っと 温風が、 全身を包み込むと 髪が、 サラサラと乾く。
「アイテムBOXパンツは、 旦那様から 必須とのご指示なので、 仕方ありませぬ! しかあ〜し、 伯爵家としての キチンとした服装は、 一秒たりとて 肌身からは、 離されませぬよう!」執事長ラルジュの その一声が、 戦闘の合図かと言わんばかりに、 3人のおばあちゃんメイドに 取り憑かれ、 オレは 伯爵家のお坊ちゃまのピラピラした、 動きにくい洋服を着せられていた。
「ハイ! それでは、 朝食にまいりましょう!」執事長ラルジュを先頭に オレ、 マツ ウメ タケが、 ぞろぞろと 屋敷を歩く。
「ココが 食堂にございます!」コンコンコンと 心地よくドアがノックされた。
「入れ!」父ちゃんの声だ!
「失礼いたします!」執事長ラルジュは、 うやうやしく ドアを開け、 父ちゃんに挨拶する。
「ラルジュ様のお支度が 整いましてございます!」
「うむ!」父ちゃんをみて、 オレは びっくりした。 父ちゃんが ピラピラした服を着て、 まるで 貴族のようだった!
「挨拶はっ!」
「おはよう! ございます?」何か ラルジュと、 松竹梅が めいっぱい睨むから ございますを つけてみた。
「うむ、 まぁまぁだな? 夕べ 話した通りだ! 私は、 仕事で もう出かける。 そして、 夕べ話した通り お前は、 私の実の姉の子どもで お前の父親は、 シララン伯爵である。 まぁ、 実の伯父だから 生活は、 コレまで通り 私と暮らす! あとの 詳しい説明は、
執事長ラルジュから聞け! 行ってくる!」父ちゃんは、 サッサと席を立つ。
パクパク… パク?
「行ってらっしゃませ!」執事長ラルジュ。
「挨拶はっ!」
「パクパク…パクパク?」
「まぁ… いいか…。」父ちゃんは、 出て行った。
オレは、 ラルジュに 父ちゃんが座っていた、 右隣の椅子に 座らせてもらった。
…ストン… 間抜けな 小さな音がした。
「最初は、 ゆっくりでよいのです。 ソレでも カトラリーに慣れる為には、 変なクセ等つかぬ用 キチンと使ってくださりませ。」執事長ラルジュは、 根気よく オレに、 朝食を摂らせた。
そして、 オレの部屋で ソファに座らせると、 何故 10年間、 父ちゃんと二人暮らしだったのか 泣きながら説明してくれた。
夕べ 父ちゃんが、 言っていた 寝言だ!
オレは、 信じられなかった!
オレが 父ちゃんの子どもじゃないとか、 伯爵家の 3男だとか?
来年から、 寄宿舎に入り 魔法学院で、 5年間も お勉強するとか?
11歳から、 冒険者登録が 出来るんだぞ?! 今さら 学校とか!
「冒険者には、 帝都魔法学院の実習で 登録されます! 冒険者で ウナラス様のように、 Sランクを 目指されるのなら、 魔法は必須でございます! Bランク以上の魔物は、 魔法剣でしか 倒せませんぞ! 魔法剣は 魔力を、 自由自在に 扱う必要があるのです! ルイジュお坊ちゃまは、 生活魔法も 使えませぬ!」執事長ラルジュは、 オレにも 納得出来るよう、 上手に説明していく。
「美味しいお茶を!」松竹梅トリオが、 クッキーと 冷たい果実水を、 出してくれた。
シュウシュウと 湯気がたちそうな、 オレのオツムに 冷たい果実水は、 とても ありがたかった。
「冷たいタオルでございます!」オレは ゴシゴシと、 顔を拭く。
「少し冷とうございます!」と 首の後ろに、 新しく 冷たいタオルを当ててくれる。
「ありがとうございます…。」オレは 何か、 泣きそうになった。
「使用人に 敬語は、 いけませぬ! ソレも コレからは、 キッチリ 守られますように! 敬語は、 ご両親と 貴族として、 伯爵家以上の方だけに なさいませ!」
「本当に 必要なコト?」
「必須でございます。」執事長ラルジュと オレは、 ソレから 一年間、 ミッチリ 伯爵家 3男として、 お勉強した。
世界一小さな湖は、 この私のようだ。
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