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カケラ~日常  作者: 崋山楽 
想い
10/20

第十話 影

 ス・タンはル・ベラーとベキ・スはシア・ロと組になって見回りに行く事となった。




 見回りは、決められたコースを周り時々に応じて休憩を取り、『網』内部に所々置いてある篝火(かがりび)が消えないように薪や油を補給する。

 『魔物』らしきモノを見たら、各自が持っている笛を鳴らし周りの警戒を促す。

 もし、『魔物』と戦闘になったら、笛を前もって決めてある特殊な鳴らし方をし、周りにいる人間を集める。


 今回、ス・タンとベキ・スが入ったため夜の見回り組みが一組増えた。

 出発前にそれぞれの予定を少しずつ変更し、それぞれ見回りに出たのは既に日は暮れ、星が瞬きだしていた。



 ス・タンもベキ・スも知ってはいたが、初めて体験する実体験に始めの内は興奮していた。

 しかし、ル・ベラーとシア・ロがそれぞれ落ちつかせ、見回りをしていった。

 

 それぞれが、それぞれにバラバラに休憩、見回りを行っていった。

 そして、イツ・キもまた一人で『結界』内を歩き回っていた。


(やはりここは…)

 イツ・キは『結界』ギリギリを歩いたり、木が密集している所を歩いたり、時には村のすぐ近くまで行ったりしていた。

 誰にも会うことなく、感づかれること無くイツ・キは自分自身の配分を守って歩いていた。

(…おかしい…)

 イツ・キは静かな見晴らしのいい場所に立ち止まった。

 イツ・キは目を閉じ、静かに感じていた。

 風を。

 空気を。

 気配を。

 命を。

 そして、感じた。

(居る…これは…無事であればいいけど)

 イツ・キは遠くに視線を向けていた。


 ピッピピー


 小さくしかし、聞くものには決して聞き逃せない笛の音が響いた。

 それは『魔物』と交戦中を表している。

 助けを呼ぶ笛の音。

 近くに居る者達は走り始めた。


 イツ・キもまた向っていた。




 笛の音は反響し素人には大体の方角すらわからない。

 しかし、訓練を積んだ大人、笛の音に微かに混じっている『魔力』を感じ取れる子どもは迷い無くその場所がわかる。




「吹けた?!」

 ()(・・)を避けながらル・ベラーはス・タンに叫んだ。

 黒い影は見上げるほど大きく、何本もの手足を持っている。

「これは『魔物』じゃない!!」

「じゃあ何!!」

 二人は叫び合いながら、襲い掛かってくる黒い影を避け続けた。


 口調には遠慮と言う物がなくなっていた。

 切羽詰ったこの状況下では仕方がないが。


 二人は間合いを取りながら、黒い影に攻撃を仕掛けていた。


 ガチャガチャガチャ


 いくつかの人影が近づいてきた。

 笛の音を聞いて駆けつけてきたのだ。


「とりあえず、引かせるぞ」

 その中にリーダー格の大人が居て、そう指示を出した。

「はい」

「わかりました」

 駆けつけてきた数人もその声にしたがって、自分のやるべきことを始めた。


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