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6話 対決! 対ガミラス

 騒ぎの方へ行ってみると、かつての仲間が戦っていた。いや、もう決着はついているみたいだったが。マルクスは後方で伸びているし、シルビオも尻餅をついて戦意喪失しているようだった。後方支援の2人も震えてなすすべ無しという感じだった。


「来るな! 死ぬぞ!」


 シルビオが叫んでいる。


「し、シルビオ! 大丈夫なのか!」


 叫び返してみる。敵の注意がこちらに向き、シルビオは助かったようだ。


「あ、あいつがお前の相手だ! あいつは最終兵器だったんだ! 魔王軍の幹部ならそっちを先に始末した方が良いだろう?」


 シルビオは俺を指さしてそんなことを言った。一年前追い出したのに、何故今更そんなことを言うのだろう。


 魔王軍幹部は俺に近づいてくる。


「ほう。こんな雑魚ばっかりなのかと正直残念に思っていたが、まだ最終兵器を隠していたとは」


 後ろでシルビオ達はそそくさと物陰に隠れだした。……あいつら、俺を囮にする気だ!


「俺は魔王軍幹部、ガミラス。お前が俺の相手をしてくれるのだろう?」


「お、俺はジンだ」


 ガミラスは指の骨を鳴らす。めちゃくちゃ強そうじゃん。


「や、やってやる!」


 水筒の酒を飲み干す。おおお、また酔いが回ってきた。


「この匂い、酒か。お前、戦いの前に酒を飲むとは、舐めているのか?」


 ガミラスは怒り心頭だった。


「ヒック……。行くぞ、行くぞぉ」




 ジンを囮に、あのガミラスとか言う奴に不意打ちを仕掛ける、これが俺達がとっさに考えた作戦だ。


 物陰に隠れて、ジンとガミラスの戦いを観察する。こんなはずじゃ無かったが、俺達が生きて勝つためには仕方が無い。


 マルクスも剣を握ったままチャンスをうかがっている。イザベラも魔力を高めて魔法の準備をしている。


 ジンがどれだけ注意を引いてくれるか分からない。が、これは行ける!


「おい、シルビオ。ジンの奴、急に酒を飲み始めたぞ」


「何?」


 本当だ。こんな状況で酒を飲んでふらふらしてやがる。やはりあいつはカスだ。囮になるのだろうか。


「おらぁ!」


 ガミラスがジンに殴りかかった。


「その仙人は酔いで怪力を得る!」


 ジンが千鳥足でガミラスのパンチを避けやがった。そのまま杯を持つ時みたいな独特な形の手でガミラスの腹に一発食らわせる。


「グッオォ……」


 効いてる? ジンの攻撃が、俺達では手も足も出なかったあのガミラスに効いてるのか? い、いや、まぐれかもしれねぇ。そうに違いない。


「この野郎!!」


 ガミラスは相当怒ったみたいだ。怒濤の連続攻撃がジンに繰り出される。ジンもこれはやばいだろ。


「そろそろ行くか?」


 マルクスに小声で聞いてみるが、まだだと言う。


「あれを見ろ」


 ジンの方を指さした。なんだよ、ジンはもうやられたんだろ。あれだけの攻撃が来たんだから。


「あらよっとぉぉおおう」


 ジンはハイテンションでガミラスの攻撃を受け流し、躱し、反撃している。……何故だ? あいつあんなにやる奴じゃ無かっただろ。


「この仙人はよろめきつつ、酒瓶を抱えて歩く!」


 ガミラスが押されている。ジンが圧倒しているんだ! それにしても見たこと無い戦い方だな。まるで酔っ払いなのに、強い。


「こいつ……。もういい、俺を本気にさせた事、後悔させてやる!」


 ついにガミラスが剣を抜いた。やべぇ、あのガミラスの雰囲気。尋常じゃ無い殺気だ。


 仲間達の方を見る。満場一致で、逃げるという意見だ。これは本当にやばい。逃げるか。


「おいおいおーい。剣なんか出しちゃってさぁ。ヒック。あぶねぇ奴だなぁ。ちったぁ周りに気をつけて振れよな」


「何だと?」


 何やってんだあの馬鹿! あんな殺気を出しまくってる奴に普通そんなこと言うか? 殺されるぞ! 酒を飲んで気が大きくなってやがる。


「こ、この野郎! 死ねやぁ!」


 ガミラスがぶち切れて剣を振り回しやがった。あ、危ねぇ。ジンの奴、ヒヤヒヤするよけ方をしやがる。


「オラオラオラァ!」


「ほい! はい! よいさ!」


 攻撃を避けながらちゃんと反撃し、酒まで飲んでやがる。


「はぁ……はぁ……クソ。何故当たらん!」


「ヒック。あれ? 酒が無くなっちまった」


 もうだめだあいつ。早く逃げるぞ。

 

 仲間に合図を出し、俺達はジンを置いて逃げ出した。




 あの青年が戦っているという話しを聞いて、騎士や冒険者の制止を押し切ってきてみたら、話しの通りだった。


「酒が無くなっちまった」


 あの青年は酒を飲みながら戦うのだが、酒がきれたみたいだ。持ってきておいて良かった。


「おーーい! 酒を持ってきたぞ!」


 青年に呼びかける。青年は私に気づくと、にこやかな表情で返してくれた。


「酒場の店主さん! その酒くれぇ! あ――御代は今度で良いかなぁ」


「そんなものいらん! あんな奴ぶっ飛ばしちまえ!」


 私は酒瓶を投げ渡した。


「させるか!」


 あの魔王軍が酒をたたき落とそうとする。


「よいさ!」


 流石だ。飛んでる酒瓶に合わせてジャンプし、回転して避けながらキャッチした!


「おお! 良い酒じゃん。俺のすきなヤツ」


 青年は旨そうに酒を飲む。本当持ってきておいて良かった。またあの拳法が見られるぞ!


「ヒック。さぁ、やろうぜぇ」


 青年は前見た構えを取った。これから始まるんだ!



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