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5話 魔王軍幹部襲来

 いきなり出てきてすまない。私は酒場の店主だ。そう、今まさに暴漢と青年が戦ってる酒場の店主だ。


 何故いきなり出てきたのか。それは私が見たあの奇妙な拳法を皆様に伝えたいからだ。……とりあえず聞いてほしい、私が何を見たのかを。


 暴漢が一斉に飛びこんだんだ。三人ともいいがたいをしているから、あの青年はもう終わりだって思ったね。さっき酒を一気飲みしてたからふらふらしてるし。


 だがそれは違った。千鳥足なのに、暴漢達の攻撃を華麗に躱すんだ。


 それだけじゃ無い。反撃し出したんだ。


 腕を広げ、体を回して暴漢を殴り、と思ったら隣の暴漢を裏拳で突き飛ばす。


 3人目に押され、青年は倒れ込んでしまった。だが倒れた瞬間にはねたんだ。そして暴漢を両足で蹴り飛ばした。


 暴漢達は困惑してたね。意味の分からない動きなのに、強いんだから。


「店主さん! 酒もっとくれ!」


 そう青年が私に叫んだんだ。当時は私も困惑していたからね、言うとおりにしたさ。近くにあった酒瓶を投げ渡した。すると青年はラッパ飲みしたんだ。良い飲みっぷりだったね。


 そこからだな、更に青年の強さが増したのは。


 あとはもう一方的だよ。暴漢たちはずっと翻弄されてたね。一発も攻撃が当たらない、でも青年の攻撃は全てクリーンヒット。これは勝負あったなって思ったよ。


 最終的に暴漢たちは全員伸びてた。絡まれてた女性が青年に感謝の言葉を言おうと青年に近づいていった。だが青年は女性じゃなく私の方へ歩いてきて、こう言ったんだ。


「酒を売ってくれ。あ、あの3人につけといて」


 痺れたね。あれだけ大立ち回りして、女性が寄ってきてるのに、ここで酒? ある意味すがすがしい青年だよ、彼は。


 私は感謝の意味も込めて、一番良い酒を用意した。青年はうれしそうに酒を抱えて帰っていったよ。


 以上が私の見たものだ。長々と語ってしまってすまない。だが、どうしても伝えたかったのだ、この熱い気持ちを。それでは、またどこかで。




 酒も実質タダで買えたし、師匠も喜んでくれるだろう。


 小屋に入るが、師匠の姿は無かった。


「師匠? ししょー!!」


 返事は無い。だが、机の上にある水筒と、その下に置いてある手紙を見つけた。読んでみる。


「ジン。

 わしはここを離れ、故郷を目指しがてら旅に出る。お前に教えてやれることはもうない。後はお前                   のこれからの修行にかかっておる。一層精進して励むことだ。

 そして先の人生において、良き才能を持つ者1人だけに、酔拳を伝えるように。これがわしの悲願であるから、よろしく頼む。

 最後になるが、わしから水筒を送ろう。ではお前のこれからの活躍を祈る。

                                     ラオ・チュー」


「師匠……」


 師匠は旅に出てしまった。まだ学びたいことが沢山あった。だが師匠はもういないのだ。


「これからも励まなくては。いつか師匠に会った時、驚かせてやるんだ」


 そう言って自分を励まそうとしてみたが、思いに反して涙が止まらなかった。


「ウ――――――――――――――――――!!」


 突然、街の方からサイレンが聞こえてきた。これは街に危険が迫っているという合図だ。どうやら悲しんでもいられない用だ。


「何があったかは分からないけど、行くしか無いか!」


 机に置いてある水筒にもらった酒を詰め、急いで街へ下りた。




「マルクス! 俺と前に出ろ! マチルダとイザベラは援護を!」


 街の外で、俺、シルビオは仲間に指示を飛ばす。


 突如として現れたのは、魔王軍の幹部らしい。大剣を振り回す大男で、とても強そうなオーラを放っている。


 だが俺達は有名な勇者パーティーだ。最近の成績もいいし、ジンみたいな足手まといもいない。魔王軍幹部なんて簡単にたおせるはずだ。


「行くぞ!」


「おう!」


 俺はマルクスに合図を送り、同時に斬りかかった。


 何度も何度も斬りつけているはずだ。だが敵に全く当たらない。マルクスも同じだ。


 そして何より腹が立つのが、敵は剣を抜いてないのだ。俺達相手に、素手で大丈夫だと思っている事だ!


「はぁーっ!」


 イザベラが魔法で援護をしてくれた。炎が敵に襲いかかる。


「フン!」


 だが敵の一払いで炎がかき消されてしまった。


「雑魚どもが!」


 敵が殴りつけてきた。マルクスが吹き飛ばされる。


「あ……あ……」


 俺の方を向いた。次は俺の番てことか。


 脚が震える。力が入らない。こんな……こんなはずじゃ無いのに。俺、ここで死ぬのか?


「おーい! 大丈夫か!」


 誰かが走ってくる。……よせ止めろ。俺達勇者パーティーがこのざまだ。他に誰が来たところで殺されてお終いだ。


「来るな! 死ぬぞ!!」


「し、シルビオ! 大丈夫なのか!」


 は? なんで俺の名を知ってるんだこの男。いやそんなことはどうでもいい。早くあいつを逃がさなきゃ。


「も、もしかして、ジン!?」


 イザベラが叫んだ。何? あいつがジンだってのか? 一年前くらい姿を見なかったが、言われなきゃ気づかない位変わっちまってる。がたいも良くなって、前よりマシになっている。


 ……そうだ。俺は仲間にアイコンタクトを送る。


 こんな敵、勝てるわけが無い。このままだと死ぬ。


 だから、()()()()()()()()







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