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彫り師デスの素敵なタトゥー  作者: ペンネーム募集中
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聞いちゃいました

「西崎さん・・・ご来店・・・ありがとう・・ございます・・・」





「ええ、」





 先ほど、から場所変わって私たちはデスの作業場に移動しました。

 デスさんと依頼人の西崎さんが作業場の椅子に対面で座り、私と警官さんはデスさんの後ろで立って見守っています。

 警官さんいわく、





『シンゴはタトゥーをいれる前、依頼人の覚悟を確認するための時間をとる!話を聞いて・・・見えるまで待つんだそうだ!』





『何を見ようとするんですか?』





『依頼人が何を背負って死のうとしているのか、だ!死ぬ理由、大切にしているもの、それをタトゥーにして刻む。





 それが依頼人を死に導いているんだろうな!悪く言ってしまえば、呪いなんだろうが』





『警官さんとして、それはいいんですか?まるで殺人を手助けしていることになりませんか?無能?』





『だからこそのカウンセリングだ!そして俺は何故、依頼人がこの呪いをかかりにくるに至ったのか把握し記録を残す!警察側もこの現象を知っていながら、法律上何も出来ませんと何もしないわけにはいかんからな!


・・・後は依頼人が死んだ後の処理もするんだ。死ぬとわかっている人間を見送らざるをえないこの立場はまだ、なれたもんじゃないがな』





 だそうです。先ほど、作業場までの間に聞いた話ですが。


 いよいよ、緊張の為に息を整えていた西崎さん(推定56歳さん)が話しはじめます。





「私には23歳の娘がいます。とても荒っぽくて清楚とは程遠い娘ですが、半面で大学は次席で卒業して難無く一流企業に就職する要領の良さがあります。


 万年落ちこぼれな私やおとなしい妻には、まるで似なかったなんていつも妻と笑っているんですが。


 そんな娘が先週、変に帰りが遅くてですね。いつも私や妻を気にかけて連絡はこまめにしてくれるし、彼氏が出来たときだって、私たちを心配させるような事の無かった娘が。何の連絡もなく深夜の零時を過ぎても音信不通でメールの一つも残さなかったんです。


 私たちはそれはもう心配しましたが、もう娘も大人ですからと、待ったんです。


 娘は3時頃になって帰って来ました。それから私たちが娘に心配させるな、と少し窘めたところ、話づらい事があって帰れなかったと言われました。なんと、今の彼氏と妊娠していたそうです!とても喜ばしい事だ!と私たちは娘を抱きしめて、孫が出来るのは喜ばしい事なんだよと、安心させました





 一つ懸念があるのが、私たちが貧困層に位置する家庭ですから、娘を大学に通わせてもうお金がほとんど無くしてしまっていました。娘もそれを気にしていたのでしょう」





 話し中、デスさんは一言も挟まずに聞いていました。ですが気になったことがあるのであろう警官さんが口を挟みました。





「それだけだと、デスのタトゥーを入れる必要は無いでのでは!?金は引き続き働けば困りはしても何とかなるだろう。今は社会福祉も充実しているんだ!」





「しかしながらですね。





 私、西崎ヤスノリはですね。殺人の前科持ちなんですよ。





 私は若い頃に殺人を侵しているので、世間体などで孫にまで迷惑をかけてしまう!それが私には堪えられない。妻や娘はそれを踏まえて私の元にいてくれました。


 幸い、妻と娘は要領がよくそういう世間体の弊害をかわしてくれましたが、孫にまでそれを負担させるのは!


 私がデスさんにタトゥーを入れてもらい死んでしまえば、私の働き口から保険金が入りますから娘達がお金に困ることも無くなるでしょう」





 どことなく根拠の薄い理由に聞こえはするが、根拠としては十分だったでしょう。私はその話に納得してました。


 デスさんが口を開きます。





「わかりました・・・僕も・・今・・見えたので・・彫れます・・」





「デスさん、どうかお願い致します」





「では・・・作業場へ・・。彫り終わりに・・・ヤスキチから・・・カウンセリングを・・・受けて・・・終了」





 あっさりと話は終了して、デスさんと西崎さんは作業場につながるドアの奥へ消えて行きました。


 


「君、今の話をどう思った?・・・後、名前何だっけ?」





「龍子です!


 今の話、発想が少しドラマで知ったような知識っぽいですが筋の通った話に聞こえましたね」





「そうか。デスは今の話を聞いて感じることが出来たようだ。それをタトゥーに興して西崎の体に刻む!


 今の話、うそ偽りがなければ娘さんやお孫さんの希望を願う翼でも彫るのだろうかな!





 これから、デスと西崎は一日仕事になる。この件が、気になるならまた放課後にここに来ればいい。後、これは俺の連絡先だ!ことを口外されてはかなわんからな!彫りが終われば連絡しよう!」





「わかりました!私すっごく気になるんで絶対に来ますから!」





「物好き過ぎないか龍子!?まあ、とにかくまた明日な!」





 そう交して、私はその場を後にして帰路に着きました。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





翌日





「終わりました・・・・」





「ありがとうございますデスさん。お見通しだったんですね」





 その彫った腕から方にかけて、描かれている中に『女を犯す若い男』、『男に向けられる銃』、『憎悪の顔をした中年の男』そして今日の日付があった。

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