進展
週明けの月曜日
真っ先に近藤に謝りたかったがボードに直行と書いてある
(そういえば引継ぎの挨拶で直行だった)
美穂は牧野の席へ向かう
「ごめんね、菜々ちゃん。歓迎会、行けなくて」
「あー大丈夫ですよ、金曜、課長が二次会行くぞーってなって、中々帰らせてもらえなかったから来なくて良かったですよ」
「あっそう、誰が二次会行ったの?」
「私と課長と近藤さんと三村さんとあと新人2人」
(近藤君行ったんだ…そりゃ行くか)
「そう、良かった行かなくて、苦笑 あっごめんお金…」
「あっキャンセル出来たので大丈夫です、先輩頑張りすぎですよ」
「今日は早く帰る」
「そうした方がいいですよ、目の下のクマ出来てますよ」
「え?嘘?」
美穂は手鏡で自分の顔を見る
(本当だ…ファンデーションで隠せていない)
いつも化粧ばちばちの菜々ちゃんを
ちょっとは見習わないとね…
改めて美穂は自分の女子力の無さにがっくりした
「金曜終わらなかったんですね」
美穂がコーヒーを注いでる後ろから
近藤が話しかけてきた
(あ、帰ったんだ)
「あっごめん。22時越えちゃって」
「待ってましたよ、俺」
「本当?私なんかいなくても楽しめたでしょ?」
(何…私の言い方…)
「今度ご飯奢ってくださいね」
「え?なんで私が?」
「金曜来なかった埋め合わせですよ」
「別に良いけど…」
(距離の近い男…)
「既婚者が女性と2人でご飯に行っても良いの?」
「会社の先輩じゃないですか、それくらいオッケーでしょ」
近藤が皮肉った様に笑う
(そっか、近藤君は私を女性として見てないんだ)
「先輩でも女は女ですから!」
(何言ってんだ私)
「今週の金曜日空いてます?」
「空いてるけど…」
「空けといて下さい、仕事終わり、ちょっと企画書で聞きたいこともあるので」
「分かった」
少し裕太の顔が浮かんだ
男性と2人でご飯に行く事は浮気になるのか
いや、ご飯に行くくらい別に浮気じゃ…
仕事の事で聞きたいことがあるって言ってたし…
大丈夫か
祐太と付き合って2年
男性と2人でご飯に行ったことは無かった
そもそも裕太と付き合ってからは男性に誘われたことが無かった
向こうは既婚者
奥さんにバレたらややこしい事にならないか
少し後ろめたい気持ちはあったが
ワクワクの方が大きく上回った
大丈夫か
美穂は何度も過ぎる不安に
大丈夫かで打ち消しながらワクワクと金曜日を待ちわびていた