運命
美穂が近藤のiPhoneで曲を選んでる途中、間違ってホームボタンを押してしまう
「あっ、ごめん間違えて…」
待ち受け画面に切り替わりまだ2歳くらいの子供がサンタの格好をしている写真が写される
「可愛い…この子…」
「あー俺の子供っすよ」
「えっ?子供いるの?ってか結婚してたの?」
「はい、特に聞かれなかったんで誰にも言ってなかったすけど」
「そうなんだ、若いのに」
(彼女はいるだろうとは思ったけど)
「まあー結婚早かったかなって今は思いますけどね」
「何歳で結婚?」
「26っす」
(早っ、もしやデキ婚?それは聞かないでおこう)
「デキ婚っすよ」
(やっぱり…)
「奥さんは何才?」
「24っす」
(若い…)
「そうなんだ、結婚生活楽しい?」
「まあ、普通の生活っすよ、当たり前の日常、子供は可愛いすけどね、」
(子供好きには見えなったけど…)
「青木さんは結婚されてるんですか?」
「ううん独身」
「独身ぽいですもんね」
(ムカッ)
「どういう意味よ 苦笑」
(でも彼氏はいるから!)
「彼氏がいるけど結婚を先延ばしにされてるとか?」
「え?何で分かったの?」
(何で分かったの、この若者)
「図星っすか、俺、適当に言っただけすよ」
「あっ、そう、、苦笑 別に考えてない事ないんだけどね」
(今は考えられないって言われたけど)
「男がまだ遊びたい時期に女は結婚したがりますもんねー」
「でも偉いじゃない、結婚して」
「俺の場合デキ婚すから、堕ろせは流石に言えないしょ」
「まあ、そうだけど、好きで結婚したんでしょ?」
「うーんまあ、デキ婚すからね」
(この若者、なんか嫌い)
(そもそも避妊してた訳?避妊して無かったんでしょ?どうせ。できたから無理矢理結婚したみたいな言い方、、)
(それに中出しする男って最…低…)
「どうしたんすか、急に黙ったりして」
近藤がチラッと美穂を見て問う
「別に…」
(何か喋る気分じゃない)
それはただデキ婚した啓介を最低な男だと残念がった訳だけじゃなくて自分より歳下のこんな若者が結婚して子供もいて、、でも自分はその幸せを何一つ手に入れてなくてそんな自分に少し嫌気がさした
近藤も何も話さず黙ったまま運転する
美穂はふと運転席の近藤を見つめる
片手で運転する近藤の手から湧き出る血管が男らしく見えて美穂は近藤が既婚者だと言う事に少し損した気分になった