好き
と言う気持ちはいつから湧いたのだろう
男として意識した時?
いやそれが好きという感情である事に気付くのは
もっとずっと先だった
高校1年の頃、初めて男として意識した人がいた、クラスの人気者で、お調子者だけど男子にも女子にも好かれて、向こうは所謂ギャルと呼ばれる女性が好きで真面目な私なんか相手にはしなかったけれど
そんな相手がいながら私にも彼氏がいた
成績優秀、生徒から先生と呼ばれるくらい頭が良く、真面目ででもスポーツも出来て女子にも男子にも優しくて申し分ない彼氏だった
周りには自慢の彼氏だねと言われた事もあるけれど自分ではあまりそう思ってなくてむしろ周りが良いというから付き合っていた感じだった
卒業間近の時、その彼氏に好きな人が出来たって振られたけれど、そんなに悲しくなくてむしろそのお調子者と離れ離れになる方が悲しかった
その時私ってこのお調子者が好きだったんだって気付いた、気付いた所で何にもならなかったけど
啓介を好きだと感じたのもずっともっと先だった
車中
「曲かけていいっすか?」
美穂が答える間もなく近藤がiPhoneで曲を探す
「良いよ、何聞くの?」
「洋楽っす」
(洋楽…マイケルジャクソン、マドンナ…)
美穂が頭の中によぎった歌手とは全く違う最新の洋楽を近藤は流す
如何にも近藤が好きなクラブミュージックだった
「何これ?」
「知らないんすか、今有名っすよ」
「あーそう、」
(これがジェネレーションギャップ?いや、私が古いだけ…)
「私、マイケルジャクソンとかマドンナとかその辺りしか知らないから」
「あーそれ俺も聞きますよ、たまに」
「え?聞くの?」
(なんか嬉しい…)
「曲変えましょうか、俺のiPhoneに入ってますよ」
「良いよ、この曲聞きたいんでしょ?」
「いや、知ってる曲流れた方がいいっしょ?」
「あーまあ、そーだけど」
近藤がiPhoneで曲を探す
「あ、やっぱいい、最新の曲聞きたい」
「じゃここから好きな曲選んで適当にかけていいっすよ」
近藤は美穂に自分のiPhoneを渡す
「分かった」
携帯を渡された美穂は何故だか凄く信用されているようで内心ワクワクしながら数ある曲を選んでいた