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出会い

それはいつだって突然だ


「青木君ちょっと来てくれないかな」


美穂が内線で部長に呼ばる


部長室

トントン

「失礼します」


「おう、忙しい所申し訳ない」


相変わらず偉そうに座っている

無精髭の部長の前に見覚えのない若者がたっていた

髪をワックスで遊ばせ、スーツの裏生地はお洒落な柄が入っている

高そうな時計を付け、いかにもモテそうな若者だった


「システム部から営業部に配属になった近藤(啓介)君だ」


「初めまして」


美穂が丁寧に挨拶する


近藤は軽く頭を下げる


「青木君に教育担当を任せたいと思う」


「え?私ですか」


「佐々木は今の持っているクライアントでトラブってるし、三村は新卒の教育を任せてるし、そうなると青木君しかいないだろうと思ってね」


年次が上がると面倒な仕事が増える


「分かりました。」


美穂はいつも通り愛想よく笑顔で答える


「教育内容は任せるから」


それが一番困る


「分かりました。今日から宜しくお願いします」


美穂が丁寧に挨拶する

近藤は軽く頭を下げる


「初めに営業部の人達紹介していくね」


美穂が愛想よく話しかける


「別に大丈夫っすよ、俺人の名前覚えるの早いので、あと性格も直ぐ分かるので」


「いやでも紹介…」


「大丈夫っす」


生意気な奴


THE若者だった

好青年ではなく軽い印象を受けた

大人の裕太と違いまだ社会人としての常識が無さそうで仕事よりも社会人としての教育をした方が良いのではないかといった印象だった


だがいざ仕事となると違った


初めは新規電話からだったが

システム部というクライアントと密に接する事のない部署から引き抜かれて営業部に移動してきただけあって電話のアプローチの仕方が上手く特に教える事も無かった


2週間後には

新規クライアントから一度会いたいとアポイントを取り付けていた


「初めてのアポイントだから私もついて行くね」


「ありがとございます」


「車は私が出すから」


「女性に運転させるのは悪いっすよ、俺運転します」


「あーいやでも」


「俺の案件なので」


近藤は美穂の持っていたキーをとる


(そこ女性扱いするんだ)


近藤と美穂が車に乗り込む


この時からだったかもしれない

啓介を歳下の部下ではなく

少し男性として意識したのは


何の匂いだろう

男の香水の匂いがした

祐太は香水をつけた事がなかった

そもそも男が香水をつける事を嫌っていた私だったからそれが良かったんだけど


見た目にあまり拘りの無い裕太と違い

妙に見た目に拘る男だった


「何の香水つけてるの?」


「ブルガリっすよ」


「あーブルガリね」


(ブルガリつけてるんだ、この若者)


「お洒落だね」


「男も女も見た目からっすよ」


「まあ、そーね」 苦笑


「でも中身も大事よ」


「いや、見た目が好きじゃないと中身も好きにならないすよ、青木さん、そのアホ毛といた方が良いっすよ」


(ムカッ)


「ご忠告ありがとう」


(そりゃ見た目大事だけどなんかムカツク、この若者)


それ程まで私は見た目を気にするタイプではなかった

ほらよく女子力の高い女にもっと高い服着なよとか

高い鞄持ちなよって言われた事もあった

そうねって笑って返したけど内心ブランド志向の女って嫌悪感に思ってた


その女に言われても行動に移さなかったのに

何故啓介に言われただけでここまで見た目に拘ってしまうのかしら


そうこの日だった

私はいつも素通りしていたデパートで

シャネルの香水を手に取っていた事を今でも覚えている

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