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4-18 不気味な傭兵を尋問し、私は砦の中へ突入する

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4-18 不気味な傭兵を尋問し、私は砦の中へ突入する


 さっきこの男は人の肉を食うというようなことを言っていた。確かに、飢饉で食べる物が無く、子供を交換して食べたとか死肉を食べたという話を聞いたことは有る。だが、こいつらは「今日はビーフシチューよ☆」くらいの嗜好品のように人肉が好物であるかのように話していた。


 私は、地面に埋まった男の顎を蹴り上げ、ベーメンソードの切っ先で右目を突き刺すと、質問を始めた。因みに、相棒は既にデュラハンである。首は掌にないけれど。


「ねえ、人の肉を食べてるのかな?」

「……さあなあ……あああぁぁぁぁ!!!!!」


 圧倒的に死にかけのくせに、態度が気に入らないので、切っ先を深く突き刺して抉る。


「まあ、直ぐには殺さないから」

「それですが、ヴィー。この男たち、少々変です」


 いや、死体みたいな臭いはするし、人肉?食べるの好きみたいだから、そりゃ変だよね。


「恐らく、オーガ化しつつあります」

「え、オーガって人間が化けるものなの?」


 戦場で『狂化(バーサーク)』する者もいる。この場合、大抵死ぬまで戦って死ぬので問題が……まあない。戦いが終わって生きていた場合、たいてい味方に殺されるから。


 『人喰鬼(オーガ)化』はそれに近く、食料が無くなり飢え死にするよりはと戦死した人の肉を食べる事で、人の力を越えたの力を発現する者たちを意味する。


「大概、知能が低下して腕力が強化されます。ですので……」

「傭兵には最適?」

「そんなところです。普通は、あとあと使い物にならなくなるので意図的に行わないのですが、この者たちは上手く操作されているようですね」


 暴走させずに済む工夫が施されているのだろう。それは一体何なのか。地面に埋まっているオーガ傭兵に蹴りを入れ、質問を再開する。


「あんたたち何人いるの?」

「……」

「まあ、見当は付いているんだけどね。二十人くらいでしょ。あんたの姐さんの人望じゃ、そんなもんだよね」


 知能の低下した傭兵なら、この程度の煽りで聞きたいことを話すはず。


「ふざけんな!! 姐さんの元には百近くの手下が揃ってるし、お前らなんか足元にも及ばねぇすげえ首領がいるんだ。イチコロだぞお前らなんて」

「ほう、聞き捨てなりませんね。そうすると……人狼か吸血鬼の隷属種当たりが指揮官ですね」

「……」

「沈黙は肯定。まあ、死肉喰いさせるモノっていえば、吸血鬼かな。血は姐さんと首領が、その残りの死体はあんたたちオーガが食べるわけね。とてもエコじゃない?」


 吸血するから、血抜きもいらないとても効率的!!


「それで誰も帰ってこないわけね」

「あの中に、まだ生き残って捕らえられている人もいるかもしれませんね」


 冬に備えて家畜を屠殺する必要もないしね。豚や鶏を飼うように、炊事や洗濯をさせているかもしれない。つまり、『働く食料』だね。


「あ、もしかして、買い出しの理由って……」

「捕まえた人間がやせ細っては美味しくありませんから、太らせて健康にする為に食料を買う必要がありますね。料理人すらいるかもしれません」


 オーガ化したコックの出す、究極の人肉料理に舌鼓……嫌な絵面だね。とにかく、殲滅しちゃった方が良いし、醜鬼オークの城塞と同じパターンで処分した方が良いよね。善は急げだ。


「食事の時間は何時ごろか教えてちょうだい」

「……Gaaaaaa!!!」


 もう生かしておくのも面倒なので、ビルに拷問してもらう事にしました。ほら、生きたまま炎の精霊に焼かれるってどんな気持ち?


「素直に話せばすぐに殺してあげるわ。でなければ、じっくりと痛めつけてから殺す。オーガってどのくらい嬲れば死ぬのか、実験しておこうか」

『Geee,ナンデモハナス……』


 片目から涙を流して私の慈悲深さに感激する食人鬼。まさに、鬼の目にも涙だね。




∬∬∬∬∬∬∬∬




 巡回していた理由は、「人間の臭いがする」って事だったらしい。私とビルはその辺り抜かりはないけど、『兄貴』は隠蔽もしていなかったから、それで気付かれて『狩り』に来たらしい。


 そうです、冒険者の皆さんも、傭兵達スタッフに美味しくいただかれたらしい。そうなるかー 装備を回収すれば証明になるかな。


 聞きたいことを聞き出したので、片目のオーガには地面に埋まってもらい、ナイナイしておきました。


「さて、どうしますかヴィー」

「正面から向かいましょうか。魔銀の剣でバッサバッサと悪いオーガを斬り倒すのはどうかな?」


 もうすぐ真っ暗になる。私は夜目が効くし、ビルも当然……精霊だから明るさ関係ない。オーガを狩り尽くしたら、翌朝明るくなってから捕まっている人を救出して街まで移動。調査の完了と討伐の報告をして、あとはギルド経由で話をすればいいかな。


 どの道、現場確認は貴族の領地内だから『ハベル』の守備隊じゃあ手出しできないし……首だけでも持って帰るか。さっきの、埋めなきゃ良かったかな。





 因みに、ビル曰く、吸血鬼は夜目が聞くが、オーガは狼ほどでしかないという。まあ、人間より見えるけれど、匂いや気配で相手を察知するということらしい。


「オーガと人間ってどのくらい違うのか知ってる?」

「私の知る範囲では、狼と犬の違いほど、オーガと人間は異なるそうです」


 狼と犬は似ているが、狼の方が押しなべて強力だ。馬と兎馬くらいの差がある。噛む力は五割増し、犬は不器用だが狼は大概一度経験したことは即対応可能だ。学習能力も高く、体力もあり、群れても優秀。オーガは狼、人間は犬というのはそういう例えなのだという。


「狩りをするなら、オーガ化した傭兵は最強でしょう」


 オーガを作るという方法は経験則として存在するのだという。遭難し救出困難な状況で人が極限を迎える場合、食料が無くなり「共食い」を起すことがある。その場合、生き残って人の肉を食した者は『オーガ』となり、死んでいると思われる過酷な環境で生き残り、やがて人里に現れるのだという。


「街外れに一人住んだり、森の中に屋敷を得て住む事もありますが、人と余り接しないようにすることで、見つからずにひっそり生きている場合があります」


 その代わり、旅人や孤児などを攫って殺して食べることもするという。勿論、元人間だから人肉以外食べられないわけではない。お酒やたばこみたいな嗜好品であり、力を高める素材でもあるという。


「人肉を過酷な環境で与える……ということを囚人で試した例を聞いています。全員ではありませんが、オーガ化した者がいたそうです」

「しなかった囚人はどうなったのか、念のために聞いても良い?」


 ビルは「当然、オーガの餌です」と答えた。




 稜線に沿って郭が重なるように配置された城。正面から突破するのにこれほど適した形はない。


「お願い」


 ビルは、魔銀のヴォージェ(ビル専用特注品)に魔力を通すと、そこには、魔力と共に炎が巻かれる。炎のヴォージェである。


 鉄の板で補強された門をバッテンの形に斬り裂くと、蹴り飛ばして扉が開かれ、木の扉が炎に包まれる。キャンプファイアー!!


 城内はほぼ灯りが無く、オーガ兵は自分たちの索敵能力を過信しているのか、若しくはまさか討ち入りしてくるものがいるとは思わないのか、反応が鈍い。


「まさかの食事中でしょうか」

「本気の女体盛とか見たくない!」


 人間の形のままバラバラにしてテーブルの上に並べられたりしていたら、夜一人でトイレに行けなくなるじゃない。


 暫くすると、武器を手にした傭兵らしき姿の男たちが、バラバラと現れた。


「お、デカいのと小さいの、どっちも良い顔だな」

「いい顔の男が苦痛に歪むをの見るの、姐さん好きだからな。丁度いいだろ」


 『姐さん』とは、例の街に現れた女幹部の事だろうか。ちっこい方だが、私は女だよ。


「全殺しで」

「はい、承知しました」


 向かってくるオーガ兵は、強気な雰囲気を漂わせているが、それがビルがヴォージェを振り下ろすまでだった。右肩から左脇腹まで一撃で斬り倒すのを目にした兵士たちが、一瞬硬直するのがわかる。


疾風(sturm)


 一瞬の略詠唱で体を浮かせ、加速を滑らかにした私はオーガ兵の首の後ろをバッサバッサと魔力を通した魔銀のベーメンソードで斬り落としていく。それはスパスパとよく切れ、勢いよく血が首の斬られた血管から吹きあがる。


 どうやら、オーガも人間同様、知能は低下しても心臓から勢いよく頭に向けて血液を送り出しているらしい。首の傷が致命的ってのは、あっという間に血液が脳に回らなくなるのと、沢山の出血で体が動かなくなるからだそうです。先生に教わりました。流石伝説の錬金術師です。




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ヴィーの友人ビータとプルのお話です。後編!年末年始集中投稿中☆

『就活乙女の冒険譚』 私は仕事探しに街へ出る


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