第33章
「ん……ふわああああ」
セヴェル以外に誰もいなかった。
セヴェルが目を開け食卓へと向かう。
食卓の上には薄いパン1枚が載った皿と
コップ一杯の水だけだった。
ハムかチーズでもないかと思い探したが
生憎なかった。
セヴェルは仕方なくパンを食べる。薄い
のに硬くてパンを食べることに苦労した。
(……それにしてもなぜ俺1人だけ留守番
なんだろう)
皿をかたずけようと持った時に1枚の紙
が落ちた。
『買い出しに行ってきます』
と紙に書いてあった。
「えっと、干し肉、干し芋、ドライフル
ーツに乾パン、紅茶の茶葉に、バゲット
にチーズと、非常食。……カンテラにロ
ープと……こんなところですか」
「本当に良かったの? セヴェルだけ留
守番なんて」
「しょうがないじゃない。ゆすっても布
団をはいでも起きなかったもの」
「それでも今日は質素だったわ。薄いバ
ゲット1枚に水だけなんて」
「あぁ、それについてはすみません。買
いだめするのを忘れていました。」
「それより何処かで外食しない?」
「えっ、セヴェル君抜きですか?」
「私はセヴェルがいてもいなくてもどっ
ちでもいい」
「そうですねぇ……久々の食事ですから
貸し住宅に戻って荷物を置いてから全員
で外食にしましょう」
「ただいま帰りました」
「お、みんなお帰り大荷物だな」
「今から食事か。何作る?」
「あっ今から外食の予定なんです。どこ
で食べましょう」
「となると肉か魚か?」
「華と肉亭なんてどうでしょう。ハーブ
を特に肉を使った料理が有名ですね」
「いらっしゃーい。……あれ?初めての
お客さんだね。うちでは初めてのお客様
は1人に1杯だけドリンクサービスして
るんだ。……はい、これメニューね。ド
リンクとデザートは裏面に書いてあるよ。
メニューが決まったら声かけてね」
ウエイトレスにメニューを渡され値段を
見る。他の店に比べてやや安めだ。
カルボナーラとトマトスープ、刻んだ香
草が練りこまれた肉団子、飲み物はソー
ダを頼んだ。
人数分より少なめに頼んだが、意外とボ
リュームがあって正解だった。
「この肉団子ハーブが効いてて旨いな。
しかも結構大きい」
「ソーダも甘すぎなくていい感じ」
「そうか? 俺には甘すぎるんだが」
「ねぇ、ドリンクお代わりしてもいいか
しら?」
「ああ、いいぜ」
「じゃあ……ミルクティーをお願いね」
「僕はストレートティーを」
「私もストレートティーを……けどア
イスで」
「ミアナちゃんは?」
「んーと苺のソーダ!」
「俺は冷たいコーヒー。ミルク付きで」
「はーい、注文入りましたー」
待っている間に注文したドリンクとミル
クと角砂糖がテーブルに置かれる。
リリアンは角砂糖とミルクを入れる。エ
リュニスとルシェットも砂糖をいれる。
セヴェルはミルクを入れた。少しだけ入
れると思いきやドボドボと沢山入れていた。
「意外……」
「ん? なんだ?」
「……いえ」
「ミルクをドボドボいれるから気になった
のよね」
「たまにはいいだろ?」
「まぁ……いいわね」
「ふぅ、食ったな」
「セヴェル君すごい勢いで食べてましたね」
「仕方ないだろ。朝食が薄いバゲット1枚
とコップ1杯の水だけだったし」
「あら? それは私たちと同じよ」
「そうなのか」
「そうよ そのせいか料理が美味しかったわ」
「空腹は最高の調味料ということもある」
「その、言い方はちょっとね……」
「料理が美味しかったからいいじゃないですか」
「ありがとうございましたー」
「美味しかった」
「そうですね。お金に余裕が出来たらまた行
きたいですね」
華と肉亭を出て貸し住宅に着き、扉を開ける。
着くなりシャワーを浴びる。シャワーは1人
用というくらいに狭い。
「……僕が先でいいんですか?」
「いいわよ」
「じゃあ先に入りますね……あっ!」
「どうした?」
「石鹸がもう小さくなってしまって……」
「それなら明日買いに行こうぜ」
「そ、そうですね……」
エリュニスの後順番を決めてシャワーを浴びる。
皆シャワーと一緒に石鹸を使うのであっという間に
石鹸が小さくなってゆく。
(明日いくつ石鹸を買いましょうか。後でシャン
プーとリンスも買っておいた方がいいですね)
少なくとも1つではすぐになくなってしまう。
どんな種類の石鹸があるのか考えながら髪の毛を
バスタオルで拭う。
髪の毛と身体の水気を粗方拭った後、ベッドに横
になった。
横になって眼をつぶる。眠ると夜は静かに更けて
いくのだった。




