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第29章

「すみません、ポーションを試して

きました」

「……ん? あぁ、君か。エリュニ

ス君 それでどうだったかね?」

「それがしっかり効きましたよ」

「ふむふむ。そうか、……二つとも

半分残っているね。残りは買い取ら

せてもらおう。……1つ100ルク

スでどうかな?」

「それは半分残っていた分ですか?」

「そうだよ。全部残っていたら1つ

200ルクスで買い取るよ」

「そうですか」

「はい、2つで200ルクスだね」

「どうも。 ……えっと……」

「ん? どうかしたかね?」

「いや、これを買い取ってもらおう

かなと思いまして……」

そういうとエリュニスは膨らんだバ

ッグパックを開けた。

「ふむふむ。結構いろんな薬草とか

あるみたいだね……うーん、全部で

350ルクスでいいかい?」

「ありがとうございます」

「あとこれ。やってみないか?」

「え? 何ですかこれ?」

「薬草入りキャンディのレシピだよ」

「あっ……」

「そういえば薬入りのグミを試食して

もらうんだったね。……あー、レシピ

は君か誰かが試食してもらってからに

しようか」


貸し住宅に戻ってきたエリュニスは薬

入りのグミの封を開けた。甘酸っぱい

果物の匂いと独特の薬臭い香りが袋の

中に充満していた。どうやら薬臭さを

カバーするために果物の匂いがする。

ひとつ食べてみると若干の薬臭さと果

物の味が口の中に広がった。

(これなら多分大丈夫ですね。他の人

にも聞いてみましょう)

「ルシェットさん、このグミを食べてみてく

ださい」

「えっ、これを?」

「薬草入りのグミですが試食してほしい

んです」

ルシェットは口を開けてグミを食べる。

「・・・・・・うーん、薬っぽいけど大丈夫

美味しい」

「これなら多分大丈夫ですね。僕はこ

のまま雑貨店に行きます」


「ありがとう。これでも飲んでくれ」

「あ、はい。何だか赤い色ですね」

出されたお茶を見てみると紅茶にしては色が赤

い。ひとくち飲んでみると酸っぱかった。

「で、前言ってた薬草入りキャンディの事なん

だが」

「あっ、そうでした。……僕は濃縮された薬草

ポーションは作れても、飴は無理ですよ」

「そうか・・・・・・」

「その代わりというかなんというか、グミは結

構美味しかったです」

「まあ飴のほうは濃縮ポーションさえあればど

うにかこっちで作れるよ」

確かに菓子を作るのは手間暇と技術がいる。

ポーションを作る錬金術師と菓子を作る技術者

と色々いる。

とはいってもエリュニスは錬金術師でも技術者

でもない。

そういえばふと思い出す。ルシェットもエリュ

ニスも薬草や木の実を摘んだりしてそれらを売

り収入を得ていた。特にルシェットはそれで生

活をしていた。

思いがけずに高値で薬草類を売った時、ルシェ

ットは時々パン屋で安いパンを買って食べるの

が幸せらしい。道理で甘い菓子を食べさせてい

る時に見せる顔が幸せそうだと思った。

(そういえば体重がかなり増えていたような…

…)

質素な食事からいきなり御馳走が増えたせいだ

ろう。手作りの料理も多かったが、細すぎて転

びそうになる事が心配だ。

手軽に食べられる薬草入り菓子は特に冒険者に

人気がある。甘いものが多いため、非常食とし

ても取り扱っている場合がかなりある。その原

料になるのが濃縮ポーション。それらの元をた

どれば薬草や茸、木の実などになる。木の実は

ポーションより、ドライフルーツの方に使われ

ることが多い。

(ドライフルーツか……)

木の実を砂糖漬けにして乾燥させたものだ。食

料品店で売っていることが多いが砂糖がたくさ

ん添加されているものが多い。

と、あることを思い出す。……生ではとても食

べられたものではないが、加工をすると絶品に

なるという、シキという名前の果物だ。

シキの実は真っ白で丸く、大きさは手のひらに

収まるほどだ。

「それで僕らにシキの実を取ってきてほしいん

ですね?」

「ああ、毎度のことながら頼むよ。出来たら加

工もしてもらいたいんだが」

「ええっ 加工もですか?」

「そうだよ、しかもシキの実の皮は痒み止めに

重宝するんだ」

「シキの実はどこにあるんですか?」

「それが……少しづつまばらに自生してる。だ

がな……大雨のしかも雷の時にしか見られない

んだ。……はい、これ。合羽だよ」

「ええっ、……あの、僕らはまだ引き受けると

決めたわけでは……」

「来てくれたのが君で助かったよ、エリュニス

君。セヴェル君だったら何を言われるか心配だ

ったんだ」

「ええっと、その……」

「報酬なら弾むから……な? よろしく頼むよ」

「ちょっと考えさせてください、仲間に聞いて

みます」


「随分急な話だな」

「雨に濡れるの? 嫌よ」

「一応合羽もあるんですが」

「うーん……だがなぁ」

「そういえば報酬は弾むと言われたんですが」

「というと報酬は5等分か」

「そうですね……」

手にした合羽を見つめる。ご丁寧にも子供用の

合羽まで用意されていた。

「よく考えてみると、ここで依頼を断ると次の

依頼もなくなってしまうんじゃないですか?」

「うっ、それは困る……」

「では返事をしてきます」


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