第28章
「おはよう、エリュニス」
「あ、皆さんおはようございます」
目覚めたエリュニスは早々に朝食
を食べ、歯を磨き顔を洗い髪を整
えて縛った。ついでに寝間着から
普段着に着替える。
「もうみんな食べ終えて身支度整
えたわよ」
「そうなんですか」
「えっと前に買った2種類のポー
ションの材料は……肉!? いや、
生の新鮮な肉と腐りかけの肉です
ね。これはポーションというより
は匂いを出して魔物をおびき寄せ
たり、魔物を遠ざける種類に入り
ますね。……何々新鮮な肉が魔物
をおびき寄せ、腐りかけの肉は逆
に遠ざける効果ですね。とりあえ
ずこの2種類の肉は別々の袋に入
れて管理しておきましょう」
(……それにしてもこんなに簡素
なもので大丈夫なんでしょうか…
…)
「あれ……レシピ本の袋の中に何
かが入ってますね。注意書きも書
いてあります……えっと、実際に
使うまでは2種類とも瓶の中の水
に入れて管理しておくこと……)
レシピ本と一緒に2つの瓶が入っ
ていた。薄い水色をした薬品のよ
うな水が入っている。
(袋に入れるのはやめてこちらの
瓶の中に入れましょう……瓶はか
なり大きいですし)
瓶を開けるとミントにも似た爽や
かな香りが広がる。
「何してるんだ?エリュニス」
「あっ、セヴェル君。ちょっとポ
ーションというかなんというか…
…」
「……? ミントみたいな妙な匂
いがするな」
「そうですね。……ミント以外に
も別の香りがしますね……ハーブ
でしょうか」
「肉の保存といえば塩漬けが主だ
けどな」
「それは食べる時用じゃないです
か。それはそれとして今作ってる
のは魔物をおびき寄せたり、遠ざ
けたりするものですよ……まぁ、
一応ポーションにも分類……?
されるんでしょうか?」
「まぁ間違ってはいないな。それ
にしてもえらく簡単だな」
「それは僕も思いました」
「で、その肉はどうするんだ?」
「とりあえず、このレシピを売っ
てくれた魔法道具屋に行って見せ
てきます」
「ごめんくださーい……あの、ポ
ーションを作ったんですが……」
「ああ、依然伺った……えーっと」
「エリュニスと言います」
「あ、そうか。エリュニス君だね。
それでポーションかい?」
「そうなんです。……どうですか?」
「……ふむふむ。見た目は合格か
な。効果のほどは使ってみないと
なぁ。」
「では試してみますね」
「あぁ。頼む」
(……さて、どこで試しましょうか)
うろうろ探してみるうちにルシェット
が暮らしていた小屋のある森に着い
ていた。何故ここに着いたのかとい
うと小屋があることが大きい。それ
にポーションの材料である薬草類や
茸、木の実等が沢山あるからだ。
まずは魔物をおびき寄せるポーション
を使ってみる。……しばらくすると
数匹の魔物が近寄ってきた。
魔物はポーションに入った肉の匂い
を嗅いでいる。その隙にエリュニス
はロッドを装備した。ショートソー
ドよりも魔法のほうが効きそうだか
らだ。ひとしきり匂いを嗅いだ後、
魔物はエリュニスに襲い掛かってき
た。
「……っ! コールド!」
右手にロッドを魔物につきつけ、呪
文を唱えるとロッドから無数の氷の
つぶてが発生し魔物に降りかかる。
魔物は攻撃を受けて体勢を崩した。
そこへロッドを魔物の頭に叩きつけ
る。普通に叩くわけではなく、魔力
を込めた上での攻撃だ。
魔物がよろめき地面に倒れると、他
の魔物が後ずさった。そこへ魔物を
遠ざけるポーションの蓋を開ける。
辺りに爽やかなミントのような香り
が立ち込め、魔物達は逃げ出した。
(とりあえず2つのポーションの役
目は分かりました)
魔物を遠ざけるポーションの蓋を開
けたまま、薬草類の採取を始める。
薬草や毒消し草、しびれ薬になりそ
うな草、食べられそうな木の実、取
扱いに注意が必要そうな茸等色々取
った。これらの材料は以前行った魔
法道具店で見てもらうことにする。
バックパックに沢山詰めて街に戻っ
た。




