第25話
「肉と青いネギを煮込んで……、後はポーション
を作るとして……」
「ねぇねぇ、何してるの?」
「あっ、ミアナちゃんですね。えっとスープとポ
ーションを作っています」
「スープ、いい匂い―」
「ミアナちゃん味見してみますか?」
「えっいいの?」
「ええ、どうぞ」
エリュニスは小皿にスープを入れ、ミアナに渡し
た。
ミアナがズズっと音を立ててスープをすする。何
とも言えない美味しさが口中に広がった。
「おいしー」
「よかったです。ちなみにこのスープ夕ご飯の時
に出しますが食べれそうですか?」
「うん。スープだけなら多分大丈夫」
エリュニスはミアナの言葉に安心した。普通の食
事に少しづつ慣れてくれるとありがたい。
「あっ、でも……」
「どうしました?」
「スープの汁だけなら平気。具はまだ無理……」
「じゃ、スープだけにしますね」
スープを作り終え、一息つく暇もなかった。ポー
ション作りが待っているのだ。
乳鉢の中に薬草類を入れてすりつぶす。意外と力
がいる作業だ。それに時間もかかる。蒸留水を入
れて布でこし煮詰める。エメラルド色のポーショ
ンがいくつかできた。かなり手間暇かけて作るの
で意外と高く売れるのだ。飲みやすくするために
かなりの量の蜂蜜か砂糖を加える。ポーションは
売る以外にも自分達で飲んでもいい。メルカの実
を使った魔力回復ポーションも作る。メルカの実
を絞り、濃縮するだけ。魔力だけでなく気力も少
しだが回復する。魔力回復ポーションには蜂蜜な
どの甘味料を加えなくてもいい。しかしメルカの
実は割高なので自然と魔力回復ポーションも高く
なってしまう。
「それ何? お薬?」
「薬ですよ。ミアナちゃんには苦いと思いますが」
「ふーん。……うっ!臭ーい」
「流石に臭いだけはどうにもならなかったですね」
「ねぇねぇ、ほかの薬も作れるの?」
「今は2種類ですが……」
「怪力になれたり、魔力が一気に上がったり」
「うーん……後で調べてみましょう。明日になっ
たら図書館……いや……特殊なので調合書を取り
扱っているとなると魔法道具屋にレシピが置いて
あるかも……。多分ミアナちゃんの能力について
も何か知っているかもしれません」
「できたポーション売るの?」
「いいえ、これはこれで取っておくことにします」
夕食はかたい黒パンとスープ、薄切りにされたチ
ーズの食事だった。黒パンはかたくて食べるとい
うよりは嚙みちぎるほうが正しいというほうがい
いのかもしれない。嚙みちぎった黒パンをスープ
と一緒に飲み込む。そのおかげか、スープをおか
わりするメンバーが沢山いた。
「このスープ、なんだかふわふわしたのが入って
る」
「あ、気が付きました? 溶き卵を入れたんです
よ。……それとも卵が入ったのは嫌でしたか?」
「ううん、平気。……熱いけど」
「えっと、口を開けてくださいミアナちゃん」
「……こう?」
ミアナはエリュニスの言われた通りに口を開ける。
「うーん……ただれてはいないみたいですね。
火傷もそこまで酷くないみたいだし……とりあえ
ずこれでも飲んでください」
エリュニスがコップに入った水を差し出す。かな
り冷たい水をミアナは飲みほした。
「むぐぐ……」
夕飯も終わり歯を磨く。この後シャワーを浴びたら
寝るだけだ。
「ミアナちゃん、シャワー一人で大丈夫?」
「だーいじょーうぶ。へいきだよ」
「一番最初誰が入る?」
「俺は後でいいぜ。トレーニングが残ってる」
「そういえば僕も軽い運動をするって決めたんです
よね」
2人はトレーニングをしに外に出た。汗をかくから
水も持って行く。
2人は速足で歩いてゆく。しばらく歩くと体がぽか
ぽかし、息も荒くなる。それでも歩き続けると汗を
かき始めた。水を飲んで一息ついた。
「そろそろ戻らないと……」
「なんだ、もうギブアップか?」
「いえ、皆が待ってますし」
「そうか……俺はまだ続ける。戻ったらそう伝えて
おけ」
「わかりました。それでは……」
「あれ、戻ってきたんだ。」
「ええ、汗をかいたので早めに切り上げました」
「皆お風呂入ったよ。後はエリュニスとセヴェルだ
け」
「そうですか」
エリュニスはタオルと寝間着を持って風呂に入った。
シャワーが少し冷たいが火照った身体にはそれでも
心地よい。髪と身体を洗ってから風呂へ出た。
髪の毛が長いと渇くまで時間がかかる。だが兄のよ
うに短くしたくない。それでも慣れてしまう。
髪の毛をしっかり乾かしてからエリュニスは布団に
入る。
(セヴェル君……どこまで行ったんでしょう……)
そんな思いも気になったがゆっくりと眼をふせる。
そうすると、ゆっくりと眠気がやって来るのだった。




