第24章
「うーーーーーーん、えいっ!」
ミアナが両手を天にかざす。……とあっと
いう間に患者たちの傷が消えていった。
「おお、ありがとう」
「いい子じゃな」
ルシェット達は昨日に引き続き病院の中を
訪問していた。ミアナの治癒能力は凄まじ
いもので次々と患者達の怪我が治ってゆく。
「相変わらず大人気ですね」
「治癒の力は凄いもんだな」
と、ミアナの身体からガクッと力が抜けた。
「ミアナちゃんどうしたのかしら?」
「……むーーー。なんだか、疲れた……」
ミアナの身体を見るとぐったりとしている。
近くに設置されたソファにミアナを横たわ
らせる。大き目のタオルケットがあったの
で彼女の身体にかけた。
「多分力の……治癒の力の使い過ぎですね」
「そんなに悪いのか? エリュニス」
「ええ、総合的な治癒の力はあるんですが
……一度に沢山の人を診たせいですね」
「治癒の力というのは魔力の力に近いのか?」
「うーん、治癒の力は精神力。魔力は生ま
れ持った力なんですよ。似ているともいう
人もいます」
「どういうことだ?」
「ルシェットさんのように魔力だけ、ミア
ナちゃんのように精神力だけ。僕のように
魔力と精神力が程々力がある場合もあります」
「へー。じゃあ、俺らはないのか」
「そうですね。ただ魔力や精神面に頼る方
法がないので自然とトレーニング出来ると
思いますよ」
「そうか……。ところでミアナの体調はど
うだ?」
「半日ほど寝ていれば良くなると思います」
ミアナはタオルケットの下で何度も寝返り
をうった。
「うーん……暑い……」
タオルケットを外す。と、ぶわっと熱気が
出てきた。
「うわ、あっちい」
「タオルケットを外して正解でしたね」
「えへへ、涼しい……」
タオルケットを外したまま時間が過ぎてゆ
く。ミアナの身体が冷えすぎないように注
意した。
「すぅ……むにゃ……。……ん?……ふぁー」
「起きたのね。ちょうど半日たったわよ」
「お、ありがとな」
「ふわぁ……お腹空いた……」
「相変わらずですね、何かあったかな?」
エリュニスが鞄を開ける。色々探して食べ
られそうなものは、干し芋がみつかった。
「はい、干し芋です。ミアナちゃん」
「ありがとー……もぐもぐ……なんか甘く
なってきた……。いつもこういう物を食べ
ているの?」
「うーん、手作りのものだったり外食をし
たり……でも乾燥したものを食べる事は結
構多いですね」
「ごちそうさまー。もう平気」
「もう一回治癒の力を使うのか?」
「……いえ、それはまた今度にして街中を
探索しましょう」
「うわーい、楽しみ!」
「えーっと、ここが武器屋でここからしば
らく行ったらドーナツ屋さんで……」
「ドーナツ!」
「ふふ、相変わらずですね。つき
あたりが雑貨屋です」
「いらっしゃいませ」
雑貨屋は色々なものが売られていた。
様々な柄のハンドタオル、甘い匂い
のするフレーバー付きオイル。茶
と焼き菓子のプチセット。華やか
な香りのする石鹼。色々なものが
あった。
色々迷ったが石鹼を買った。
雑貨屋の帰りにドーナツ屋でチョコ
レートのかかったプチドーナツを買った。
「ドーナツ、おいしー!」
ドーナツを買ったのはミアナだけの
ようだ。
ミアナの両手にチョコがペタペタと
付いている。
「あぁ、両手が汚れてますね」
濡らしたハンドタオルでミアナの両
手を拭いた。
ハンドタオルはチョコで汚れている。
近くに水洗い場にあったのでその水
でハンドタオルを洗う。その時に買
った石鹼を泡立てて使った。
ふわっと花の香りが広がる。
次に靴屋に入った。ミアナの靴を買
うためだ。彼女のサンダルは底がす
り減っているし、ベルトの部分もボ
ロボロだ。
「サンダルがいいかなぁ?」
「そうですね、前と後ろにベルトが
付いているのもありますね」
「色はどうするのかしら?」
「白がいい!」
「ゆるかったりきつかったりしない?」
「んーーーー。大丈夫」
サンダルを履いてみるとぴったり
のようだ。
「じゃあ、これを一足……。」
「はいよ、350ルクスだよ」
「あと、何か買おうかな……」
「洋服でも買いましょう」
ふと、ミアナの服を見た。チョコレ
ートのシミがあちこちについている。
それは洗濯するとして、替えの洋服
を買おうと思い、薄ピンク色のワン
ピースを買うことにした。少しぶか
っとするがこの後の事を考えると、
それはそれでいいだろう。
「580ルクスになります」
「うーん、意外と高めのような……」
「まぁ繰り返し着ることになるんだ
からいいんじゃないか?」
「そうだねぇ、洋服にシミが作る事
になるけど……さっき買った石鹼で
洗えばいいし」
「次はカンテラとロープ、磁石と…
…後は保存食ですね」
「保存食はいいけど……チョコレー
トとかだとバッグの中で溶けたりし
ない?」
「チョコレートは非常食に最適なん
ですけどね。グミや飴なんかは溶け
にくいはずです。しかし……」
「しかし?」
「チョコレートは少量なら問題ない
はずです」
「あー、確かにそうだね」
「チョコレートを服のポケットの中
に入れたら駄目ですよ、溶けますし」
「はーい」
「なんか、保護者みたいだな。エリ
ュニスって」
「えっ、そうですか?」
「うん、初めて会った時からそんな
感じはした」
「うーん……直したほうがいいんで
すかね」
「そのままでいいよ。直すとどこか
変になりそう……」
「ではこのままで。そろそろ帰り
ますよ」




