第20章
ある暖かい日差しが差し始める朝、
ルシェットは目が覚めた。
「よく寝た……けど眠い……けど、
起きなきゃ」
『おはようございます。いい朝ですね』
とエリュニスが挨拶をするような
気がして辺りを見回すと誰もいな
かった。
ルシェットは着替えを持って風呂
場に近い脱衣所に続くドアを開け
中でさっと着替えを済ませた。
「みんな寝てるのかな……?」
皆が寝ているうちに朝食を用意し
ようと思ったが、材料が中途半端
に余っている。
「うーん……あ、これでいいや」
手にしたのはシリアルだった。
シリアルのパッケージにはハニー
フレーバーと書かれている。これ
ならミルクにもヨーグルトにも合
いそうだ。
スプーンと容器とシリアルの箱と
ミルクの瓶を用意するとセヴェル
達を起こした。
「「いただきます」」
皆眠いようでぼんやりとした声を
出し、食べ始めた。
サクサクとした食感のシリアルは
噛む食感が楽しい。
シリアルについた蜂蜜がミルクに
溶け出し、甘いミルクへと変わっ
てゆく。
食べ終わると冷たい物を食べ目が
覚めるのと同時に満腹感からまた
眠気が襲ってくる。ルシェット以
外の皆はすぐにベッドに横たわっ
て眠ってしまった。目が覚めたは
ずなのに何故だろうと原因を探っ
てみると花の香りに気が付いた。
よく見てみるとベッドの脇の小さ
なテーブルの上に蓋が開いたまま
のラベンダーの小瓶が置かれてい
た。ベッドの近くに来るまで気が
付かなった。目覚めたばかりの時
と満腹感がある時は眠気が少しあ
るため眠気が増幅されたのだろう。
それにしても眠い。香水の影響も
あるかもしれないが妙に気になり、
ルシェットは1人で街に出た。
1人で街を歩くのはとても久しぶ
りだ。1人だけで行動することに
ある程度危機感は感じているが、
片手にスタッフを持ち、たすき掛
けしたバッグも持った。
バッグの中にはパンや水の入った
水筒が入っている。その他にも薬
や薬草類が入っていた。
まずは図書館に行き、原因を突き
止める。原因は3、4冊目で見つ
かった。
原因はよく分からなかったが治療
法は見つかった。その方法は目覚
めのという花の香りを嗅がせれば
いいようだ。
目覚めの花は花びらが緑色をして、
枯れるまで緑色をした珍しい花だ。
目覚めの花は緑の多い場所に生息
しているようだ。
ルシェットはふとある場所を思い
出した。小屋があるあの場所だ。
あの場所は実に色々な草や花、
山菜や木の実や茸等色々なものが
採れる。
杖に乗って向かおうかと一瞬思っ
たがすぐにやめた。確かに杖に乗
って行けばすぐに到着するが、目
立つし魔物に出会ったときにマナ
切れを起こす可能性が高い。
そうなれば勝ち目はないだろう。
馬車に乗り、森の近くで降ろして
もらった。ここまでくれば少しは
歩くが仕方ない。ひとまず小屋ま
で徒歩で向かう。
息を切らせながら少しづつ進んで
ゆく。冒険中は徒歩は珍しくはな
いがそれでも疲れることに変わり
はなかった。
「着いた……」
小屋について扉を開けると埃の匂
いが小屋の中で充満していた。掃
除でもしようかと思ったが、今は
小屋の中に用事があるわけでもな
くむしろ小屋の外にある。
小屋から森の奥地を目指し歩く。
なぜ奥地というと今までの経験上
から奥地へ行けば行くほど珍しい
物は見つけやすくなるからだ。
「……これでもないし、こっちに
はない……」
探し始めて何時間経っただろう。
疲れて近くの木にもたれかかり、
そのまましゃがみ込んだ。……
その時、何かを見つけた。
「……! これって……」
木の幹のすぐ近くに落ち葉があり、
隙間からこっそりと隠れるように
目覚めの花が咲いていた。
ルシェットは花を摘み取り、急い
で貸し住宅へと戻った。




