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第19章

「……ただいま、母さん」

「エリュニス! もう! 勝手に家を

出たりしちゃ駄目でしょ」

「……! ご、ごめんなさい!」

「シャリオはよく頑張ってるのにエリ

ュニスは……。 全く、双子なのにこ

こまで違うなんて」

エリュニスが落ち込んでいる時に父親

が話をかけてきた。

「そういえば次だな。エリュニスが適

合者の面倒を見るのは」

「……そうね。 あっ、エリュニス。

晩御飯作っておいてね」

「……はい。母さん」


「お、旨いな。お前は料理が上手だな」

「あ、……いや別にそんなこと。 …

…僕には他に取り柄ないから……」

「それにしてもお前は茶が好きだな」

「……うん。心が落ち着くから。あと、

コーヒーもどちらかというと好きかな」

「あと4年か……。シャリオが担当し

ている適合者の次だぞ、エリュニスの

番だ。……えっと、確か今担当してる

適合者の妹らしい」

「妹……」

「そうだ、エリュニス。今のうちに口

調を直してみたらどうかな?」

「口調か……」

「口調を直せばよそよそしいのも少し

は良くなるんじゃないか?」

「そうだね。……いや、えっと……そ

うですね」

「よし、その調子だ。適合者が来るま

でに直しときなさい」

「はい、分かりました。 違う……。

そうですね。分かりました」


「きゃーっ! エリュニス、こっち向

いてー」

「えっ……こう? いや、違う。……

こうですか?」

「何その反応ー?」

「前々から思ってたんだけど。……エ

リュニスって女の子みたいだねー」

「そうそう。髪長くてさらさらだし、

お弁当も作ってるんだっけ?」

「……そ、そうですか……」


エリュニスがため息をついてその場を

離れるのを見送った後。

「それにさ……お兄さんの性格がアレ

だからエリュニスもそうなのかも」

「えー? そうかなぁ? でも腹黒だ

ったりして。何言っても全然怒らない

じゃない、エリュニスって」


「はぁ……またか。髪の毛切ったほう

がいいのかなぁ……? でも切ったら

兄さんとあまり変わらなくなるし……。

それだけは嫌なんだ」

「そんなに嫌か?」

思わず後ろを振り返るとシャリオが立

っていた。心なしか怒っているような

落ち込んでいるかどちらか分からない

複雑な表情を浮かべている。

「……え? に、兄さん! 今の聞い

てた!?」

「うん、……嫌なんだな」

「ベ、別にそんな事ないよ」

「いや、無理するな。お前は本音を我

慢する癖があるからな」

「それより、兄さんは今日も女の子と

一緒だったんだね」

「そうか? いつもの事だよ」

(僕は知ってしまった。……兄さんは

女の子を遊びに使っているだけだとい

うことなんだ。

……僕は兄さんみたいにはなりたくな

い。だから髪を切ってしまったら兄さ

んと間違われるのが嫌だったんだ。)

「兄さんは要領がいいなって思っただ

けだよ」

「そうかな?」

「……そうだよ」

「私は今適合者の事で忙しい。お前も

数年後には適合者の事で忙しくなるだ

ろうから覚悟しておいてくれ」

「うん、分かった」

「じゃあな、おやすみ」

「……おやすみなさい」

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