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マルシスな二人  作者:
4/6

エレクチオ

これが、ぼくが最初で最後に見た先生のエレクチオだった。

ぼくの嬉しさなんて想像できないだろう?

これを考えている今だって、手や足が小刻みに痙攣しているぐらいだ。

咄嗟に、ぼくは持っていたナイフを左手の甲に振り下ろして(先生と同じ場所は傷つけないよ。これは先生への敬意の表れだ)、「ぼくはポークを残さず食べただろう?」と叫んで、地面をのたうちまわった。

これは、昔観た映画のセリフをもじったんだけれど、これが功を奏して、皆の目を引きつけることに成功したんだ。

ぼくは、このような小芝居をして笑いをとったりするタイプじゃなかったから、(道長という子の役割だ)皆笑っていいのか良く分からないって顔してこっちを見てた。

まあ、皆の顔をまじまじ見たわけじゃないからわかんないんだけれど。

そうしているうちに、先生がぼくの考えを察してくれて、他の子たちに各自の部屋に戻るようにと命じたんだ。

ぼくは、何分かのたうちまわっていたんだけれど、先生の方からピチャピチャいう音が聞こえてきたもんだから、ナイフを刺すことをやめて、先生を見たんだ。

先生は、顔を綻ばせながら自分の舌を何回も出し入れしていた。

その舌に唾液がたっぷり含まれているものだから、出し入れする度に、唇に、顔の皺に唾液が流れた。

それから後に、先生のうー、うー、といううめき声を聞くことになるんだけれど、ぼくの涙が止まらなくなるから、あえて話さないでおこう。

涙が止まらなくなったら、今から始まるぼくのフィナーレが台無しになるからね。



ひとつ言えることは、先生の前で、ぼくは圧倒的に女性だったってことだけだ。

そしていつも、先生を破壊したいと思い、また同時に先生の未来を想っていた。

ぼくは、自分の中に嗜虐的素養があって、それの対象は、ぼく自身と先生だったことに気付いたんだ。

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