勝って失なうものは意外と多い。
猛スピードで走る馬車の上には2人の男が立っている。
「どぉぉぉぉりゃっせい!」馬鹿げた声に合わせて宗二はソファーを投げる。
「そりゃ!」グレイスもベットを一つ投げ飛ばす。しかしトカゲの軍勢は一瞬スピードが落ちるものの当たらず、馬車の100m後ろを走る。
「私の財産が減って行く.....」
泣きながら、家具に強化魔法をかけて、グレイスと宗二のいる馬車の上に風魔法で上げていく。
「いっそこのまま自爆しようかしら。」
なにやら物騒な事をルミエが言い出す。
自分の買った馬車の天井に穴を開けて、さらには今まで使っていた家具を一つ一つ丁寧に投げ捨てられる所をみるのでルミエはメンタルがブレイクしかかっていた。
「そろそろ俺たちもいくぞ!」宗二たちは再び馬車に戻る。そして2人でクローゼットの中に入り、
「強化完了。風よ。」ルミエが呟くと少しクローゼットが浮き、
「ふん!!!」グレイスが馬車に空いた穴に目掛けてクローゼットをぶん投げた。
________
ドドドドドドドドドドド......
トカゲの群勢が通り過ぎ、
.....ガチャ
馬車とトカゲの群勢が丘の洞穴に入って行った瞬間、ルミエは勢いよくクローゼットから出て
「散れ。私の全財産!!!!」
悲しい叫びと共にルミエの全魔力で放った爆破魔法が丘を更地に変えた。
(なんか虚しいな.....うん。)
____少しだけ宗二は罪悪感を抱き、
「うぅ....」
ルミエはその場にうずくまっていた。