作戦
「作戦でまず、1つ確認するべきことがある。その男は生きているのか?」
唐突に宗二は口にした。
「気づいていたのね。でも、それは作戦とどういった関係があるのよ。」ルミエは少し嫌そうに言葉を返す。
「トカゲの軍勢は200、止まれば囲まれ蹂躙される。さらにコッチの手札は馬車に人が3人。加えて隠れる場所が無いんじゃやれる事はひとつだろ。」
「つまり、1人囮になるってこと?」
「そうだ。加えて囮には、穴に突っ込んでトカゲ共を誘導する。そして最後にお前が穴をドカンとやるって事」
宗二がそう言うと、
「あなた、見かけに反してなかなか鬼畜ね。でも、まだ、グレイスが感情を一切ださない人間って事もあるけど?」ルミエは宗二を試した。
「......そうだとしたら、まあ、俺が囮になるから遠慮なく魔法ぶっ放してくれ。」
ルミエは一瞬戸惑いながらも宗二を見て
「はぁ、、わかったわ。グレイスはホムンクルス言わば、魔力で動く人形。私の従者と言う設定で身の周りの世話と護衛をしていたの。あなたの提案を受け入れる。その代わり...」
____真剣な眼差しを向け、
「馬車とホムンクルス..あとその他道具諸々を犠牲にするんだから私と共に旅をして。」
ルミエは言った。
「わかった。聞きたい事は山ほどあるが、とりあえず囮が決まった事だし...あそこの丘に行きますか。」宗二は前方の大きな丘を指すと馬はそこを目指してスピードを上げて行く。
「私たちはどうやって馬車から抜けるの?」
「丘が近くなったらとりあえずこの中の家具を投げ捨て始める。俺らは馬車が穴に入る直前にクローゼットに入って投げ捨てられれば流石にお前がいなくても気にしないだろ。」
「人の私物を随分な扱いようじゃない。」少しルミエの機嫌が悪くなる。
「そう言うなって。俺たちはもともと手札が無さすぎるんだって。自分達ごと自爆するよりマシだろ。」
「わかってる。まあ確かに他に方法がない以上仕方がないけど...」
「けど、持てる範囲ならクローゼットに入れとけよ。時間ないからな。」
「じゃあ出来るだけ、旅に必要なもの入れとく。丘が近くなったら教えてね。」
そう言うとルミエは早速準備に取り掛かった。